マーケット&北陸経済動向(09/01)【今村証券アナリストレポート】
(1)マーケット動向
7月終盤に一時6万1000円を割り込んだ日経平均株価は3週間弱で6万9000円台まで回復し、東証株価指数(TOPIX)は8月4日から8日続伸して最高値を更新した。米ダウ工業株30種平均やS&P500種株価指数、欧州の主要企業で構成するストックス600、ドイツ、フランス、イタリアの主要指数も最高値を付けた。マイクロソフト<MSFT>、アマゾン・ドット・コム<AMZN>といった米ハイパースケーラー(大規模クラウド事業者)の好決算が買い安心感を誘った。日本でも好業績銘柄が買われ、日経平均採用銘柄の内、8月の時価総額増加率トップ(8月27日時点)となったヤマハ発動機 <7272> [東証P]は2026年12月期業績予想を引き上げ、2位の三菱マテリアル <5711> [東証P]、3位の住友金属鉱山 <5713> [東証P]は2027年3月期業績予想を引き上げた。

日本経済新聞社によると、東証プライム市場に上場する3月期決算企業の4~6月期純利益は前年同期比65%増え、2027年3月期予想は前期比14%増と5月時点の予想(5%増)から上振れた。人工知能(AI)需要の拡大、値上げ、円安などが押し上げ、例年に比べて多くの企業が業績予想を上方修正した。日本のAI(人工知能)・半導体関連株は、半導体製造装置や部品・素材など、AIインフラを支える企業が多く、高市首相肝入りの17分野の成長投資計画を追い風に中長期的な成長が期待できる。今後数年間、日本企業の1株当たり利益(EPS)が年平均10%ペースで成長するとの見方を示す資産運用会社もあり、堅調な企業業績は今後も株価を下支えしそうだ。

一方で8月後半は日本株の上値が重かった。世界的に金利が上昇(債券価格は下落)し、高PER(株価収益率)銘柄が多いAI・半導体関連株の相対的な割高感が意識された。日本の10年物国債利回りは1996年9月以来となる2.945%を付け、5年債は過去最高、2年債は31年ぶりの水準まで上昇した。米国では30年債の利回りが19年ぶりの高水準となり、金利上昇を防ぐために、日米の円買い協調介入や国債買い入れ消却(バイバック)拡大に踏み切った。
金利上昇の要因は、中東情勢の不透明感を背景にしたインフレの長期化懸念、財政悪化への懸念だ。米国とイランは戦闘終結の覚書で定めた60日間の交渉期限を迎えたが、最終合意に至らず、交渉期限の延長もされなかった。ホルムズ海峡は事実上封鎖されたままで、インフレ圧力が根強い。また、この戦闘に伴い、米国の財政悪化が続いている。日本では、来年度予算の概算要求で上限を設けなかったこと、来年4月からの実施を表明した食料品の消費税減税において財源の見通しが立っていないことなどが財政悪化懸念を招いた。


日銀の早期利上げ観測も日本の金利上昇につながった。日米協調介入を実施する際に米国が日銀の利上げ加速を条件として提示したとの見方があるほか、ベッセント米財務長官は日銀の植田総裁が「必要なことを実行すると信じている」と利上げを催促している。日銀内部からも利上げに前向きな発言が出てきており、7月に開催された金融政策決定会合における「主な意見」には「利上げのペースが市場の想定より早まることも考えられる」などのコメントがみられた。東短リサーチ・東短ICAPが提供する9月に日銀が利上げする確率は83%(8月27日現在)だ。


当面の日本株は金融政策を睨んだ神経質な展開が予想される。9月24日には米中首脳会談が予定されており、貿易やAIなどを巡る対立が緩和に向かうようであれば、株式相場にとって好材料になるだろう。

(2)北陸経済動向
中部経済産業局は総括判断を「緩やかに持ち直している」とし、前月の「持ち直しの動きがみられる」から引き上げ、生産の判断も上方修正した。北陸財務局は生産の判断を前回(4月)から引き上げた。

生産については、6月の鉱工業生産指数(速報値・季節調整済)が前月比1.2%増と4カ月連続で上昇し、前年同月比では14.2%増と7カ月連続で上昇した。殊に生産用機械工業の伸びが大きく(前月比12.4%増、前年同月比37.4%増)、半導体製造装置などが増加した。電子部品・デバイス工業は自動車部品が回復して持ち直した(前月比3.9%増、前年同月比31.5%増)。

低迷が続いていた住宅着工件数は6月まで3カ月連続で前年同月を大幅に上回った。また、設備投資は全産業の2026年度計画が前年度比18.6%増と4年連続の増加見通しであり、製造業、非製造業ともに増加見通しだ。
一方で個人消費では、6月の商業動態統計小売6業態販売額(全店ベース)が前年同月比0.6%減と52カ月ぶりに前年同月を下回った。気温が低く、夏物商材の売れ行きが低調で、百貨店では衣料品が、ホームセンターでは園芸用品が落ち込んだ。前年同月比10.7%減と減少率が大きかった家電大型専門店は前月に好調だったエアコン販売が減少した。
総じて堅調な北陸経済だが、中東情勢などの国際情勢、米国の関税措置、為替、エネルギー・原材料価格などによる影響には注意が必要だ。


(参照:日銀金沢支店発表資料「北陸の金融経済月報」、「北陸短観」、国土交通省発表資料、経済産業省及び経済産業省中部経済産業局発表資料、財務省北陸財務局発表資料、内閣府発表資料より今村証券作成)
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