明日の株式相場に向けて=マイクロン旋風吹く、最高峰の景色再び
きょう(25日)の東京株式市場は、日経平均株価が前営業日比3191円高の7万2366円と急反騰、歴代4位の上げ幅で最高値を更新した。いったんは土俵際に詰められたが、徳俵で粘り結局投げちぎった感じである。今週は23日に日経平均が2565円安に売り込まれ、これまでの超強気相場に冷や水を浴びせたかに見えた。しかし、今のAI・半導体相場は頑強な下値抵抗力を宿しており、そう簡単に底抜けとはならない。これまでも急落後に間を置かず急騰で切り返すことは多かったが、今回もそのパターンとなった。もちろん運に左右された部分は大きいとはいえ、またもやショートポジションに天は味方しなかった。
注目の米半導体メモリー大手マイクロン・テクノロジー<MU>の26年3~5月期決算発表が、日本時間で本日早朝に開示された。事前予想の高いハードルを跳び越え、株価を一段の高みに誘導することができるのか、米国だけではなく世界の耳目を集めたビッグイベントである。米国時間では午後取引終了後の時間帯となるが、この日は発表を前に同社株はほぼ前の日の終値近辺で引けており、まさに強弱観が拮抗していたと思われる。結果として、数字は想定を大きく上回り、6~8月期の見通しも含めてポジティブサプライズをマーケットに与えた。マイクロンの株価は時間外で15%を超える急騰をみせ、これはそのまま海を渡ってきょうの東京市場にリスクオンの大波をもたらした。
マイクロンの3~5月期売上高は前年同期比4.5倍の414億ドルと事前に市場が想定した水準から大幅に上振れたほか、最終利益は同15倍の282億ドルに達し、EPSが事前の市場予想の平均値から大きく上方カイ離した。AI半導体のHBM(高帯域幅メモリー)が急激な伸びを示しており、強力な成長ドライバーとなっている。また、6~8月期の売上高に関しても、前年同期比4.4倍の500億ドルを軸に上下10億ドルのレンジを想定しており、これも市場期待のはるか上を行く結果となった。このマイクロンの好決算を目の当たりに水を得た魚となったのがキオクシアホールディングス<285A>である。23日の1万6410円安を帳消しにするところまでは行かなかったが、1万円を超える上昇で5日移動平均線の上に再び浮上した。日経平均への寄与度で一頭地を抜いたのはアドバンテスト<6857>だったが、それでも同社を凌ぐ存在感を示した。では、マイクロンの決算イベントを通過したところで、どこに目を向けるべきかを考えてみたい。
個別では今の相場の守護神でもあるキオクシア関連に位置付けられる銘柄に再度着目。まず芝浦メカトロニクス<6590>が動兆しきりとなっているが、5000円未満は依然として買いに分がありそうだ。言うまでもなくキオクシアとは東芝つながりであるとともに、業務面でもキオクシアの3D積層型のNANDフラッシュメモリーの多層化プロセスで、芝浦のウエハー洗浄装置は重要な役割を担う。業績は27年3月期営業利益が前期比5%増の160億円と連続過去最高を見込むが、一段の上振れが期待できる。もう一つキオクシア関連としてはジャパンマテリアル<6055>に改めて目を向けてみたい。今月1日にも取り上げており、そこから5日移動平均線をサポートラインに上値指向を強めてきた。時価は24年2月の上場来高値2743円とほぼツラ合わせの水準まで上昇してきたが、ここからもう一段切り上がれば、株価は戻り売り圧力から解放された青空圏に入る。
また、トレックス・セミコンダクター<6616>は4月以降もみ合い圏を上放れ、大相場の気配を漂わせる。同社は電源ICの製造販売を手掛ける。企画・開発・販売を自社で行い、生産設備は自社で保有せず外部委託するファブレスメーカーだが、アナログ半導体のエキスパートとして強みを発揮。同社の小型化・省電力技術はAIデータセンター分野でも今後活躍機会を広げていくことが予想される。例えばサーバー間のデータを転送する際に設置される光トランシーバーなどの超高速通信機器は、TOREXの商品技術と親和性が高い。
一方、最近では値がさ株ではない銘柄で成長性の高い企業を見つけ出していくことは、なかなか難しくなっているが、そうしたなか、株価1200円台のインスペック<6656>は将来的に楽しみがある。半導体パッケージ基板などの外観検査装置を製造・販売するが、画像処理や光学センシング技術ではグローバル・ニッチトップの領域にある。同社もまたAI半導体周辺の新風が収益のフォローウインドとなっている。当欄でも4月下旬、5月上旬と継続してマークしてきた銘柄であるが、今月に入ってにわかに株価にウネリが生じた。3月時点で株価は500円台前半であった。今月4日に1588円の年初来高値をつけているから、ざっくり株価は3倍化している。小型株で主力株の陰に隠れてはいるが、半導体周辺セクターをよく見渡せば、こうした“地味に躍進を遂げる銘柄”も少なからず存在している。
あすのスケジュールでは、6月の都区部消費者物価指数(CPI)が朝方取引開始前に開示され、マーケットの注目度が高い。また、前場取引時間中に3カ月物国庫短期証券の入札が行われる。この日は株主総会の集中日となっており、個別に任天堂<7974>やキヤノン<7751>、パナソニック ホールディングス<6752>などのほか、三菱UFJフィナンシャル・グループ<8306>をはじめメガバンクの総会も予定。海外では6月の米消費者態度指数(ミシガン大学調査・確報値)が開示される。また、ウィリアムズNY連銀総裁が国際決済銀行(BIS)主催のディスカッションに参加する。インド市場は休場となる。(銀)
株探ニュース