爆上げ旋風IT投資関連! ここから狙う“本命&穴株”10連弾 <株探トップ特集>
―日本企業の“クラウド&RPA祭り”いよいよ開幕、要注目銘柄群を選りすぐる―
東京株式市場では相変わらず方向感が定まらないなか、ボラティリティの高さばかりが際立つ投資家泣かせの相場が続いている。上下に激しく揺れるジェットコースターさながらの展開は、海外ヘッジファンドなどによるアルゴリズム売買の影響が大きい。理屈から離れた“見えざる手”に振り回されるマーケットを前に参戦をためらう個人投資家も少なくないだろう。
しかし、実際はこうした局面でも、周りに流されず上値を慕う「強い個別株」は存在する。いやむしろ、こうした地合いだからこそテーマに乗った好実態株の輝きが増すともいえる。
今、投資資金が流れ込んでいるのは企業の旺盛なIT投資需要を取り込む銘柄群だ。
●国家的な重要課題となる企業のIT投資
人工知能(AI)をはじめとするITの進化が企業のビジネス空間を大きく変えている。しかし、まだコンセプトが先行した段階で、現状はその恩恵を享受していない企業が多いのも事実だ。欧米に比べ クラウドやビッグデータ、IoTなどの成長領域に投資する動きが日本は遅れているとの問題提起がなされている。日本企業の設備投資需要は旺盛だが、新製品や新たなサービスを創出するためのシステム投資は停滞し、投資の大部分が旧システムの保守や点検に振り向けられていると指摘される状況にある。このまま行けば2025年には6割の日本企業で基幹システムが老朽化するという試算を経済産業省は示している。
しかし株式市場において、これは極めてポジティブな材料といってよい。“生産性革命”を掲げる安倍政権下でIT関連投資は国策としてフォローされていくべき分野との認識が高まってきた。今後官民を挙げてシステム投資が加速されるという思惑が浮上している。
9月の日銀短観によると大企業は2018年度の設備投資額を13.4%増やす計画にある。人手不足は企業にとって深刻な問題だ。「働き方改革」とも相まって、省力化投資に踏み込む会社は多い。特に中小企業ではIT化に向けた動きに火がついた状態といえる。中小企業の18年度のソフトウエア投資計画は昨年度比24.2%増と高水準で、この流れは来年度以降さらに強まりそうだ。
●アイピーエスの急騰劇に続く銘柄が目白押し
25年には独ソフト開発大手のSAPが、かつて提供した主力製品で顧客サポートを終える予定と伝わっている。日本では2000社を超える企業が同社製品を利用しているため更新需要はかなりの水準に達するとみられる。
そうしたなか、東京株式市場でSAP関連としてにわかに急騰モードに転じたのが企業の情報システム構築・ERP導入支援を展開するアイ・ピー・エス <4335> [JQ]だ。同社は発行株数わずか246万株で急騰前の時価総額は20億円を下回っていた。超小型株の部類に入るにもかかわらずSAPのパブリッククラウド認定パートナーの第1号に選ばれており、これが投資マネーの琴線に触れた。
アイピーエスの株価は18日、19日と連続ストップ高に買われ株価は2日間で41%も上昇した。同社は「クラウドによるERP導入よりも、むしろそれを入り口として、コンサルティングや追加開発投資などで利益成長を狙う」(会社側)という冷静な経営戦略を描いているのだが、それはそれとして、この株価の瞬発力の高さは特筆に値する。IT関連投資に絡むシステム開発や導入支援などを行う銘柄に対するマーケットの熱視線は半端なものではない。
今回の特集では、うねりを伴い始めたIT投資関連株人気のなかで、ここから上値余地が見込めると思われる有望株を10銘柄厳選した。既に動意含みで本命の気配漂う銘柄に加え、投資家目線でまだ埋没していると思われる有力穴株を織り交ぜた。
●強力な上昇波構築に向かう本流7銘柄はこれだ
【ショーケースTV】
ショーケース・ティービー <3909> は値運びこそ小幅ながら目先ジリ高歩調。動兆しきりで、ここから一気に上げ足を加速させる可能性がある。スマートフォン向けにウェブサイトを最適化するクラウドサービスを展開している。主力を担っているのは自社開発のクラウドサービスである「ナビキャスト」で金融業界向けなど中心に引き合いが旺盛だ。また直近、NTTデータ <9613> のRPAソフトで業界トップシェアを誇る「WinActor(ウィンアクター)」と連携した業務効率化や業務改善を行うサービスの提供を開始している。ショーケースTVは累計約8000アカウントのクラウドサービス顧客を擁しており、NTTグループとの協業で商機の広がりが期待される。18年12月期営業利益は前期比2.6倍の5億円予想と急拡大を見込む。<急騰性4・中期的上値余地3>
【システムズD】
システムズ・デザイン <3766> [JQ]は26週移動平均線を足場に上放れた矢先で、絶好の買い場となっている。官公庁向け主軸にデータ入力代行ビジネスが好調で収益を押し上げているほか、IBMの「ワトソン」を利用したコールセンター業務のサービスをソフトバンクグループ <9984> と協業で本格展開を始めている。また、7月にはIDカードの受託発行などを手掛けるフォーを完全子会社化しており、IDカード分野への事業領域拡大を図っている。業績面でも18年3月期の55%営業増益に続き、19年3月期も47%増益の3億1800万円予想と成長局面入り。20年3月期も伸び率こそ鈍化しそうだが2ケタ成長は確保できそうだ。株価は10月に入ってから全体波乱含みの相場にあって週足3陽連を形成、上昇の勢いが強い。時価総額50億円台で足の軽さが際立つ。今年7月9日につけた上場来高値1616円も早い段階で捉える可能性がある。<急騰性5・中期的上値余地4>
【アイエスビー】
アイ・エス・ビー <9702> の全体相場に左右されない中長期上昇トレンドは見逃せない。今年2月下旬から26週移動平均線をサポートラインとする下値切り上げ波動を形成、10月10日には2550円の上場来高値をつけた。高値圏での売り物をこなしている今は仕込み好機。急騰習性に富んでおり、戻り売り圧力のない青空圏を走る展開が想定される。携帯電話向けなどを強みとする通信関連ソフト開発会社でセキュリティーシステムも手掛ける。政府も普及を全力で後押しする5G関連投資だが、同基地局に絡む案件が拡大しており中期成長力も高い。17年12月期に営業利益は前の期比97%増とほぼ倍増となる伸びをみせたが、18年12月期も34%増益見通しを予想しており、利益急成長局面に入っている。<急騰性5・中期的上値余地4>
【アイティフォー】
アイティフォー <4743> の1000円大台近辺は仕込み妙味がある。7月下旬から8月にかけて大幅な調整をみせたが、その後は900円台で売り物をこなし、2ヵ月あまりのもみ合い期間を経て本格浮上の兆しにある。金融機関向けなどを中心にネットワーク構築や債券管理システムなどのソフト開発を展開、特に地銀向け融資審査システムなどが好調で収益に寄与している。19年3月期営業利益は前期比30%増の20億円を見込んでおり、20年3月期以降も増収増益基調は継続する公算が大きい。RPA分野に力を入れており、地銀や官公庁、通信メガキャリア向けなどを中心に実績が豊富。また、小売業向け決済クラウド「iRITSpay(アイリッツペイ)」などキャッシュレスシステム分野でも受注獲得を進めており、今後株式市場でも高評価を呼ぶ可能性が高い。<急騰性3・中期的上値余地4>
【ラクス】
ラクス <3923> [東証M]は10月2日に上場来高値2534円をつけた後一服しているが、早晩新値街道に復帰する可能性が高い。メール管理の「メールディーラー」で累計導入社数5000社を突破するなど国内トップシェアを誇り、エンジニアの人材派遣事業も展開している。業績も成長軌道に乗っている。クラウド事業で展開するメール管理や経費精算ソフトが拡大基調、人材派遣事業も好調に推移しており、4-9月期は会社側計画の売上高39億6200万円から40億7400万円(前期比39.8%増)へ、営業利益は5億1800万円から6億7400万円(同45.9%増)へ上振れして着地した。19年3月期営業利益は前期比11%増の13億7600万円を予想するが上方修正含みだ。<急騰性3・中期的上値余地3>
【安川情報】
安川情報システム <2354> [東証2]は底値圏からの戻り足が期待できる状況となってきた。組み込みソフトの開発やシステムソリューション事業を手掛け、IT技術のトップランナーとして成長期待が強い。組み込みソフトでは、現場でプログラム可能なFPGAやGPU(画像処理半導体)の需要拡大に伴いビジネスチャンスを取り込んでいるほか、ビッグデータの普及やIoT時代の到来がソリューション事業の商機につながっている。安川電機グループ向け基幹系システムが好調で収益に貢献、11月に発売予定にあるAI画像判定システム「MMEye(エムエムアイ)」は、AIが曖昧さを含む人間による判定結果をマシーンラーニングして、自動で判別モデルを作成、人間並みの判別を実現するクラウドサービスで、旺盛な需要が予想される。当面は10月1日の戻り高値548円が目標となるが、中期的には1月の年初来高値768円も視界に捉えることになりそうだ。<急騰性4・中期的上値余地4>
【ITbookHD】
ITbookホールディングス <1447> [東証M]は10月1日に東証マザーズに上場後、9日に673円まで買われた後調整。時価は500円台半ばでもみ合っているが、今後の展開力を考慮すれば株価の上値余地は大きい。ITbookとサムシングホールディングスとの共同株式移転による経営統合(ホールディング化)を行ったことで業容に広がりをみせている。ITbookグループは官公庁や地方自治体向けを主力にIoTやAI、クラウドなどITコンサルティングおよびシステム開発を展開するだけでなく、子会社を通じて建設関係の気象観測システムや騒音・振動測定器を大手ゼネコンに納入しているが、地盤改良や保証ビジネスを手掛けるサムシンググループとの統合でシナジーを生む公算が大きい。<急騰性3・中期的上値余地4>
●穴株的素地を持つ変身期待株はこの3銘柄
ここからの3銘柄は売買代金も盛り上がっておらず、現段階では投資家の目にとまりにくい位置にいるが、成長性が高く評価余地の大きい銘柄として着目したい。
【エル・ティー・エス】
エル・ティー・エス <6560> [東証M]は8月下旬を境に急浮上、足もとは2100円近辺で上昇一服局面にあるが、日足一目均衡表では雲を抜けた水準にあり一段の上値余地が期待できる。AIなどを活用してビジネスプロセスの実行支援・コンサルティングを展開、オフィス業務に自動化ソフトを導入する企業のニーズが高まるなか、これを取り込んで業績は好調だ。18年12月期営業利益は前期比25%増の2億3000万円を見込む。10月4日には米UiPathの日本法人から同社が提供するRPAツールの認定開発パートナー契約を締結したことを発表している。海外にも展開しており、ミャンマーで現地RPAベンダーと連携してオフショア開発にも力を入れる。株価は今年3月に高値2985円まで買われた経緯があるが、25日移動平均線近辺にある時価は再浮上の機が熟している。<急騰性4・中期的上値余地3>
【スターティアHD】
スターティアホールディングス <3393> の600円台は大底圏に位置しており、ここは静かに仕込んでおきたい場面だ。株価は年初につけた1435円の高値から55%強ディスカウントされた状態、つまり半値以下の水準にある。中小・中堅企業を主要顧客に情報関連機器の販売やメンテナンスを展開しており、ソフト開発などのデジタルマーケティング事業や複合機器などのITインフラサービスも業績に寄与している。業績面では19年3月期営業利益が前期比9%減の3億2500万円と低調にみえるが、これはクラウドストレージや海外展開強化のための先行投資負担が反映されたもの。トップライン(売上高)ベースでは前期比2ケタ伸長を見込んでいる。今月から次世代クラウド型IP電話の新サービスを開始したほか、提携戦略に伴いAIを活用した人材採用支援事業にも参入している。<急騰性4・中期的上値余地3>
【フォーバル】
フォーバル <8275> の1000円大台を割れた水準は買い場となりそうだ。9月下旬に1095円の高値に買われた後調整を入れているが、時価はPER13倍台と割高感に乏しく、株式需給面でも買い残が枯れた状態で上値は軽い。中小企業を主要顧客に通信機器を販売するほか、ネットワーク接続事業にも展開する。情報通信やウェブなどのITコンサルティングに傾注し受注を伸ばしている。19年3月期営業利益は5%増の30億円を見込むが、一段の上乗せ期待がある。ROEが20%台と高水準で、毎期増配を繰り返す株主還元姿勢の高さも評価材料。M&Aによる顧客基盤の拡大に加え、地銀との提携戦略を進めており、企業の海外進出支援事業などにも期待がかかる。<急騰性3・中期的上値余地3>
◇爆上げIT投資関連 ここから狙う10銘柄はこれだ◇
銘柄 <コード> 急騰性 中期的上値余地
ITbookHD <1447> ☆☆☆ ◆◆◆◆
安川情報 <2354> ☆☆☆☆ ◆◆◆◆
スターティアHD <3393> ☆☆☆☆ ◆◆◆
システムズD <3766> ☆☆☆☆☆ ◆◆◆◆
ショーケースTV <3909> ☆☆☆☆ ◆◆◆
ラクス <3923> ☆☆☆ ◆◆◆
アイティフォー <4743> ☆☆☆ ◆◆◆◆
LTS <6560> ☆☆☆☆ ◆◆◆
フォーバル <8275> ☆☆☆ ◆◆◆
アイエスビー <9702> ☆☆☆☆☆ ◆◆◆◆
※急騰性は☆が多いほど強く、中期的上値余地は◆が多いほど大きい。
株探ニュース