【植木靖男の相場展望】 ─ 師走相場はいつまで続くか
「師走相場はいつまで続くか」
●買い転換の主因を裏返せば…
日経平均株価は、10月29日安値2万0971円を一番底とし、11月21日には2万1243円で短期二番底を形成した。その後、11月28日には明確に買い転換したようだ。
こうした買い転換の背景には、ひとつは週末の米中首脳会談で「一時休戦も」といった見通し、ふたつにはFRB(連邦準備理事会)議長の講演から利上げ停止が近いとの観測が浮上したことが主因としてあげられる。もっとも、いずれも憶測に過ぎない。
ただ、これらは裏返すと、関税を巡る米中の報復合戦は仕掛けられた中国はもとより、仕掛けた米国も多くの返り血を浴びかねないこと。また、利上げ停止に関しても、世界経済で一強といわれる米国景気になにやらかげりがみえ始めている、といった現実があることを忘れてはならない。
それでは、いまの時点で買いなのか、それとも裏をみて売りなのか。投資家サイドからみると、気迷いにならざるを得ない。まして、10月以降の下げで少なからぬ損失を余儀なくされた投資家にとって、おいそれといまの相場に追随できないのは道理である。
2018年も押し詰まり、師走相場を迎える。好悪材料が交錯する中、師走相場をどうみるべきか。
気迷い状況にあるとき、戻り相場はいつも気迷うのだが、こういう際、頼りになるのはやはり罫線(チャート)などテクニカルだ。
●日本株は米国株よりも有利か?
週末現在、日経平均は11月8日の戻り高値2万2500円処に接近してきた。また、一目均衡表の雲の下限に到達したことに加えて、直近安値からの反発も5~6日経過したことで一両日足踏みするのは予想されたことだ。
次のフシ目は、やはり、日柄でいえば12月5~6日だろう。ついで、フシ目はメジャーSQにあたる12月中旬前後か。それ以上に上昇するとなればこれはもう儲けもの、といえよう。どこまで上昇が続くかは誰にも分からないはず。
ただ、唯一いえることは、米国NYダウ平均は10月安値の後、中間反騰をみせ、いったんは下げ幅の70%も戻したという事実だ。それに対しわが国の株価は、当時、僅か40%しか戻しておらず、不十分といえる。
まだ、日経平均は10月安値の上位に位置していて、これから米国に遅れて中間反騰に入るとみてよい。このことは、この12月相場はNYダウよりも日経平均の方が有利といえる、ということではないだろうか。
いずれにしても、12月のどこかで天井を確認する作業が待っていると思われる。つまり、プロが腕を競い合う場だ。
短期的な上昇相場となれば、銘柄も目先とならざるを得ない。「1カイ2ヤリ」といえば、大袈裟かもしれないが、次の銘柄に注目したい。
内需株から業種として動き出しているのは、業績好調の人材派遣、新薬開発の医薬品、沿線開発の鉄道といったところだ。
京成電鉄 <9009> 、アウトソーシング <2427> 、田辺三菱製薬 <4508> などに注目したい。
2018年11月30日 記
株探ニュース