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2018年9月6日 19時30分
特集

EV充電「ワイヤレス化」とマーケット超拡大が始まる日 <株探トップ特集>

―iPhone搭載で普及に弾み、さらなる拡大への起爆剤は―

ワイヤレス充電(給電)市場が急速に拡大している。矢野経済研究所(東京都中野区)が7月に発表した「2018年版 ワイヤレス給電市場の現状と将来展望」によると、18年のワイヤレス給電の市場規模はメーカー出荷金額ベースで前年比42.4%増の1741億円になると予測。さらに23年には、18年比2.1倍の3590億円に拡大すると予測している。

現在のところ、ワイヤレス充電を搭載しているのは、スマートフォン ウェアラブル端末などのモバイル機器、小型家電などが主流だが、電気自動車(EV)などへの搭載も始まっている。今後、さらに多様な製品に受電モジュール・機器が搭載されるとみられ、関連銘柄は市場拡大の恩恵が大きいだろう。

●iPhoneに搭載で普及に弾み

ワイヤレス充電とは、電源ケーブルがなくても電気を供給することで、電磁誘導や電界結合、磁界共鳴、マイクロ波などの方式を用い、接点を設けない形式の給電システムをいう。

それまでにも小型家電などを中心に搭載されていたが、10年にワイヤレスパワーコンソーシアム(WPC)が国際標準規格「Qi(チー)規格」を策定したことで普及に道筋がついた。加えて、17年に米アップルが発売したスマートフォン「iPhone」の最新機種をQi規格のワイヤレス充電対応としたことで普及に弾みがついており、都内の家電量販店では「iPhone発売前はワイヤレス充電器はほとんど店頭に置いていなかったが、発売後はQi対応製品を中心に大幅に品ぞろえを増やした」という。今月には、現地時間12日に開催されるアップルの新製品発表会で、新型iPhoneの発表が噂されているが、ワイヤレス充電は継続されるとみられている。

●Qi関連でロームに注目

ワイヤレス充電に関しては、「直流共鳴方式」を開発した村田製作所 <6981> や、ワイヤレス充電用コイルを提供しているTDK <6762> 、ワイヤレス充電システムを手掛けるルネサスエレクトロニクス <6723> などが代表格とされるが、このほかにもローム <6963> に注目したい。前述のようにiPhoneのワイヤレス充電はWPCのQiに準拠しているが、ロームはWPCのレギュラーメンバーに加盟し、Qiの策定段階から協議に参加している。規格対応のチップセットなども提供しており、関連性は高い。

変わったところでは、オハラ <5218> を取り上げたい。同社のガラスセラミックス「ナノセラム」は、スマートフォンの背面などに使われているが、電流を通しやすい特性のため需要が増えているという。

●EVのワイヤレス充電化に期待

また、ワイヤレス充電市場をさらに拡大させるのが、世界的に進むEVシフトだ。現在のEVの充電はケーブルを用いるのが一般的だが、これをワイヤレス化しようという動きが強まっており、起爆剤となる可能性が高い。

EVのワイヤレス充電は、地面などに送電装置を、車に受電装置を設置し、充電場所に車を停車させるだけで自動的に充電が始まる仕組み。ワイヤレスにすることで、例えば雨天時に車から降りることなく充電ができるほか、雨に濡れたケーブルに触れる必要がなくなる。また、充電のために専用の充電ステーションを探す必要がなくなり、自宅や商業施設など、送電装置が埋設された駐車場に止めておくだけで充電できるようになる。

●数年後には巨大市場が誕生

こうしたEVにおけるワイヤレス充電の実現は、将来の話ではない。

EV向けワイヤレス充電の製品は、17年から米エバトラン・グループがアフターマーケット向けとして、また米クアルコムがEVやプラグ・イン・ハイブリッド(PHV)のオプション仕様として展開している。完成車メーカーでは、BMWが今年中にPHVモデルの「530e Iperformance」のオプションとしてワイヤレス充電システムを採用するといわれている。

さらに、他の無線機器に影響を及ぼさないよう、また相互接続性を確立するための標準化が進められており、米国自動車技術会(SAE)が中心となって今年中にも標準化規格が策定される見通し。策定されれば、完成車メーカーや部品サプライヤーなどが相次いでワイヤレス充電システムを投入するとみられており、市場は一気に活性化しよう。

総務省は14年に発表した報告書で、ワイヤレス充電システムの国内EVへの搭載率が20年に20%、30年に50%になると予測している。つまり、数年後には巨大市場が誕生することになる。

●ダイヘンは国内初EV向けのワイヤレス充電システム商品化

これを先取りする動きも出始めている。

ダイヘン <6622> は昨年11月、EV向けのワイヤレス充電システム(製品名「D-Broad EV」)を日本で初めて商品化した。同社はそれまでにも無人搬送台車(AGV)向けにワイヤレス充電システムを販売していたが、そこで培ったノウハウを活用した。磁界共鳴方式を採用することで、圧倒的に広い位置ズレ許容範囲を持つほか、電力伝送の妨げとなる異物検知機能を搭載し、大容量でかつ安全性の高い給電を実現。SAE規格のWPT3、Z3に準拠しており、さまざまな車種への充電にも対応可能だ。

さらに、今年5月にはシリーズ第2弾として、超小型電動モビリティ用ワイヤレス充電システムを発売した。超小型電動モビリティは、観光地や離島などでの交通インフラとして普及が期待されていることから、これを契機に充電インフラの整備が進む可能性も十分にある。

●ニチコンは21年メドに商品を投入へ

ニチコン <6996> は、主力のアルミ電解コンデンサーのほか、EV向け急速充電システムや充電ステーションを展開しているが、前述の米クアルコムとの間で、ワイヤレス充電技術や、ワイヤレス充電に問題になる異物を検知する技術についてライセンス契約を締結。両社の技術を活用してEV向けのワイヤレス充電システムの開発に取り組んでおり、21年をメドに商品を市場に投入する方針だ。

また、IHI <7013> は、米ワイトリシティ社と「磁界共鳴方式」の実用化に向けた共同研究を11年から行っている。既にワイヤレス充電システム自体はほぼ完成したもようで、今後は異物検知などの細かな仕様やインフラへの組み込み方などに取り組むとしている。ワイトリシティ社は、TDKや新電元工業 <6844> ともEV向けワイヤレス充電技術に関してライセンス契約を締結しており、各社とも早期の製品化を進めている。

このほか、EVバス向けのワイヤレス充電システムの実証走行を行った東芝 <6502> [東証2]や、同じくEVバスなど向けの開発に成功している昭和飛行機工業 <7404> などに注目。さらに、東京大学大学院および日本精工 <6471> と共同で、走行中のワイヤレス給電で実車走行に成功した東洋電機製造 <6505> も関連銘柄として挙げられる。

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