底値圏からの逆襲始まる! 騰勢加速「究極のテーマ株」10選 <株探トップ特集>
―「大型株」から「中小型株」に資金シフトの時、快足株の目覚めを追え―
東京株式市場では、わずか1ヵ月の間に投資家のセンチメントが右に左に大きく振り回される展開となっている。米中貿易摩擦をはじめとしたトランプ通商政策に対する先行き不透明感は、相場の足かせには違いない。しかし本質はそこではなく、それにかこつけたヘッジファンド筋の暗躍といった趣きが強い。
トランプ政権の2000億ドルの追加関税案の開示に対し、中国が沈黙している状態にもかかわらず、日経平均株価の値運びは目まぐるしい。6月中旬から7月初旬にかけての急速な調整でいったんは悲観論に支配されたが、その後7月6日を境に景色は一変、文字通りのV字回復で2万3000円大台を再び指呼の間に捉える場面があった。
●眠りから目覚めた“快足テーマ株”をロックオン
ただ、ここからは一筋縄ではいかない可能性がある。2万3000円ラインは単なる心理的なフシではない。これまで5月21日、6月12日にいずれも2万3000円トビ台で目先の天井を形成した経緯があり、今回も同じように2万3000円近辺で踵(きびす)を返して下値模索となれば、典型的な3点天井となって売り方が闊歩する弱気相場へと舞台が回りかねない。そこは用心しておく必要がある。
現在は、米国経済の強さとそれに付随する米株高、ドル高(円安)が東京株式市場においても拠り所だ。一方で、中国経済減速に対する警戒感は根強いものがある。ここ銅市況の下落基調が際立っているが、これは中国の経済実勢を映す鏡と指摘する声もある。中国向け比率の高い機械株やインバウンド関連への売り圧力は、こうした思惑が底流しており、銘柄の選別にも注意を要するところだ。
今は日経平均の大出直りを主導した主力大型株よりも値動きの軽いテーマ株に資金をシフトするのがリターン・リバーサルの論理から得策である。ただし、日経平均は7月中旬に目の覚めるような戻りを演じたとはいえ、個人投資家資金は依然として傷んだ状態にある。大手ネット証券店内の東証マザーズの信用評価損益率は19日時点でマイナス20%と引き続き投げ売りモード寸前の水準であり、個人の信用余力の低下は否定できない。ここは短期スタンスが基本線。足の速い中小型銘柄を主軸に機動的な売買で値幅を取りに行くのが相場巧者の技といえる。中期トレンドが上向きに転じている銘柄でも、足が速いだけにその反動はある。上昇過程で売買を繰り返して利益を積み重ねるイメージで臨みたい。
●EV電池関連で大泉製、田中化研が復活へ
まず、テーマとして電気自動車(EV)関連。世界的な自動車の環境規制を背景にEVシフトの動きが強まっている。世界最大の自動車市場である中国や欧州では国策としてEV普及に注力している。日本でも自動車業界の盟主トヨタ自動車 <7203> がパナソニック <6752> とEV向け電池事業で提携、ホンダ <7267> も同業他社とEV開発で連携する姿勢を打ち出すなど、大手各社本腰を入れる構えだ。
関連有力株としてはまず、大泉製作所 <6618> [東証M]をマークしたい。株価は底値圏で売り物を枯らした状態で浮揚力が働く場面だ。同社は自動車向け温度センサーを手掛けるが、EV及びオール電化分野向け次世代センサーの開発を進めている。またEV向け充電器への展開も期待される。今年1月に1398円の高値をつけており、時価は約半値水準。株価上昇時の瞬発力は抜群だ。
また、EV向けリチウム電池の心臓部を担う正極材メーカーである田中化学研究所 <4080> [JQ]も底値圏から急速に株価を立ち上げてきた。19年3月期業績は営業利益段階で3億5000万円予想と前期比で半減する見通しだが、株価的には織り込みが進み、世界的なEV普及を背景に20年3月期以降の成長シナリオが徐々に意識されそうだ。テクニカル的にも5日・25日移動平均線のゴールデンクロス示現で短期的に上昇加速場面も想定できる。目先連騰の後の押し目を逃さず狙ってみたい。
●AI関連はODK、ジシステムが仕込み場に
人工知能(AI)も株式市場において色褪せることのない永遠のテーマだ。東京市場ではAI関連株への投資資金流入が波状的に続き、銘柄によっては短期間で大きく株価の居所を変える銘柄も少なくない。ソフトバンクグループ <9984> は、10兆円規模の「ソフトバンク・ビジョン・ファンド」設立に際しAIや半導体分野に積極投資する方針を示しており、その一挙手一投足に耳目が集まっている。孫正義社長は「AIがすべての産業を再定義し、AIを制したものが未来を制す」と公言してはばからない。関連銘柄の裾野も次第に広がっているが、つれて株価面で評価不足と思われる銘柄も相次いでいる。
ODKソリューションズ <3839> [JQ]はシステム開発・運営を行い、大学入試や証券取引関連のビジネスプラットフォーム提供を主力としているが、AI分野に注力姿勢をみせているのがポイント。米ソフトウエア開発会社のZendesk社とソリューションプロバイダ契約を結び、ODKが持つAI技術とZendeskが提供するソフトウエアを連携したサービスを展開している。19年3月期は増収ながら採算低下で減益見通しだが、20年3月期は増益トレンドに復帰する公算が大きい。
また、ジャパンシステム <9758> [JQ]は株価が底値圏にあるだけでなく、300円台と低位に位置するだけに人気素地がある。米HP系のシステムインテグレーターだがSI事業のほかソフトウエア開発を中心とするITサービスに強い。AIや機械学習などの認知システムやロボティクスなどを活用した新サービス創出活動に注力している。株価は15年7月に1129円まで買われた実績がある。
●フィンテックでクロスキャット、エキサイトに照準
金融の世界もビットコインをはじめ 仮想通貨の存在感が高まるなかで、テクノロジーとの融合が強く意識されるようになってきた。 フィンテックはファイナンス(金融)とテクノロジー(技術)を組み合わせた造語だが、既にメディア上では仮想通貨やブロックチェーン技術を覆い包む形で日常に浸透した響きがある。金融行政にも時代に即した対応が求められるなか、メガバンクなど大手金融機関もフィンテック分野に経営資源を注ぎ込み、主導権をとるべく躍起だ。
そのなか、有望関連株として折に触れ株価を急動意させるのがクロスキャット <2307> [東証2]だ。クレジットや金融機関向けに強みを持つソフト開発会社でブロックチェーン分野を積極的に深耕、同分野で先行するカウラ社とも提携している。仮想通貨発行に関するエンジニア不足に対応した人材育成にも力を入れており、今後の展開力に期待が大きい。足もとは本業の金融関連のシステム受託開発は伸び悩んでいるが、官公庁向けで優位性を持つことは強みで、公共系の大型開発案件獲得の実績が生きる。株価は抜群の急騰習性をもち、今年4月中旬に800円台に位置していた株価を約1ヵ月後に1700円台まで暴騰させたのは記憶に新しい。
一方、目先動兆しきりなのがエキサイト <3754> [JQ]だ。同社は伊藤忠商事 <8001> を筆頭株主とするポータルサイト運営会社で、若年層をターゲットにネット広告と課金、およびブロードバンドサービスで収益を上げている。6月下旬に子会社を通じて初心者がFXトレードをトレーダーに一任できるサービス「macaso(マカソ)」の提供を開始、フィンテック事業に参入すると発表して急騰劇を演じた。6月25日には1280円まで買われた後、ほぼ“往って来い”の水準まで下げてきているが、目先売り物が枯れ再動意含みだ。回転売買中心で上値にシコリがない。信用買い残も17万株強に過ぎない。
●半導体関連は栄電子が最強穴株、三社電機も浮上へ
半導体関連株は米アップルのiPhone最新機種の販売低迷思惑などを底流に半年以上にわたり調整トレンドを余儀なくされているものが目立ち、立ち直りのタイミングをつかめないでいる。ところが、当の米株市場では半導体関連株は総じて強い動きを示しており、半導体銘柄で構成されるフィラデルフィア半導体株指数は、26週移動平均線を絡め中長期上昇トレンドを維持、時価は昨年末の水準よりも高い位置にいる。
あらゆるものをオンライン化するIoT時代の到来や、ビッグデータの普及加速でデータセンター増設の動きが加速、それに伴い半導体メモリーを中心とする投資需要は拡大基調が続いている。大型株については機関投資家が持ち高を減らすポジション調整圧力で逆風が強いが、株式需給面で実需売りニーズの低い中小型株については、見直し機運に乗る動きが随所にみられる。
そこで押し目をマークしたいのが急騰力抜群の栄電子 <7567> [JQ]だ。電源やコネクターに強みを持つ電子部品商社で、AI・IoT分野を中心とする企業の設投需要拡大が追い風となり半導体製造装置向けなどに部品販売が好調に推移している。18年3月期の2ケタ営業増益に続き19年3月期も前期比35%増の2億3800万円を会社側では予想している。時価はPBR1倍近辺で指標面からも割高感は乏しい。時価総額30億円未満で小型株特有の足の軽さが魅力。人気化すると出来高流動性も一気に高まり、昨年10月初旬から中旬にかけて5連続ストップ高の離れ業で株価を3倍化させた経緯がある。
また、三社電機製作所 <6882> [東証2]も割安感が強く、時価は1000~1100円近辺での底値鍛錬十分で急浮上前夜とみることもできる。同社は半導体モジュールや電源デバイスを手掛けており、とりわけパワー半導体分野での技術力の高さがポイントだ。パワー半導体とは、交流を直流に変えたり電圧を下げるといった、電気エネルギーの変換や制御に使われる半導体のことで、世界的に急速な普及局面に突入しているEV向けで市場が急拡大する可能性を秘めている。同社の業績は18年3月期に前の期比6.6倍と急回復を果たし、19年3月期も前期比15%増の17億円見通しと拡大が続く。
●ネット消費関連でエニグモ、アライドアーキに光
eコマース全盛の時代に米アマゾン・ドットコムは業績を躍進させたが、その影響は広く流通・小売業界全般に及んでいる。アマゾンがあらゆる企業を丸呑みにしてしまうと思わせるほどの強さをみせ、「アマゾン・エフェクト」という造語が世界中に浸透した。ネットに飲まれずネットをうまく活用することが消費関連企業の命題となるなか、同分野で商機を広げていく企業は、株式市場でも注目の的だ。対象銘柄は極めて数多いが、ユニークなビジネス形態を有する企業に光が当たりやすい。
個人輸入代行業務を行い、服飾中心の販売サイト「バイマ」を運営するエニグモ <3665> [東証M]は時流に乗る銘柄として収益成長路線を走る。18年1月期単独営業利益は一時的に伸び悩み前期比6%減の17億900万円となったが、トップラインは2ケタ成長を継続、既に利益も目先底入れから反転に転じており、19年1月期は2%営業増益の17億4500万円を予想、20年1月期も続伸が有望だ。今年2月末時点で登録会員数が500万人を突破、今後も増勢が見込まれる。週足では13週移動平均線との上方カイ離を解消し再騰の機をうかがう。
そして約3年ぶりの大底圏から立ち上がり、全般軟調相場でも異質の強さを見せ始めたのがアライドアーキテクツ <6081> [東証M]だ。企業のSNS活用支援業務及び広告サービスを展開する。株価は4月以降、大きく水準を切り下げてきた。18年12月期はシンガポールで子会社を通じて手掛けていた不採算のSNS広告事業から撤退したことで、売上高こそ期初計画を下回り前期比26%減と減少する見通しだが、損益面では前期の赤字から3億2800万円の黒字に転じる見通しに変化はない。株式需給面では売り物がこなれ、継続的な資金流入が観測され、ここは要マークの場面だ。
◇底値圏から逆襲開始! 騰勢加速「究極のテーマ株」10選◇
銘柄 <コード> 急騰性 中期的上値余地
クロスキャット <2307> ☆☆☆☆☆ ◆◆◆◆
エニグモ <3665> ☆☆☆ ◆◆◆
エキサイト <3754> ☆☆☆☆☆ ◆◆◆
ODK <3839> ☆☆☆ ◆◆◆◆
田中化研 <4080> ☆☆☆☆ ◆◆◆
アライドアーキ <6081> ☆☆☆ ◆◆◆◆
大泉製 <6618> ☆☆☆☆☆ ◆◆◆◆
三社電機 <6882> ☆☆☆ ◆◆◆◆◆
栄電子 <7567> ☆☆☆☆☆ ◆◆◆
ジシステム <9758> ☆☆☆ ◆◆◆◆
※急騰性は☆が多いほど強く、中期的上値余地は◆が多いほど大きい。
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