再到達“2万3000円”、晴れた視界と「先高シグナル点灯株」 <株探トップ特集>
―3ヵ月半ぶり大台回復、25・75日線GC点灯目前好業績株リストアップ―
週明け21日の東京株式市場は、米中貿易協議の結果を受け、通商問題への懸念がやや和らいだとの受け止めなどを手掛かりに買い優勢の展開となり、日経平均株価終値は3日続伸し、前週末比72円01銭高の2万3002円37銭となった。終値での2万3000円台回復は2月2日以来約3ヵ月半ぶりのこと。こうしたなか、テクニカル指標で先高のシグナルとされる、25日と75日両移動平均線のゴールデンクロス(GC)が目前となっている銘柄のなかから、今期好業績予想の割安銘柄に注目した。
●加藤製作、中国などアジア向けの建機好調が業績を牽引
加藤製作所 <6390> が14日に発表した19年3月期通期の連結業績予想で、売上高900億円(前期比3.5%増)、経常利益45億円(同85.0倍)、純利益28億円(同7.7%減)を見込み、年間配当は前期比15円増の95円を予定している。国内では、大都市圏での建設投資好調を受けて、クレーン・ショベルともに前年並みの需要を見込む。一方、海外では中国でのショベル需要の増加に加えて、アジア向けクレーンや北米向けクローラキャリア(不整地運搬車)需要の増加が見込まれ、これらが業績を牽引する見通しだ。
●オカダアイヨン、買収した南星グループの収益の通期寄与が奏功
破砕・解体用建機メーカーのオカダアイヨン <6294> は11日、19年3月期通期の連結業績予想を発表した。売上高は175億円(前期比13.6%増)、経常利益は15億円(同18.0%増)、最終利益は9億3000万円(同39.6%増)を見込んでいる。東京オリンピック・パラリンピック開催に向けたインフラ整備や、首都圏を中心とした都市再開発に関連して、同社にとって堅調な事業環境が想定される。国内では営業基盤の拡大、生産体制の再整備、市場ニーズを先取りした新商品の開発などへの注力に加え、17年10月に買収した林業機械などを手掛ける南星グループとの統合効果の最大化を図るとともに、海外では成長の見込める市場の開拓に取り組む。
●フジミインコ、シリコンウエハー向け研磨材が好調
シリコンウエハー用研磨材 大手のフジミインコーポレーテッド <5384> が11日に発表した19年3月期通期の連結業績予想で、売上高365億円(前期比2.0%増)、経常利益52億円(同10.0%増)、純利益39億円(同29.5%増)と増収増益を見込み、年間配当を前期比17円増の80円と予定している。半導体業界が足もとで好調に推移していることを受けて、ラッピング材やポリシリング材などシリコンウエハー向け製品が伸長する見通し。また、メモリーデバイス向け製品需要の増加により、CMP(化学的機械研磨)向け製品も伸長が見込まれ、これらが業績を牽引する。
●東海カーボン、黒鉛電極の価格上昇やカーボンブラックの販売増加が寄与
東海カーボン <5301> は8日、18年12月期通期の連結業績予想の上方修正を発表した。売上高を1740億円から1940億円(前期比82.6%増)へ、経常利益を440億円から648億円(同4.9倍)へ、最終利益を300億円から468億円(同4.0倍)へそれぞれ増額した。売上高は黒鉛電極の販売価格上昇、カーボンブラックの販売量増加および原料油価格上昇に伴う価格改定の実施などにより予想を上回る見込み。経常利益は、黒鉛電極やカーボンブラックの収益性向上などにより予想を上回る見通し。
●サンリツ、半導体製造装置など精密機器の取扱い増加に注力
工作機械など輸出用梱包に強みを持つサンリツ <9366> は10日、19年3月期通期の連結業績予想を発表した。売上高165億円(前期比0.7%減)、経常利益8億1000万円(同13.8%増)、最終利益4億8000万円(同4.5%増)を見込む。国内事業では、産業界全体におよぶ労働力不足を勘案し、労働力確保に重点を置いて、半導体製造装置、制御システムを中心とした精密機器の取り扱い増加に注力する。また一方、低採算案件の絞り込みも同時に行う。加えて自社倉庫に導入した自動ロボット制御ピッキングシステムによる省力化を推進するとともに、多様な人材の確保に取り組む。海外事業では、工作機械の取り扱いに引き続き注力するなかで、限られた人員と設備を効率よく活用する。
●スクリーン、半導体機器事業が業績向上を牽引
SCREENホールディングス <7735> は8日に発表した19年3月期通期の連結業績予想で、売上高3840億円(前期比13.2%増)、経常利益510億円(同23.4%増)、純利益370億円(同29.8%増)と大幅増益を見込み、年間配当は前期比45円増の155円を予定している。データセンターやストレージ向けのメモリー需要の拡大に加えて、人工知能(AI)や5G向けなどで半導体需要が見込まれることから、引き続き半導体機器(SE)事業が牽引役となる見通し。また、スマートフォン用の有機ELディスプレー向けなどにディスプレー製造装置および成膜装置(FT)事業なども業績向上に貢献する。
●蛇の目、家庭用ミシンの海外販売を積極化
蛇の目ミシン工業 <6445> は11日、19年3月期通期の連結業績予想を発表した。売上高は420億円(前期比3.0%増)、経常利益は24億円(同13.7%増)、最終利益は16億円(同15.0%増)を見込んでいる。家庭用ミシン業界最大の市場である北米市場と、欧州市場を重点市場とし、海外ミシン販売戦略を展開する。具体的には、前期から取り組んでいる北米子会社再編の効果を効率的に反映するべく活動する。また、欧州市場でもサービスおよび物流の強化に取り組み、販売拡大を進める。また、ロシアをはじめとする他の市場でも積極的な活動を展開し販売拡大に努める。国内ミシン事業は、引き続き国内トップシェアの維持・拡大に努めるとともに、トップメーカーとして、市場の需要拡大に貢献する。
◆主な25・75日線GC達成目前の好業績予想割安銘柄◆
経常
銘柄 <コード> 増益率 株価 PER
加藤製 <6390> 85.0 2886 12.1
ユニデンHD <6815> 2.0倍 361 8.0
トヨカネツ <6369> 26.2 3795 16.0
サンデンHD <6444> 58.7 1777 12.3
三井金属 <5706> 3.6倍 5420 11.9
エプソン <6724> 18.1 2068 12.6
オカアイヨン <6294> 18.1 1756 15.3
ヨロズ <7294> 11.5 2026 12.0
グローバルG <6189> 15.1 1624 12.7
日立金属 <5486> 37.3 1355 12.1
田中商事 <7619> 53.4 7 66 8.0
フジミインコ <5384> 10.0 2584 16.3
東海カーボン <5301> 4.9倍 1876 8.5
蛇の目 <6445> 13.7 774 9.4
カーリットHD <4275> 14.9 1206 19.0
堺化学 <4078> 16.8 3090 16.4
サンリツ <9366> 13.9 815 9.5
日本トムソン <6480> 2.3倍 982 18.5
カドカワ <9468> 2.4倍 1192 14.5
共栄タンカー <9130> 54.1 1971 11.6
渋沢倉庫 <9304> 40.1 1873 13.6
TOWA <6315> 13.0 1488 12.8
スクリーン <7735> 23.4 9470 11.9
コーセル <6905> 21.8 1483 17.1
デクセリアルズ <4980> 17.9 1165 16.8
※株価は21日終値(単位:%、円、倍)
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