新興市場見通し:急速な需給悪化で押し目買いは慎重に、IPOではVALUENEX

市況
2018年10月27日 15時32分

先週の新興市場では、世界的な株安の流れが波及してマザーズ指数、日経ジャスダック平均ともに大きく下落した。米主要企業の決算などから世界経済の先行きに対する懸念が増し、日経平均は10月23日に604円、25日に822円の大幅安となった。金融市場全体が不安定となったことで、新興市場では週末にかけてリスク回避の売りが広がった。なお、週間の騰落率は、日経平均が-6.0%であったのに対して、マザーズ指数は-10.9%、日経ジャスダック平均は-5.7%だった。マザーズ指数は16年11月以来の安値水準を付けている。

個別では、メルカリ<4385>が週間で9.0%安、MTG<7806>が同16.0%安、ミクシィ<2121>が同9.5%安とマザーズ時価総額上位は軒並み大きく下落した。売買代金上位でもALBERT<3906>、そーせいグループ<4565>など週間の下落率が2ケタに達する銘柄が多く、プロレド・パートナーズ<7034>やエクスモーション<4394>といった直近IPO銘柄が下落率上位に並んだ。ただ、イーソル<4420>はマザーズ売買代金トップで逆行高となった。また、ジェネレーションパス<3195>やシリコンスタジオ<3907>が上昇率上位に顔を出した。シリコンスタジオはアマゾンウェブサービスのパートナーに認定されたと発表している。ジャスダック主力もワークマン<7564>が同5.4%安、ハーモニック・ドライブ・システムズ<6324>が同9.8%安と全般軟調だった。売買代金上位ではシンバイオ製薬<4582>や直近IPO銘柄のプリントネット<7805>などが大きく売られ、エムティジェネックス<9820>が週間のジャスダック下落率トップとなった。反面、地域新聞社<2164>が上昇率トップとなり、リリースが材料視された幸和製作所<7807>なども買われた。IPOではディ・アイ・システム<4421>が上場2日目に公開価格の約2.6倍となる初値を付け、10月23日上場のリーガル不動産<3497>もしっかりした初値形成となった。

今週の新興市場は、不安定な相場展開が続きそうだ。個人投資家の物色意欲が根強かった中小型株だが、先週末にかけての株価急落で需給状況が急速に悪化し、当面は売り方優位の地合いが続きそうだ。外部環境が落ち着けば資金の戻りも早いだろうが、押し目買いのタイミングは慎重に見極めたいところだ。物色の向かう先は需給が比較的良好な銘柄に限られそうだ。

今週は、10月29日にインフォコム<4348>、弁護士ドットコム<6027>、30日にセプテーニ・HD<4293>、ジャパン・ティッシュ・エンジニアリング<7774>、31日にユナイテッド<2497>、セリア<2782>、ドリコム<3793>、ALBERT、フリークアウト・HD<6094>、テクノホライゾン・HD<6629>、11月1日にラック<3857>、2日にアドウェイズ<2489>、ジャパンインベストメントアドバイザー<7172>などが決算発表を予定している。好決算を受けた見直しの動きに期待したいが、戻り待ちの売りも出やすいだろう。

IPO関連では、10月30日にVALUENEX<4422>がマザーズへ新規上場する。同社はビッグデータの解析ツールを提供し、テーマ性や成長性の高さで投資家の関心を集めている。またベンチャーキャピタルが筆頭株主ではあるものの、公開規模は比較的小さく、強い初値形成となりそうだ。なお、先週は霞ヶ関キャピタル<3498>(11月28日、マザーズ)の新規上場が発表されている。

《HK》

提供:フィスコ

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