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2018年12月3日 19時30分
特集

「国土強靭化」195兆円の巨大市場と「万博特需」で翔ぶ“究極の穴株”<株探トップ特集>

――安倍政権が打ち出す強力な国策フォロー、建設周辺株が新局面入り――

18年4-9月期の企業業績は米中貿易摩擦問題などの影響もあり、世界景気の先行きに不透明感が漂うなか、企業マインドも思ったほど強気には傾かなかった。米中首脳会談で行き過ぎた不安心理は改善されたとはいえ、10~12月期は米中貿易摩擦に関する影響が機械や電機など輸出セクターの業績にネガティブに反映される公算は小さくない。ただし、内需系については相対的に収益環境に吹く風向きは決して悪くない。

例えば、建設業界は先行きにポジティブなムードが漂う代表的なセクターだ。スーパーゼネコン4社の通年の新規受注は6年連続で5兆円台をキープ、2020年の東京五輪特需は旺盛で業績を後押ししている。さらに、25年の大阪万博開催決定も強力な追い風で、五輪開催後の反動に対する懸念の後退につながっている。株式市場では、足もとは米株市場主導で半導体や電機・機械セクターへの買い戻しが顕著だが、ここから一段の上値を買い進むには投資家としても抵抗があろう。ここは休養十分の建設セクターに照準を合わせるのが相場巧者の技といえる。

主要ゼネコンの業績は今期見通しが期初計画から上方修正されたところや、中間期実績が従来計画を上回ったところが相次いだ。足もとの大手・準大手建設会社の完成工事利益率をみても好調を維持している状況で、こうした実態面の良さに株式市場でも目が向く可能性がある。建設業界の受注環境は、メーカーの旺盛な設備投資需要を背景に工場関連などの案件増加が追い風となっている。また、商業施設やオフィスビルなど都市再開発の案件も引き続き収益を押し上げる役割を担う。

「国土強靭化」で新たなステージが創出

そうしたなか、安倍政権が掲げる「国土強靭化」は景気浮揚策の意味合いも含め、喫緊の課題として取り組むべきテーマとして再浮上している。株式市場でも建設関連が再脚光を浴びるきっかけとなりそうだ。橋梁やトンネルなど老朽化の進む社会インフラの補修需要は今や待ったなしの局面にあるといってよい。建設後50年を超過する社会インフラとしては、橋梁が現時点で全体の4分の1が該当している状況だが、これが15年後の33年の段階では全体の6割以上を占める。また、予防保全を含めると17年3月期末の段階でトンネルの97%、橋梁の61%が補修を必要とされている。

安倍政権では今後3年間で集中して「国土強靭化」を推進し、4兆円規模に及ぶ財政支出を想定しているとも伝わっている。30年度第2次補正予算はその初年度にあたるが、防災・減災のためのインフラ整備を主眼にまずは総額1兆円以上の規模となることは必至とみられる。

一方、橋梁やトンネル同様に高速道路の補修・修繕も必要性が高まっている。NEXCO東日本、中日本、西日本の高速道路3社はリニューアルに注力姿勢をみせており、既に床版取替などの補修工事を実施中。NEXCOは3社合計で29年度完工を目標に15年度から3兆円を超える大規模な修繕を鋭意進捗させていく計画にある。3社が管理する会計検査院の調査では、早急な対策が必要とされた異常箇所が3月末時点で約6500ヵ所に上り、そのうちの2割以上が異常判定から2年以上放置されていることが判明したという。また、財務省と国交省が18年度政府予算案で、国が低金利で調達した資金を高速道路建設に活用する方向で調整に動き出したことも伝わっている。これによりNEXCO東日本と中日本は財政投融資で首都圏及び近畿、中京圏の高速道路建設を加速させる形となる。

こうした事情を背景として、国土交通省の試算では道路や河川などのインフラの維持管理・更新に必要なコストは19年度から48年度までの30年で実に194兆6000億円に達すると予測している。

大阪万博も建設関連セクターに強力な追い風

建設業界には「国土強靭化」という国策テーマ以外に、もう一つの新たな追い風として、25年の大阪万博がある。開催自体は今から6~7年も先のことなので現時点ではまだその恩恵を織り込みに行くには早過ぎるという見方はあるかもしれないが、20年開催の東京五輪の時がそうであったように、株価はインフラ整備が動き出す前に最初の大きなヤマを形成する。

日本の誘致委員会によると万博開催に伴う想定来場者数は約2800万人、経済波及効果は約2兆円規模に及ぶとみられている。開催予定地の大阪湾の人工島「夢洲」での会場建設費は1250億円と試算されているが、これに先立って周辺の交通網や商業施設、ホテルなど宿泊施設を含む“インフラ構築”が建設会社をはじめとする関連企業にとって大きな収益機会へとつながっていくことは容易に想像がつく。さらに大阪では万博にとどまらずIR(統合型リゾート)施設の誘致にも積極的姿勢をみせており、これを見据えて延伸など鉄道インフラ整備の拡充も検討されている。それに伴う都市再開発の動きも誘発し、建設会社やその周辺企業にとって収益環境に吹くフォローウインドは極めて強い。

●関連銘柄はゼネコンを筆頭に色とりどり

いわば国策に乗る銘柄が今の建設セクターには数多く眠っている。まずは大成建設 <1801> 、大林組 <1802> 、清水建設 <1803> 、鹿島建設 <1812> などの大手ゼネコン。4銘柄とも年初来高値圏からはかなりディスカウントされた水準にあり、リバウンド狙いの買いを呼び込みやすい。また、高速道路や橋梁などの補修では最大手のショーボンドホールディングス <1414> やプレストレストコンクリート(PC)使用工事で強みを持つピーエス三菱 <1871> などが存在感を示す。港湾施設補修で力を発揮するのは海洋土木トップの五洋建設 <1893> はじめ不動テトラ <1813> 、東洋建設 <1890> 、若築建設 <1888> などが挙げられる。シールド工法を得意とする大豊建設 <1822> 、トンネルなど大型土木工事に強い熊谷組 <1861> などもマークの対象だ。地盤改良などに強みを持つライト工業 <1926> や特殊土木大手の日特建設 <1929> も折に触れ人気化素地がありそうだ。

ただ、株式市場において投資家にお馴染みの銘柄群ではインパクトが薄いのも事実だ。これは国土強靭化や大阪万博関連に限ったことではないが、同じ投資テーマでも切り口が新鮮で、株式需給面から流動性を伴いつつ値動きが軽い銘柄が、投資家に好まれやすい。以下は、ここから上値期待が大きい究極の穴株として株探オリジナルの3銘柄をピックアップした。

●強力な「足場」で株価も高みを目指すタカミヤ

エスアールジータカミヤ <2445> は、目先戻りトレンドに入っているがまだ初動に過ぎないだろう。上値余地は大きく7月10日の年初来高値777円を上抜き15年2月以来の4ケタ大台も視野に入れてくる可能性がある。大阪市に本社を構える建設機材のレンタルや販売を手掛ける会社。国土強靭化も都市再開発も、建設現場で必須となるキーアイテムが「足場」であり、同社はその特需を現在進行形で取り込んでいる。今後は東京五輪に続き大阪万博という巨大なビジネスチャンスが待つことで再評価機運が巡ることになりそうだ。そのなか、安全性と施工性を進化させた抜け止め機能付きの次世代足場として注目されているのが、同社の戦略商品「Iqシステム(アイキューシステム)」で、現在過去最高水準の稼働率となっているもよう。建築・土木分野向けで優位性を持っていることから、国土強靭化の国策にも乗る。今後も同商品の需要は加速しそうで、会社側も期待を寄せている。19年3月期営業利益は前期比48%増の25億円を計画。さらに東南アジアなど海外展開にも注力しており、20年3月期も20~30%の高水準の伸びを継続しそうだ。

●サンセイはビル用ゴンドラで意外高の序曲を聞く

サンセイ <6307> [東証2]は小型株特有の足の速さが魅力だが、中期トレンドでみても13週移動平均線をサポートラインに徐々に下限を切り上げており、時価500円近辺は追撃買いで報われそうだ。11月上旬に560円の年初来高値をつけた後は急反落となったが、早晩年初来高値奪回から実質青空圏を舞う展開が想定される。同社はビル用ゴンドラメーカーで舞台装置も手掛ける。ビルのメンテナンスにゴンドラはつきもので、東京五輪に絡み首都圏を中心に受注拡大の恩恵を享受しているが、その後も大阪万博に絡む特需などが改めて収益にオンされてくる見込み。時価総額は50億円前後と小型で浮動株比率も低く、上値余地は大きい。18年4-9月期営業利益は前年同期比4割増と高変化を示した。19年3月期は前期比19%減の4億5000万円を計画するが保守的で一転増益に転じるの公算もある。

●国土強靭化で橋梁のエスイーも上昇アーチ形成へ

エスイー <3423> [JQ]は5日・25日移動平均線のゴールデンクロス示現を果たし、時価近辺を横に走る中長期波動の分水嶺75日線を上放れる展開が予想される。1株を2株にする株式分割に伴い値ごろ感が生じているが、300円台半ばに歩を進めれば日足一目均衡表の雲も上抜く形となり、戻り相場が加速するケースも考えられる。同社は建設用資材を製造販売しており、特に落橋防止用装置で業界トップの実力を有している。フランス大手エンジニアリング会社のアンジェロップ社と、合弁会社を設立し、国内外で高実績を積み重ねている。プレストレストコンクリート用の定着工法であるSEEE工法を中核に高い競争力を誇っていることから、老朽化が進む橋梁をはじめ国土強靭化を背景としたインフラ整備で今後一段と頭角を現すことになりそうだ。19年3月期営業利益は前期比9.5%増の10億4500万円予想。年間配当は前期から実質増配の10円を計画、3.2%前後の高配当利回りも魅力となる。

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