ゼロから始める「株探」の歩き方 ― (31)「循環スイングトレード」で、株式市場のトレンドをつかもう【市場マップ】

特集
2020年11月6日 10時00分

地合いの波にチャートを使って乗り続けよう

横山利香(ファイナンシャルプランナー、テクニカルアナリスト)

◆買われ過ぎ、売られ過ぎをチェック(2)――「ボリンジャーバンド」

「株価動向分布」の4つめの項目である「ボリンジャーバンド」は、株価がボリンジャーバンドのチャートのどこに位置しているのかを表すものです。ボリンジャーバンドは、過去の株価の変動幅を元に現在の株価がどの程度の水準にあるのかを表したチャートです。移動平均線を中心にして、データのばらつき具合を表した標準偏差(シグマ=σ)を用いて算出された線が上に3本(プラス1σ、プラス2σ、プラス3σ)、下に3本(マイナス1σ、マイナス2σ、マイナス3σ)描かれます(図9)。

株価は、基準となる移動平均線(ミッドバンドと呼びます)を中心とした比較的に狭い変動幅の中で収まる確率が高いとされています。株価がミッドバンドからプラス圏にある場合、プラス2σ、プラス3σと上方向に遠ざかるほど買われすぎとされています。反対にマイナス圏にある場合、マイナス2σ、マイナス3σと下方向に遠ざかるほど売られすぎとされています。また、株価の値動きが激しくなればバンドの幅が広がり、値動きが小さくなるとバンドの幅が狭まるという特徴を持っています。

図9 ボリンジャーバンド・チャート

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ボリンジャーバンドは統計学を応用したチャートであり、株価がボリンジャーバンド±1σの範囲内に収まる確率は約68%、±2σの範囲内に収まる確率は約95%とされます。±2σを超える確率は4.55%、±3σを超える確率はわずか0.27%にすぎません。もちろん、株価は理論通りに動くとは限りませんので、確率的には可能性が低い±3σのバンド内に位置することや±3σを突破することもあります。株価が±2σを超えて±3σで推移している時、あるいは±3σを超えた時などは、株価が買われすぎや売られすぎの状態である可能性があります(その判断を行う際にはボリンジャーバンドだけでなく、他のテクニカル指標を併用することをお勧めします)。

「株価動向分布」の「ボリンジャーバンド」ではプラス3σに近づくほど濃い赤色で表示され、マイナス3σに近づくほど濃い青色で表示されます(図10)。小さな四角にポインタを置くと「業種、市場、コード番号、銘柄名、株価、上昇・下落率、標準偏差(σ)の値」をポップアップウインドウで表示でき、さらに四角をクリックすると個別銘柄のボリンジャーバンドのチャートページへと移動できます。

「株価動向分布」の「ボリンジャーバンド」は「乖離率/25日線」と同じく、相場の過熱感を一目で把握することができ、相場がいつ反転するかを分析するときに活用することができます。「ボリンジャーバンド」の項目で10月27日の「新興市場」の状況を表示させると、売られ過ぎの可能性のある青色(マイナス2σ超、マイナス3σ超)の割合が多くなっており、相場の地合いが全体的に悪くなっていることがわかります。ボリンジャーバンドの詳細については第9回の「市場の評価をチャートで確認しよう」で取りあげていますので参考にしてください。

図10 「市場マップ」の株価動向分布 「ボリンジャーバンド」(新興市場) 

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投資環境は絶えず変化を続けていて、その時々で物色する銘柄も入れ替わっていきます。市場全般の地合いが良さそうであってもセクターによっては売られている場合や、指数に与える影響が大きい銘柄ばかりが動いているなどということはよくあることです。東証1部の動きは冴えなくても、東証マザーズなどの新興市場は好調であるといった景色も投資家ならばよく目にしているはずです。

地合いが良い時には、ついつい調子に乗って無駄にポジションを構築してしまいがちです。ある日突然、株価が急落するといった不測の事態に直面すると、目先の動きに右往左往して冷静な判断を下すことが難しくなることも多いでしょう。

そうした事態をできるだけ避けるためには、どのような市場で、どのような業種が買われているのか、反対にどのような業種が売られているのかを事前に分析して、物色の波を捉える必要があります。これを私は、「循環スイングトレード」と名付けています。

テクニカル指標を活用することで、株価の過熱感などから相場の全体的な地合いや物色の波を分析し、冷静な売買を判断していきたいものですね。

次回は、「市場マップ」のその他の項目について解説する予定です。

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