“働き方改革時代”の幕が上がり…、脚光「福利厚生」関連株 <株探トップ特集>

特集
2018年4月11日 19時30分

―福利厚生代行サービスも売り手市場に? 空前人手不足で人材獲得&流出防止策の需要増―

厚生労働省が3月30日発表した2月の有効求人倍率(季節調整値)は前月比0.01ポイント低下の1.58倍で、5年5ヵ月ぶりに悪化したものの、これは1月に寒波の影響で求職活動が鈍り失業率が大きく低下した反動が出たためで、依然として空前の人手不足状態が続いている。また、政府が6日に閣議決定した働き方改革の導入などもあり、採用する側の企業も、賃金や勤務内容などの就労条件に加えて、今後は健康管理や休暇取得促進を背景とした旅行のサポート、従業員への報奨制度など福利厚生面での充実が、人材獲得や流出防止の有効な対策であるという認識を深めている。そこで、こうした福利厚生関連業務の運営代行サービスを手掛ける企業に注目した。

●ベネフィット・ワンは21年3月期に総会員数3000万人目指す

パソナグループ <2168> の子会社で、同グループ中核企業のベネフィット・ワン <2412> [東証2]は、官公庁や企業の福利厚生業務の運営代行サービスを手掛ける業界最大手として、現在(17年9月時点)国内7809の企業・団体、総会員数785万人と順調な成長を遂げている。同社は18年3月期通期の連結業績について、売上高350億円(前の期比18.7%増)、経常利益69億5000万円(同21.4%増)と大幅な増収増益を見込んでいる。顧客企業の従業員に向けた宿泊やライフサービスなどの福利厚生事業や、健保や事業主から受託して健診サービスや特定保健指導、健康ポイントやストレスチェックなど体と心の疾病予防のための支援をワンストップで提供するヘルスケア事業が高い伸びをみせている。

ベネフィット・ワンでは「今後は大手顧客の獲得などにより、2021年3月期での総会員数3000万人達成を目指している。また、経済産業省と東京証券取引所が、東証に上場している企業のなかから、従業員などの健康管理を経営的な視点で考え、戦略的に取り組んでいる企業を原則1業種1社で選定する制度の“健康経営銘柄2018”に当社が選定された」(経営企画室)としている。

●リログループは企業の人材獲得を福利厚生充実で支援

転勤に伴う留守宅管理を行うリロケーションサービスを主力事業とするリログループ <8876> にも注目したい。同社は1993年に福利厚生代行サービスをスタートし、その後も順調に業容を拡大している。同社は18年3月期通期の連結業績について、売上高2260億円(前の期比10.2%増)、経常利益165億円(同15.9%増)と大幅な増収増益を見込んでいる。さらに、19年3月期の経常利益については200億円と計画している。このなかで、福利厚生部門の経常利益を68億円と予想しているが、これが大幅超過達成の見通しとなっているという。

これについて同社では「将来的な労働人口の減少傾向が鮮明となるなかで、企業としては、新規採用や既存社員の流出防止など人材確保に向け、給与などの就労条件に加えて、幅広い福利厚生制度を導入し充実させることが必須条件となっている。さらに、これまで福利厚生に比較的関心の薄かった中堅・中小企業や地方企業での導入が目立ちはじめた」(企画・IRグループ)としている。

●リクルートHDは共同で国内旅行予約サイトを展開

また、リクルートホールディングス <6098> は、福利厚生アウトソーシング大手のイーウェル(本社・東京都)と共同で、委託企業の従業員を対象とした国内旅行予約サイト「WELBOX じゃらん」を04年からスタートし、着実な拡大をみせている。なお、イーウェルの大株主には、東急不動産ホールディングス <3289> 、住友商事 <8053> が名を連ねている。さらに、バリューHR <6078> は「健康管理のインフラを目指す」を事業目標として、企業や健康保険組合、個人向けにWebシステムを用いた「健康管理サービス」を展開しているが、その一環として「団体向け福利厚生支援事業」も展開している。

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