発表秒読み「新型iPhone」、その前評判と狙える株 <株探トップ特集>

特集
2018年9月4日 19時30分

―時価総額1兆ドル乗せアップル株と関連株の行方―

米アップルの新型スマートフォン「iPhone」の新機種が12日にも登場する。アップルの新機種発表は、投資家からも高い関心を集める注目のイベントだ。昨年発売された「X(テン)」はiPhone誕生から10周年機種で大幅な刷新があったが、今年はマイナーチェンジで目新しい機能は少ないともみられている。もっとも、着実な買い替え需要が見込め、アップル関連株への追い風になるとの期待が強い。

●アップル株は上場来高値、新機種登場に期待

米アップルは、新型「iPhone」の発表会を米国時間の12日午前10時(日本時間13日午前2時)に開くことを決定しており、株式市場ではこの新製品発表に対する関心が高まっている。

その期待を背景に、アップルの株価は足もとで上昇基調にある。アップルは8月初旬に世界で初の時価総額「1兆ドル(約111兆円)」企業となり、その後も順調に上値を切り上げている。とりわけ7月末に発表されたアップルの決算は、昨年9月に発売した「iPhone X」の寄与で好調だった。「高価格の『X』の販売が伸びたことがアップルの業績を牽引した」(アナリスト)という。株式市場では、昨年秋以降「X」の販売減速懸念がたびたび浮上し電子部品株などを押し下げる要因となった。しかし、数量ベースでは伸び悩んでも、金額ベースは好調でアップルの収益に貢献した格好だ。

●有機EL2機種・液晶1機種登場か、使いやすさは向上へ

そんななか、12日に発表予定の新型iPhoneでは、新たに3機種が登場するとの見方が有力だ。 有機ELが採用されるのは画面サイズ5.8インチの後継機と新たに加わる大型の6.5インチの2機種、それに安価な6.1インチの液晶ディスプレー(LCD)モデル1機種という構成だ。昨年発売した「X」は日本円ベースで10万円超の高額だったことが話題となったが、有機ELの後継機の価格はそれとほぼ同水準ではないかともみられている。

名称は「iPhone Xs」との観測が有力だ。「X」と同様にFace IDによる顔認証機能が採用されており、CPUなどの性能はアップし、より使いやすさが向上しているとの見方だ。「X」では、有機ELの採用に加え顔認証など大幅な機能の刷新が図られたのに対して、今年はマイナーチェンジの年となる。このため、話題となるのは大画面機種などにとどまり「驚くような新機能が搭載されるようなことはないだろう」(IT業界関係者)との見方が強い。

●目新しさには欠けるとの見方も、背後に膨大な買い替え需要

このため、ある市場関係者は「アップル株は12日の新製品発表を機にいったん調整局面に入るのではないか」と予想する。新製品の内容に目新しさがないことも、利食いを呼ぶ要因となるというわけだ。

ただ、今回発表される新型iPhoneは「新たな買い替え需要を喚起する」(アナリスト)ともみられている。昨年の「X」登場の際に購入を見送った層や、「iPhone6」や「7」を使っているユーザー数は膨大であり、その買い替え需要を掘り起こすだけでもインパクトは大きい。

また、米国の個人消費は好調であり、新型iPhoneは年末商戦の目玉となり得る。このため「iPhone販売は年末にかけ盛り上がるだろう。アップル株はいったん調整に入ったとしても年末までには、再び高値を奪還する」(前出のアナリスト)とみられる。

●村田製、オプトランなど関連株に本格上昇期待

もちろん、新型iPhoneの登場は日本の電子部品業界への影響が大きい。積層セラミックコンデンサー(MLCC)の需給タイト感はさらに強まるとみられ、村田製作所 <6981> や太陽誘電 <6976> 、TDK <6762> などは一段の上昇期待が膨らみそうだ。また、iPhoneのカメラ向けアクチュエーター(レンズを動かしピントを合わせる部品)を手掛けるアルプス電気 <6770> やミネベアミツミ <6479> 、それに日本航空電子工業 <6807> や日本電産 <6594> などにも追い風となる。

有機EL関連株では、保土谷化学工業 <4112> や平田機工 <6258> 、ブイ・テクノロジー <7717> の株価は調整局面にあるが、アルバック <6728> 、フルヤ金属 <7826> [JQ]なども含め、徐々に本格反騰を目指す局面が期待できる。

さらに、液晶関連のジャパンディスプレイ <6740> やシャープ <6753> 、スマホ向けタッチセンサーのNISSHA <7915> 、光学薄膜装置のオプトラン <6235> などを含め関連株をマークしたい。

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