来週の相場で注目すべき3つのポイント:日米決算発表、米雇用統計、日銀金融政策決定会合

市況
2018年10月27日 19時24分

■株式相場見通し

予想レンジ:上限21750-下限20500円

来週の日経平均は日経平均は短期リバウンドを交えながらも、下値調べの展開となりそうだ。日経平均は26日に一時21000円を割り込む下落を見たことで、チャート上のフシは3月26日の年初来安値20347.49円を残すのみとなった。10月2日の年初来高値24448.07円から26日終値までの下落幅は3200円強に達しており、通常ならば相応のリバウンドがあってもいいタイミングだ。しかし、米中貿易摩擦、ブレグジッドと伊財政問題を抱えた欧州懸念、サウジアラビア問題、米国のINF条約脱退による米ロ関係など外部材料は不透明さを増している。こうしたなかで、アマゾンやグーグル、そして半導体関連を含めた米ハイテク企業の決算を受けた市場の動揺が収まるにはあと少しの時間が必要だろう。国内企業決算も円安効果による増額期待から、貿易摩擦による企業業績への影響見極めに視点がシフトしていることも上値を重くしている。30日の日銀金融政策決定会合、2日の米10月雇用統計など重要な金融・経済スケジュールを控えていることも手控え要因に働くため、日経平均は下値調べをしつつ落ち着きどころを探る展開となる可能性が高い。ただ、東証空売り比率は高水準を維持し、日経平均の25日移動平均線からの下方乖離は8%強に達するなど、指標・テクニカル面での「売られ過ぎシグナル」は点灯している。翌週11月6日の米中間選挙、7日から8日のFOMC、9日のSQ(特別清算指数)を越えれば、企業決算の前半動向も確認できてくる。日柄調整を進める来週が「陰の極」となるかが注目される。

一方、物色的には、上海総合指数などアジア株の推移と、本格化する国内企業決算の発表に一喜一憂する展開となることが予想される。米国企業の決算発表では30日のフェイスブック、1日のアップルが焦点となってくる。一方、国内企業では29日のコマツ<6301>、30日の任天堂<7974>、ソニー<6758>の決算発表の内容が物色動向に影響を与えてきそうだ。また、11月相場入りとなることで、一部で報道が先行しているソフトバンクG<9984>の通信事業会社ソフトバンクの上場スケジュールを意識した物色も台頭してくる可能性がある。

主な国内経済関連スケジュールは、29日に9月商業販売統計、30日に日銀金融政策決定会合(31日まで)、9月失業率・有効求人倍率、31日に日銀展望レポート、黒田日銀総裁会見、9月鉱工業生産、10月消費動向調査、11月2日に10月マネタリーベース、GPIFの7-9月期運用報告が予定されている。一方、米国を含む海外経済関連スケジュールでは、30日にユーロ圏7-9月期GDP、米10月CB消費者信頼感指数、31日に中国10月製造業PMI、米10月ADP雇用統計、11月1日に英国金融政策発表、米10月ISM製造業景況指数、2日に米9月貿易収支、米10月雇用統計の発表が予定されている。このほか、国内外で予定されているイベントとしては、29日に日印首脳会談、11月1日はEU設立から25年となる。なお、米国企業の決算発表はピークを迎え、30日にフェイスブック、31日にGM、スプリント、1日にアップルがそれぞれ発表を予定している。

■為替市場見通し

来週のドル・円は下げ渋りか。米長期金利や米国株式の動向を意識した取引が主体となりそうだ。米国株式は調整局面入りの可能性が指摘されており、下げが続いた場合はリスク回避の円買いが広がる展開となろう。ただ、ユーロやその他通貨に対するドル安が進行した場合、クロス円レートは下げ渋る可能性がある。

米10年債利回りは3%台の水準を維持しているものの、不安定な動向が嫌気され、NYダウなど主要株価指数の下落を受けて利回り水準も低下するケースが10月中旬以降目立っている。米企業決算の予想下振れも、株安の要因となる。

米連邦準備制度理事会(FRB)は利上げを継続する方針を変えていないが、株式市場の調整入りの観測から、利上げ継続を期待したドル買いは弱まる場面も想定される。その影響で、主要通貨が対ドルで持ち直した場合、クロス円レートは上昇する可能性があるが、そのような動きがドル・円の相場動向に大きな影響を与える可能性は低いと予想される。

一方、トランプ大統領はFRBによる利上げに対して批判的だが、株安となっていることから、中間選挙を控えて金融政策に対する批判を強める可能性もあろう。現時点での影響は限定的だが、目先はドル売り材料として意識されよう。

■来週の注目スケジュール

10月29日(月):日印首脳会談、米個人所得、米個人消費支出など

10月30日(火):日有効求人倍率、独失業率、アップルがNYで製品発表会など

10月31日(水):中製造業・非製造業PMI、米ADP全米雇用報告、ユーロ圏失業率など

11月1日(木):製造業PMI、英製造業PMI、中国が一部品目の輸入関税引き下げなど

11月2日(金):米雇用統計、米製造業受注など

《SK》

提供:フィスコ

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