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ユニリタ Research Memo(7):クラウドソリューションを軸に成長加速。特にSaaS事業の拡大を図る

特集
2018年12月10日 15時17分

■ユニリタ<3800>の中期経営計画

1. 基本方針と計数目標

2019年3月期から3か年の中期経営計画がスタート。しかしながら、市場環境の急激な変化等を踏まえ、利益計画の減額修正を公表した。すなわち、所有から利用へ、製品単体からソリューションへ、オンプレからクラウドへの流れに対応するため、プロダクト販売からクラウド販売へのシフトを加速する(それに伴って、しばらくは利益面での低下が見込まれる)ことや、収益性の高い既存製品のライセンスビジネス(主としてメインフレーム事業)の減収幅が当初計画よりも拡大することが見込まれることが背景となっている。したがって、利益計画を一旦引き下げたものの、市場環境や顧客ニーズに合わせたプロダクトミックスの入れ替えを行いながら、フロービジネスからストックビジネスにシフトすることで事業基盤の安定化を図っていく戦略とみられる。また、売上高計画は据え置いており、基本的な方向性にも大きな変更はない。企業を取り巻くIT環境が急速に変化するなかで、顧客のビジネス成長に貢献する「戦略的ITパートナー」を目指し、以下の3つの基本方針に取り組む。

(1) 「システム運用」と「データ活用」の専門性を磨き、事業基盤の更なる強化

(2) 市場を活性化するビジネスIT領域のSaaS事業の拡大

(3) 最新のデジタル技術への積極的な投資と事業基盤の構築

また、最終年度である2021年3月期の目標(修正後)として、売上高を110億円(3年間の平均成長率15.9%増)、営業利益を15.5億円(営業利益率14.1%)、ROE 9.8%を掲げている。「メインフレーム事業」を除く、すべての事業を伸ばす計画であるが、とりわけ需要が拡大している「クラウド事業」を成長分野として位置付けており、独自のクラウド基盤の提供やクラウドソリューションの強化、業界SaaS事業への新たな取り組みが戦略の目玉となっている。また、営業利益率については、比較的収益性が低い「システムインテグレーション事業」への参入や「クラウド事業」の拡大に向けた先行投資などの影響により、2019年3月期が大きく落ち込むものの、その後は増収効果や付加価値の向上等により着実に改善を図っていく方針である。

2. 事業セグメント別の戦略と目標

(1) クラウド事業

同社の「既存製品」と「業務テンプレート」を組み合わせてクラウド化(SaaS化)することにより、顧客の業務課題を直接解決するためのサービス提供を拡大する。また、既存事業の専門性を特定業界へプラットフォーム※1として提供することを目的として、HR(総務・人事)系※2、移動体系※3、農業系※4の3分野に絞った業界SaaS事業の開発と推進に取り組む。最終年度の売上高13.3億円(年平均成長率37.3%増)を目指す。

※1 同社自らが業界業種特有の事業専門性を習得するとともに、データの集約、分析、解析の精度を高めることにより、業界の課題解決を支援するプラットフォームを目指す。

※2 人材派遣業界向けSaaS型勤怠管理サービス、バックオフィス向け経費精算パッケージ等を核としてヒト資産に関わるソリューションを開発(「働き方改革」の支援など)。

※3 バス事業者向けIoTソリューションを核にIoT、AI技術を強化し、スマートシティ構想等に関わる交通系ソリューションとして開発(「地方創生」への貢献など)。

※4 データ活用領域の強みを生かし、各分野の事業者との協業により、農業のIT化による効率化、収益化につながるプラットフォームとビジネスモデルを開発(「一次産業活性化」への貢献など)。

(2) プロダクト事業

基幹業務ソリューションの拡充のために、既存製品やサービス群へAIの実装化を推進。また、パートナー企業(販売代理店)とのWin-Win関係を強化するために、パートナー企業のビジネスを拡大する製品やサービスの開発に取り組むとともに、グループ会社の製品やサービス(移動体IoT事業、管理部門向け経費精算パッケージ)の機能強化のための投資を拡大する計画である。ただ、前述のとおり、市場環境の変化や顧客ニーズに合わせて、クラウドへのシフトにも柔軟に取り組む。最終年度の売上高36.8億円(年平均成長率12.8%増)を目指す。

(3) ソリューション事業

デジタル変革を専門としたコンサルティング事業の拡大やワンストップ(企画、設計、構築、運用、改善)サービスの開発のほか、業務系ITに向けたRPA関連サービスの開発、マネージドサービス(運用管理のアウトソーシングサービス)型BPO事業の拡大によるストックビジネスの創出などに取り組む。最終年度の売上高24.8億円(年平均成長率12.3%増)を目指す。

(4) メインフレーム事業

市場が縮小傾向にあるなかで、メインフレーム総合ベンダーとして、他のメインフレームベンダーとの協業モデルや技術者の育成を通じてマーケットにおける残存者ポジショニングを確立する。最終年度の売上高19億円(年平均成長率5.2%減)を見込む。

(5) システムインテグレーション事業

デジタルビジネスに必要なAI、IoT、ビッグデータ、ブロックチェーン等のデジタル技術者を育成するとともに、アプリケーション開発の技術者を活用し、同社グループの製品やサービス開発の迅速化を図る。最終年度の売上高16.1億円を見込む。

3. その他基本戦略

(1) 同社グループエコシステムによる競争力強化

同社本体、グループ各社、資本業務提携企業、パートナー企業との連携により、顧客のシステムライフサイクル(コンサルテーション~設計・開発~構築~保守・運用~BPO)の上流からワンストップで提案できる体制を構築し、顧客へのアプローチの幅を広げることで競争力強化を図る。

(2) デジタル変革をリードするための積極投資

新しい技術領域(IoT、AI、データアナリティクスに加えて、Robot、RPA、ブロックチェーン等)の研究開発や業界SaaS事業への投資を通じて事業創出力の向上を目指す。3年間で総額30億円を投資する計画だが、投資カテゴリーを1)ベースとなる既存事業である「システム運用」と「データ活用」の専門性に磨きをかけるための投資、2)取り組みを開始している事業領域への追加投資と規模拡大のための投資、3)事業の専門性を高めた業界SaaS事業を新規開拓するための投資に分け、1)に8億円、2)に12億円、3)に10億円を投入する予定である。また、人材投資(ベア等)やスペシャリスト人材を評価する新制度の導入※にも取り組む。

※オープンインキュベーションセンターの創出や文化創造プロジェクト、人事制度のブラッシュアップなど。

弊社では、需要が拡大している「クラウド事業」のラインナップ(ソリューション化)が充実してきたことや、コンサルと製品の組み合わせによるソリューション提案が軌道に乗ってきたこと、無限の連結化により上流からワンストップで提案できるグループエコシステムがさらに強化されたことなどから、同社の持続的な成長は可能であるとみている。今回、利益計画の引き下げに踏み切ったものの、市場環境が急激に変化するなかで、積極投資の継続やプロダクトミックスの入れ替えなどにより、将来を見据えた基礎固めを行っていく戦略には合理性があると評価できる。裏を返せば、次世代の収益の軸をいかに育てていくのかが最大の課題であり、同社独自の業界SaaS事業(人材系、移動体系、農業系)の進展など、ポテンシャルが大きく、先行者利益が狙える事業の進捗に注目していきたい。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)

《HN》

提供:フィスコ

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