3月期決算企業を中心とする23年7-9月期の決算発表が佳境を迎えている。本特集では、11月1日までに発表された決算の中から、7-9月期に四半期ベースの過去最高益を更新し、かつ今期も最高益を見込む、いわゆる利益成長が“青天井”状況になっている銘柄にスポットライトを当てた。

下表では、時価総額100億円以上の銘柄を対象に、本決算月にかかわらず、23年7-9月期に経常利益が全四半期ベースの過去最高益を更新した銘柄をピックアップ。さらに、会社側が今期(通期計画)も最高益見通しを示している29社を選び出し、7-9月期実績の過去最高益に対する上振れ率が大きい順に記した。

上振れ率トップとなったのは、四国電力 <9507> [東証Ｐ]。23年7-9月期(第2四半期)の経常利益はこれまでの過去最高を97.2％も上回る491億円に急拡大し、実に17年ぶりに最高益更新を果たした。電気料金の引き上げに加え、燃料価格の低下や自社水力発電電力量の増加などで需給関連費が減少したことが利益拡大の要因となった。好調な業績を踏まえ、24年3月期通期の経常利益を従来予想の380億円→580億円に大幅上方修正した。1987年3月期に記録した過去最高益(510億円)を37年ぶりに過去最高益を更新する見通しだ。

2位に入った住石ホールディングス <1514> [東証Ｓ]の7-9月期(第2四半期)の経常利益は55.3億円と過去最高益を91.6％も上回って着地。エネルギー需給の緩みによって石炭市況が軟化したものの、出資先の豪州ワンボ炭鉱からの配当金が増加したことが利益を大きく押し上げた。併せて、24年3月期の期末一括配当を従来計画の7.5円→20円(前期は7.5円)に大幅増額修正した。3％を超える期末配当利回りも意識される形で、株価は2日に年初来高値を更新している。

3位にリスト入りしたのはサイバーセキュリティサービスを提供するグローバルセキュリティエキスパート <4417> [東証Ｇ]。7-9月期(第2四半期)は売上高17.5億円(前年同期比25.6％増)、経常利益3.4億円(同52.5％増)と2ケタ増収増益でいずれも過去最高を達成した。中堅・中小企業の旺盛なコンサルティング需要を取り込んだほか、セキュリティ人材特化型に改革中のシステムエンジニアリングサービスなども好調だった。

続く4位のストライク <6196> [東証Ｐ]はインターネットを活用したマッチングシステムに強みを持つM&A仲介会社。7-9月期(第4四半期)は大型案件が増加するとともに受託案件の単価も上昇し、経常利益は22.5億円(前年同期比39.0％増)と4四半期ぶりに過去最高益を更新した。同時に発表した24年9月期の同利益は前期比34.9％増の70.3億円と9期連続で過去最高益を更新する見通しだ。業績好調に伴い、前期の年間配当を48円→51円(前の期は40円)に増額し、今期も前期比11円増の62円に増配する方針を示している。

6位にリストアップされた元気寿司 <9828> [東証Ｓ]の7-9月期(第2四半期)業績は経常利益14億円(前年同期比3.1倍)と2四半期連続の最高益更新を遂げた。新型コロナウイルス感染症の5類移行による外食需要の回復を追い風に国内の既存店売上高が2ケタ増収を続けたほか、店舗運営の合理化と適正化を進めたことなども大幅増益につながった。上期好決算を受けて、減益予想だった24年3月期通期の経常利益を最高益見通しに大幅上方修正し、配当予想も増額修正した。株価は連日の急騰で2日に3500円まで上値を伸ばし、18年9月につけた上場来高値を更新している。

※決算発表の集中期間(11月14日まで)は、その日に発表された決算で7-9月期に増収増益を達成した銘柄を速報ベースで毎日19時ごろ配信しています。こちらも併せてご覧いただき、銘柄選びにご活用ください。

●「高成長企業を追う！ 7-9月期【増収増益】リスト」配信一覧 ────

「10月26日版 20社選出」「10月27日版 27社選出」「10月30日版 48社選出」

「10月31日版 60社選出」「11月1日版 21社選出」「11月2日版 37社選出」

┌─ 四半期 経常利益 ─┐　┌── 通期 経常利益 ──┐ 予想

コード 銘柄名　 　　 上振れ率 7-9月期 過去最高　上振れ率 今期予想 過去最高 　PER

<9507> 四国電　　　　　　97.2　 49113　　24903　　　13.7　　58000　　51022　 5.6

<1514> 住石ＨＤ　　　　　91.6　　5536　　 2889　　　58.6　　 5900　　 3719　 5.2

<4417> Ｇセキュリ　　　　52.5　　 340　　　223　　　47.1　　 1084　　　737　46.1

<6196> ストライク　　　　39.0　　2256　　 1623　　　34.9　　 7030　　 5211　15.0

<4151> 協和キリン　　　　33.9　 38293　　28601　　　27.3　　86000　　67572　18.5 *

<9828> 元気寿司　　　　　32.9　　1403　　 1056　　　42.3　　 3283　　 2307　32.6

<4528> 小野薬　　　　　　31.3　 56918　　43360　　　17.7　 169000　 143532　10.0 *

<7735> スクリン　　　　　25.4　 25691　　20484　　　11.1　　86000　　77393　12.7

<4832> ＪＦＥシステ　　　24.8　　2263　　 1813　　　11.4　　 7000　　 6282　10.5

<2875> 東洋水　　　　　　20.2　 18369　　15277　　　30.4　　57000　　43724　19.0

<9759> ＮＳＤ　　　　　　19.5　　4035　　 3377　　　19.3　　15100　　12662　20.8

<4718> 早稲アカ　　　　　16.0　　1620　　 1396　　　10.8　　 2693　　 2431　16.6

<4956> コニシ　　　　　　12.5　　2792　　 2482　　　22.4　　 9700　　 7927　12.6

<4307> 野村総研　　　　　11.4　 30959　　27789　　　 8.8　 118000　 108499　30.2 *

<4373> シンプレクス　　　10.3　　2254　　 2044　　　18.8　　 8667　　 7298　23.7 *

<8056> ビプロジー　　　　 9.6　 11012　　10049　　　 8.3　　32500　　30001　18.3 *

<9960> 東テク　　　　　　 8.9　　3552　　 3261　　　13.8　　 9300　　 8172　10.9

<6368> オルガノ　　　　　 8.0　　5436　　 5034　　　29.2　　20700　　16020　18.3

<8014> 蝶理　　　　　　　 7.8　　4016　　 3725　　　12.6　　14000　　12437　 7.9

<8772> アサックス　　　　 6.6　　1295　　 1215　　　 7.2　　 4607　　 4297　 7.2

<3371> ソフトクリエ　　　 4.7　　1497　　 1430　　　18.1　　 5300　　 4489　13.6

<7203> トヨタ　　　　　　 4.7 1800972　1720553　　　39.1　5550000　3990532　 9.4 *

<7191> イントラスト　　　 4.0　　 516　　　496　　　29.2　　 2100　　 1625　14.3

<7283> 愛三工　　　　　　 3.6　　5032　　 4857　　　20.7　　17000　　14083　 6.9

<9267> Ｇｅｎｋｙ　　　　 2.9　　2089　　 2030　　　 2.4　　 7250　　 7079　16.6

<5204> 石塚硝　　　　　　 2.6　　1681　　 1639　　　36.2　　 3800　　 2791　 4.4

<2002> 日清粉Ｇ　　　　　 2.4　 13412　　13099　　　42.2　　47000　　33051　22.3

<8771> イー・ギャラ　　　 0.8　　1191　　 1181　　　15.8　　 4900　　 4231　26.7

<9934> 因幡電産　　　　　 0.7　　5578　　 5537　　　 2.6　　20800　　20272　12.5

※ 2022年9月以降に上場した企業と今期見通しを開示していない企業は除いた。四半期の過去最高益は原則、四半期決算の開示が本格化した2003年4-6月期以降の業績に基づいたものです。

※過去最高益は同一会計基準内が対象。「*」は国際会計基準を採用する銘柄。

株探ニュース