為替週間見通し:底堅い動きか、米利上げ継続でドル売り抑制も

通貨
2018年9月22日 14時58分

【先週の概況】

■ドル強含み、米中貿易摩擦緩和への思惑広がる

先週のドル・円は強含み。17日発表された9月米NY連銀製造業景気指数が市場予想を下回ったほか、米トランプ政権は9月24日に約2000億ドルの中国からの輸入製品に対する追加関税を適用すると発表し、中国も対米報復措置を発表したことでドル売り・円買いが優勢となった。

しかし、双方の関税率は10%程度にとどまることや、中国の李首相が「輸出促進のため人民元を押し下げることはしない」と述べたことから、米中貿易摩擦緩和への思惑が広がり、米国株は強い動きを見せたことから、リスク回避的なドル売り・円買いは縮小した。複数の米住宅関連指標が市場予想を上回ったことや、米10年債利回りは3%台に再上昇したことを受けて、リスク選好的なドル買い・円売りが広がった。21日の東京市場でドル・円は112円87銭まで上昇する場面があった。

21日のニューヨーク外為市場では、日米金利差の拡大観測や株高を意識してドル・円は底堅い動きを見せたが、英国は欧州連合(EU)から合意なしの離脱を選択するとの見方が強まり、ポンド売り・円買いが増えたことから、ドル高・円安はやや一服し、112円53銭でこの週の取引を終えた。ドル・円の取引レンジ:111円67銭-112円87銭。

【今週の見通し】

■底堅い動きか、米利上げ継続でドル売り抑制も

今週のドル・円は底堅い動きとなりそうだ。米連邦準備制度理事会(FRB)は25-26日開催の連邦公開市場委員会(FOMC)で今年3回目の利上げに踏み切る公算。利上げ実施後にポジション調整的なドル売りが一時的に増えるとの見方が出ているものの、12月にも追加利上げが実施される可能性は高いとみられており、利上げ継続の方針を意識してリスク回避的なドル売り・円買いは抑制されることになりそうだ。

米FRBは政策金利であるフェデラルファンド(FF)金利を現行の1.75-2.00%から2.00-2.25%に引き上げる公算だが、市場は追加利上げを十分織り込んでいることから、市場関係者の一部は「FOMCの経済予測でインフレ見通しが据え置きとなった場合、ポジション調整に絡んだドル売りが増える可能性がある」と指摘している。金融当局者の間では、長短金利差縮小への言及で過度な金融引き締めに慎重な意見も目立っているが、中立的な水準とみられる3%レベルまで利上げを継続することでおおむね一致している。FOMC後の声明でタカ派寄りの見解が盛り込まれた場合、12月の追加利上げを見込んだドル買いが観測されると見込まれる。

一方、トランプ政権は貿易赤字是正に向けた強硬な通商政策を緩めたわけではないが、中国が人民元安政策の修正を示唆しており、米中貿易摩擦はある程度緩和される可能性が浮上している。国際貿易環境の改善を背景に主要国の株高が進んだ場合、リスク選好的な円売りが強まる可能性がある。

その他、欧州連合(EU)からの英国離脱(ブレグジット)に関し、英国と欧州連合(EU)の条件交渉などで合意に至るにはいくつかの問題・条件が残されているとみられ、交渉は難航している。政府関係者などの発言を受けてポンドやユーロが急落し、クロス円レートの下落を通じてドル売り・円買いが一時的に強まる可能性があるので注意したい。

【米・連邦公開市場委員会(FOMC)会合】(25-26日開催予定)

米FRBは日本時間9月27日午前3時に声明を発表し、その後パウエル議長が記者会見する。今回の政策金利引き上げは織り込み済みで、12月利上げの手がかりを得られればドル買いは継続しそうだ。

【日米貿易協議(FFR)】(24日開催予定)

日米貿易協議(FFR)の2回目の会合は今月24日に設定された。今週26日に行われる予定の日米首脳会談で貿易問題について議論される可能性は高いとみられており、市場関係者の間では「茂木経済再生担当相とライトハイザー米通商代表(USTR)などが出席するFFRは日米首脳会談に備えた内容になる」との見方が多いようだ。

【米・4-6月期国内総生産(GDP)確報値】(27日発表予定)

27日発表の4-6月期国内総生産(GDP)確報値は、拡大基調の維持が期待される。改定値は速報値を予想外に上回り、前期比年率+4.2%と2014年10-12月期以来の高成長を示した。確定値が市場予想と一致すれば、ドル買い材料となりそうだ。

予想レンジ:111円00銭-114円00銭

《FA》

提供:フィスコ

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