田部井美彦氏【下期相場入り、復活の東京市場ここからの戦略】(3) <相場観特集>
―好調9月相場を経て10月相場へ、どう変わる市場の景色―
名実ともに下期入りした東京株式市場は、前週末の大幅高の余韻冷めやらぬなか引き続きリスクを取る動きが優勢となった。日経平均株価は目先過熱感こそあるものの、利益確定売りを完全に吸収し、2万4000円台を固める動きにある。カムバック・イン・セプテンバーを地で行く展開となった9月相場を終え、10月相場は果たしてどう動くのか。全体相場の展望と物色の方向性について、先読みに定評のあるベテラン市場関係者に意見を聞いた。
●「10月相場は2万5000円を意識した展開に」
田部井美彦氏(内藤証券 投資情報本部 投資調査部長)
引き続き日経225型インデックス中心の上昇となっている。海外投資家が売り越していた分の買い戻しが継続している。日経平均が終値ベースでも今年1月23日につけた年初来高値を更新し、1991年11月以来26年10ヵ月ぶりの高値水準となってきたことで、新たな上昇局面を迎えており、10月相場は2万5000円を意識した展開となりそうだ。
株価上昇の背景となっているのは、米国を巡るさまざまな貿易摩擦が一時に比べてやや沈静化傾向にあるのに加え、ここにきて1ドル=114円前後まで進行している円安・ドル高などを背景とした企業業績上方修正への期待感だ。当初、市場関係者の間では、19年3月期全産業の純利益の増益率を、2~3%増程度とするケースが多かったが、19年3月期第2四半期(4-9月)累計決算発表に伴う通期業績の上方修正で、増益率は11~12%増程度に拡大するとの見方が強まっている。
さらに、米中間選挙後には、NYダウ平均株価が堅調な推移をみせるとの過去の実績もあることから、11月以降には米株式市場の上昇基調に東京市場が支えられる場面もありそうだ。
個別銘柄では、海外投資家の積極買いで恩恵を受けやすい銘柄として、“外国人持ち株比率が高く、円安によるメリットが期待できる輸出関連で、年初からの下落幅が大きく今後の戻り余地の見込める銘柄”に注目したい。
例えば、建設機械で世界大手のコマツ <6301> は、外国人持ち株比率は約44%で、海外売上高比率は84%程度と高い。株価は底値圏から離脱の兆しをみせはじめたばかりだ。また、制御機器や電子部品大手のオムロン <6645> は、外国人持ち株比率約48%で海外売上高比率は62%程度となっており、年初に比べた株価位置は依然として底値圏と判断できる。さらに、韓国発祥で、PC向けオンラインゲームの先駆的存在であるネクソン <3659> は、外国人持ち株比率約99%、海外売上高比率も93%程度と極めて高い。株価は反発基調を鮮明にしているものの、上値余地はまだ十分といえそうだ。
(聞き手・冨田康夫)
<プロフィール>(たべい・よしひこ)
内藤証券シニアアナリスト。株式市況全般、経済マクロの調査・分析だけでなく、自動車、商社、アミューズメント、機械などの業種を担当するリサーチアナリストとして活動。年間200社程度の企業への訪問、電話取材、事業説明会への参加などを通して「足で稼ぐ調査・情報の収集」に軸足を置いている。
株探ニュース