北陸企業News-円安の恩恵が期待される企業-【今村証券アナリストレポート】
外国為替市場では円売り圧力が強い。円相場は対ドルで一時1ドル=163円99銭近辺と約40年ぶりの円安水準となり、足元でも1ドル=163円台で推移している。輸出企業の今期の想定為替レートは対ドルで1ドル=145~155円が中心とされ、海外依存度の高い企業の業績には業績上振れ期待が高まる。
トヨタ自動車 <7203> [東証P]の今期の営業利益予想は前期に比べて7,662億円減益の3兆円だが、想定為替レートは1米ドル=150円で、1円の円安によって営業利益が約500億円押し上げられる。コマツ <6301> [東証P]が発表した第1四半期決算では、第1四半期の営業利益が為替要因によって230億円押し上げられた。部品等の輸入コスト上昇は利益を圧迫するものの、多くの輸出企業には円安メリットの方が大きい様子だ。
下グラフは海外売上高比率が40%以上ある北陸企業の地域別売上高を示している。津田駒工業 <6217> [東証S]や澁谷工業 <6340> [東証P]などは輸出については円建てが中心のため為替による影響は限定的としているが、それ以外の企業では売上高や利益などに影響が及ぶ。今回はこれらの企業から円安による利益押し上げが期待できるEIZO <6737> [東証P]、日華化学 <4463> [東証S]を取り上げる。

なお、下表に輸出比率の高い北陸企業の今期の想定為替レートを記載する(会社公表分のみ)。EIZOについては対米ドルでの円安は業績にマイナス要因となる点には注意が必要だ。

●EIZO <6737> [東証P]
作成者 織田 真由美
レーティング:NEUTRAL
◆ヘルスケアなど特定市場向けに強みのあるグローバルニッチ企業

高精度画像に強みをもつモニターメーカー。ヘルスケア(医療用途向け)、クリエイティブワーク(映像制作や出版・印刷、デザインなどの用途向け)、航空管制(以下「ATC」。)向けなどで高いシェアを持ち、映像に関するテクノロジーをコアに事業を展開。新規案件に加えて安定した更新需要があることが収益の基盤となっている。
成長ドライブは高性能のモニターや高感度カメラなどのハードウェアとソフトウェアを融合したソリューションサービス(EVS:EIZO Visual System)だ。河川・港湾等のインフラ保全や監視システムなどでの利用が進むほか、無人運航船プロジェクトでも活用される。建設機械や湾岸クレーンの遠隔操作などでの実証実験も進む。今後の産業分野や医療分野での採用拡大が期待される。
日本と欧州以外の地域での事業拡大も成長のけん引役だ。北米や中国においてシェア拡大余地があるほか、インドやサウジアラビアでの取引拡大を図る。

近年は先行投資に係るコスト増加によって営業利益率が低下しているが、大型投資は一巡しており、今後は利益率の改善が期待される。2026年中に公表予定の次期中期経営計画で示される成長戦略やROE向上に向けた施策に注目したい。
今期業績は米国でATCの更新需要があることや、持ち直し気味のヘルスケアの伸びが支えとなり増収・営業増益見通しだ。純利益が減益予想なのは、前期に約80億円の投資有価証券売却益を計上した反動だ。前提となる想定為替レートは対ユーロが175円、対ドルが160円。対ユーロでの1円の円安は営業利益を約1億円押し上げる一方、対ドルでの1円の円安は約8000万円の利益押し下げにつながる。足元の円の対ドル相場は会社の想定よりも円安で推移しているが、それでもなお対ユーロの円安が利益押し上げ要因となりそうだ。
業績に上振れ余地はあるものの、バリュエーションは妥当な水準と考える。投資判断は「NEUTRAL」とする。
●日華化学 <4463> [東証S]
作成者 近藤 浩之
レーティング:NEUTRAL
◆化学品事業のEHD領域、化粧品事業を拡大へ

今期(2026年12月期)第1四半期の売上高と営業利益は四半期ベースでの過去最高となった。化学品事業(繊維加工用薬剤等)のEHD領域(環境:Environment、健康・衛生:Health、先端材料:Digital)が中国を中心に伸びたほか、インド、バングラデシュ、韓国でも売上が伸長した。

今期よりスタートした中期経営計画では、「2030年12月期売上高700億円、EBITDA(営業利益+減価償却費+のれん償却費)90億円、営業利益56億円」を目標に掲げた。①化学品事業のEHD領域、②化粧品事業(美容室専売品のヘアケア剤・スカルプケア剤等)―の拡大を目指す。
化学品事業に占めるEHD製品の売上高比率は、今期会社予想において48%(前期比+2.9ポイント)を見込んでおり、2030年には55%へ高める方針だ。先端材料(D)領域は、半導体製造プロセス(切る、削る、磨く、洗う)で用いられる水溶性の薬剤を提供し、使用後の廃液を回収・リサイクルして再び製品化する「資源循環型ビジネス」を拡大する。環境(E)領域は、「フッ素を用いない」撥水剤、カーシートやソファ、衣類などに使用される人工皮革の製造に用いる「水系」ウレタン樹脂、繊維加工工程削減・短縮、排水の公害値低減などに貢献する薬剤の販売に注力する。
化粧品事業では、営業担当を増員し、美容室に対するサポートを強化している。複数ブランドの展開、ODM(相手先ブランドの受託開発・生産)強化、東南アジアへの進出も推し進める。この戦略に伴う受注増加に対応するのが、来年に本格稼働を予定する新工場だ。約195億円(内補助金約50億円)を投じ、製造能力は3倍に、自動化による人時生産性は1.5倍に高める。新工場完成後は減価償却費が嵩むため、営業利益は来期(2027年12月期)に減益となった後、増益基調に戻る見込みだ(EBITDAは来期も成長を見込む)。
配当に関しては、今期にDOE(自己資本配当率)が当面の目安である3.0%に達する見通しだ。その後も「DOE向上を継続して検討」との会社方針があることから、増配、高い配当利回りが続くとみられる。投資判断は「NEUTRAL」とするが、配当重視の投資対象として検討に値する。
| 【レーティングの定義】 OUTPERFORM:今後12カ月間のトータルリターンがTOPIXの予想リターンを10%超上回ると予想される。 NEUTRAL:今後12カ月間のトータルリターンがTOPIXの予想リターンの+10%と-10%の間に入ると予想される。 UNDERPERFORM:今後12カ月間のトータルリターンがTOPIXの予想リターンを10%超下回ると予想される。 トータルリターン:株価変動率+配当利回り 目標株価は12カ月間の投資を想定しており、将来発行されるレポートで修正されることもあります。 |
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株探ニュース