ゼロから始める「株探」の歩き方 ― (7)有望株の選別はチャートがキモ!

特集
2019年10月24日 17時25分


「チャートは株価分析の要! キラリと光る値上がり銘柄を探そう」

横山利香(ファイナンシャルプランナー、テクニカルアナリスト)

◆天底を知るバロメーター「出来高」

次に、下段に表示されている「出来高」チャートをみていきましょう。そもそも株価は、株を買いたい人と株を売りたい人がいて取引が成立することで値段がつきます。一つの銘柄を取引した人が、一定期間にどれだけいたのかを表したチャートが「出来高(もしくは売買高)」です。出来高がどれだけできているのかで、どれだけ相場に勢いがあるのかを分析することができます。

一般的に、株価が値上がりしている時には「まだまだ上がるだろう」と考える投資家が増えて、買い意欲が旺盛な状態になります。買い意欲が旺盛になれば株の取引数がどんどん増え、結果として出来高は増加します。出来高が増大している時は商いが活況である、つまり地合いが良いと考えられます。

反対に、株価が値下がりしている時には、「もっと下がるかもしれないなあ」と不安に思う投資家が増えて、取引を控え始めます。株の取引を控える投資家が増えると、買い意欲はますます後退した状態になり、結果として出来高は減少します。出来高が少なくなった状態のことを「閑散である」などと言います。

株探では、出来高が前の期間の株価に比べてプラスの場合には赤色、マイナスの場合には青色、同値の場合にはグレーで表示されています。例えば、日足チャートで昨日より本日の株価(終値)が上にあれば、出来高は赤色で表示されます。前日より本日が下げていれば本日の出来高は青色になります。チャートの上部にある項目の「指標エリア2」は下段のチャートのことで、「出来高」にオレンジの網とチェックの表示があることを確認します(図7参照)。

図7 色分けされた特徴的な出来高チャート

【タイトル】

株価と出来高の関係には、(1)出来高が株価に先行するケース、(2)出来高と株価が同時並行するケース、(3)出来高が株価に遅行するケースの三つのパターンがあります。

株価が長期にわたって低迷している時に、少しずつ出来高が増え始めて上昇に転じる場合があります。また、株価がじりじりと値下がりしていく時に、出来高が少しずつ減少していく場合があります。どちらも時間をかけている場合が多いので、(1)出来高が株価に先行するケースや、(3)出来高が株価に遅行するケースで見られることがあります。

また、株価がそれまでの動きから変化して出来高が急増する場合があります。天井打ちや底打ち近づいてくるとみられる場合が多く、チャートパターンの形成につながることもあります。(2)出来高と株価が同時並行するケースがこれにあたります。

たとえば、株価が暴落した時を思い出してください。株価が下落すればするほど、「株価がどこまで下がるかわからないから売っておこう」と考える投資家が増える一方で、値頃感から「だいぶ安くなったからそろそろ底打ちかも」と考える投資家も増えてきて、株価は出来高を伴って下げ止まることがあります。

代表的な天底を判断する目安もあります。株式市場が悲観的になって売りが売りを呼び、株価が出来高を伴って底を打つことを「セリング・クライマックス(略してセリクラ)」と言います。反対に、株式市場が上昇するからと買いが買いを呼び、株価が出来高を伴って天井を打つことを「バイイング・クライマックス」(バイクラ)と呼びます。

チャートで株価の動きを分析して売買すれば、絶対に儲かるというものでもありません。ただ、上昇相場であれば雰囲気や勘で売買しても儲けやすいですし、想定外の動きがあっても助かる確率もそれなりに高いからよいのですが、下落相場になれば、雰囲気や勘で売買してカンタンに儲けられるわけではありません。勘や雰囲気に頼った売買を続けていては、儲けを失ってしまうことにもなりかねません。

株価の動き一つ一つは私たちの売買が形作ったもので、多くの人が過去の株価を参考に売買をしています。マーケットが動く方向に逆らわなければ、大きく損失を被ることも少なくすることができるでしょう。ですから、チャートの分析方法を習得して、チャート分析を習慣化することが大切です。日頃から「いつ売買したらいいのかな」と悩んでいる方は、これを機会にチャートを利用してみるとよいでしょう。

次回以降は、株探で他にどのようなチャートを表示させることができるのか、基本情報などを解説していく予定です。

>> 8回目に続く

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