【植木靖男の相場展望】 ─ 二番天井に向け刺激的な反発も
「二番天井に向け刺激的な反発も」
●“市場人気”こそが天底を決める
株価はようやく落ち着きを取り戻したようだ。市場にも久々に安堵感が漂う。
NYダウ平均は11月1日に底入れしたかにみえる。日経平均株価も11月2日の556円高で底入れしたのではないか。週明け5日にも上昇すればパーフェクトだ。
ところで、多くの投資家は、なぜ10月2日に高値をつけたのか、またここ10月29日に安値(終値ベース)をつけたのか、判然としない心境ではないだろうか。
ほとんどの市場関係者は、米中貿易摩擦の激化とか欧州でのイタリアの財政問題、あるいは中東における政治リスクを指摘する。だが、こうした材料の多くは以前から市場で語られていたものばかりである。10月2日が高値になった理由にはなり難い。
いつもそうだが、材料は後からついてくるものなのだ。下落したところで不安材料が顕在化して、投資家心理が悪化したところで売る。売ると下げるため、一段と不安が増幅して売る。すると、また下げる。この繰り返しなのである。
つまり、市場関係者の多くが材料を並び立てるのは、あくまでも後追いに過ぎない。
では、10月2日が高値と決めたのは誰か。確信犯は市場人気である。底をつけるのも市場人気である。
この不確かな市場人気を具現化したものが罫線(チャート)である。わが国では昔から“罫線引き引き足を出し”などと揶揄されるが、罫線ほどもっとも早く天底を知り得るものはない。今回、その威力が発揮された。
●来年以降の金上昇を先取り
さて、当面の株価をどうみるか。底入れした以上、戻りをみせることになるが、多くの市場関係者が投資家心理としては上昇時に大きな壁となった、2万3000円処を目安にしていることは言うまでもない。ただ、2万2500円から一気に休むことなく高値まで走った前回の経験からすれば、仮に二番天井を目指すにしても、かなり刺激的な上昇をみせることになりそうだ。
当分は、カラ売りの買い戻しが中心(ここ連日、カラ売り比率は40%強が続いている)となろう。悪材料の相次ぐ顕在化から一般投資家でも売りたくなる時。それでカラ売りが増えたようだ。値を構わず、買い戻しを強いられることになろう。
ところで、今後の物色対象はどうなるのか。昨年から今年にかけて大きく上昇した日本版GAFA的ハイテク株は、すでに株価は腐りかけている。腐りきればまた動意をみせるだろうが、いまは残滓に過ぎない。カラ売りの買い戻しで一時的に急反発しても近寄り難い存在であろう。
といっても、まだ新しい柱は芽を出しておらず、見つけ難いことも事実。ここはとりあえずは、それなりに反発し体幹を鍛えつつある銘柄を小当たりに摘まんでみるのも一興だ。
金融株の中で独自の動きを見せるソニーフィナンシャルホールディングス <8729> や中国関連のコマツ <6301> 。それに、2019年、20年と価格上昇が続くとみられる 金は新しい出番を迎えよう。わが国唯一の産金株である住友金属鉱山 <5713> の先物買いはどうであろうか。
2018年11月2日 記
株探ニュース