前日に「売られた株!」総ザライ ―本日への影響は?―
■Jディスプレ <6740> 59円 (-7円、-10.6%)
東証1部の下落率7位。ジャパンディスプレイ <6740> が5日続急落。9日付の日本経済新聞で「経営再建中のジャパンディスプレイ(JDI)は12月から、米アップルのスマートフォン(スマホ)『iPhoneXR』向け液晶パネルの減産に入った」と報じられており、業績への影響を懸念した売りが出たようだ。記事によると、国内の前工程工場でXR向けの生産数量は、フル稼働が続いた11月までに比べ3割前後減る見通しという。
■エイチーム <3662> 1,521円 (-149円、-8.9%)
エイチーム <3662> が急反落。前週末7日の取引終了後に発表した第1四半期(8-10月)連結決算が、売上高89億2700万円(前年同期比0.3%増)、営業利益4億8400万円(同49.7%減)、純利益2億5700万円(同62.1%減)となり、従来予想の収支均衡は上回ったものの、5割弱の営業減益で進捗率が12%だったことが嫌気された。ライフスタイルサポート事業が好調に推移し売上高は増収を確保したが、エンタ―テインメント事業における既存タイトルの利益寄与の減少に加えて、ライフスタイルサポート事業で新規事業への先行投資が増加したことが利益を圧迫した。なお、19年7月期通期業績予想は、売上高400億円(前期比6.2%増)、営業利益40億円(同14.9%減)、純利益26億円(同21.4%減)の従来見通しを据え置いている。
■ニチコン <6996> 789円 (-51円、-6.1%)
ニチコン <6996> が大幅安で5日続落し、年初来安値を更新した。前週末7日の取引終了後、19年3月期の連結業績予想について、最終損益を43億円の黒字から57億円の赤字(前期109億500万円の赤字)へ下方修正したことが嫌気された。米国における直接購入者原告団から提訴された集団民事訴訟で和解が成立し、和解金9000万ドルを支払うことなどが要因としている。なお、売上高は1250億円(前期比8.9%増)、営業利益は62億円(同横ばい)で従来予想を据え置いている。
■コマツ <6301> 2,615円 (-144円、-5.2%)
コマツ <6301> が大幅安で5日続落し、10月26日につけた安値2626円を下回り1ヵ月半ぶりに年初来安値更新となった。米中貿易摩擦の余波による中国経済の減速懸念が改めて意識されている。10日朝方に発表された国内の7-9月期GDP改定値は前期比年率で2.5%減と下方修正され、市場の事前コンセンサスも下回った。設備投資の減速が足を引っ張っている形で、これは中国向け需要の不振を裏付けるものだ。中国向け建機の売上比率が高い同社株の、このタイミングでの新安値は今のマーケットの不安心理を反映しているともいえる。
■ダイヘン <6622> 2,510円 (-108円、-4.1%)
ダイヘン <6622> が大幅続落。三菱UFJモルガン・スタンレー証券が7日付で、投資判断「バイ」を継続し、目標株価を3800円から3600円へ引き下げたことが弱材料視されたようだ。同社では今来期の業績見通しについて、電力機器部門は素材価格の安定、順調な民需などを踏まえて増額する一方、需要伸び悩みの溶接メカトロと半導体機器部門を減額しており、これにより、19年3月期営業利益予想を102億円から84億円へ、20年3月期を同123億円から90億円へ、21年3月期を同142億円から100億円へ下方修正している。
■村田製 <6981> 16,045円 (-550円、-3.3%)
村田製作所 <6981> が3日続落。半導体や電子部品関連株には厳しい地合いとなっているが、同社株もその影響で下値模索を余儀なくされた。特に、今回の米株安の引き金となったのは、中国通信機器大手ファーウェイのCFO逮捕を受けた米中間のハイテク摩擦が浮き彫りとなったことによるもの。ファーウェイは自国だけでなく、日本でも通信会社向けの基地局で高水準のシェアを誇るほか、大量の電子部品を日本企業から調達していることもあって、セラミックコンデンサー世界トップメーカーの村田製の業績にも影響が懸念されている。
■東エレク <8035> 14,065円 (-460円、-3.2%)
東京エレクトロン <8035> 、信越化学工業 <4063> など半導体関連株が売られた。前週末の米国株市場では米中ハイテク摩擦懸念を背景に半導体関連が幅広く売られ、半導体銘柄で構成されるフィラデルフィア半導体株指数(SOX指数)は3.7%安と大きく水準を切り下げ3日続落となった。この地合いが東京市場にも波及した。
■ドンキHD <7532> 6,980円 (-220円、-3.1%)
ドンキホーテホールディングス <7532> が反落。全体相場が下落するなか同社株も売り先行で軟調な展開となった。ただ、10日の正午に公表にされた11月月次販売高状況(速報)では、既存店売上高0.5%増とプラス圏を維持した。11月は休日数が前年比べ1日少なかったが、同社によると、気温が例年に比べ高く季節商品の売れ行きに響いた。その一方で、生活必需品に関しては、商品ミックスの改善やインバウンド消費も好調なため、客単価は前年に比べ1%上昇した。
■丹青社 <9743> 1,218円 (-34円、-2.7%)
丹青社 <9743> が反落。前週末7日の取引終了後、19年1月期の連結業績予想について、営業利益を47億円から44億円(前期比4.1%減)へ下方修正したことが嫌気された。良好な市場環境を背景に、商業その他施設事業やチェーンストア事業が堅調なことから、売上高は790億円から819億円(同9.0%増)へ上方修正したが、商業その他施設事業で収益性の低い大型案件が重なったこと、ならびに文化施設事業の売上高が予想を下回る見込みであることなどから利益を押し下げる見通し。なお、政策保有株式の縮減に伴い特別利益を計上することや、海外連結子会社の解散および清算決議に伴うマイナスの法人税等調整額を計上するため、純利益は32億3000万円から35億円(同8.7%増)へ上方修正しており、これに伴い期末配当を従来予想の17円から20円に引き上げ年間配当を37円(前期36円)とする予定だ。同時に発表した第3四半期累計(2-10月)決算は、売上高608億6300万円(前年同期比10.0%増)、営業利益34億2700万円(同0.7%増)、純利益28億3900万円(同21.7%増)だった。
■パーソルHD <2181> 1,916円 (-52円、-2.6%)
パーソルホールディングス <2181> が反落。SMBC日興証券は7日に、目標株価を3500円から3300円に引き下げた。投資評価の「1」は継続した。目標株価の引き下げは、株式市況の下落を踏まえたもの。主力の派遣事業の売上が安定成長となるなか、基幹システム刷新や子会社統合による利益率改善、人材紹介の高成長などによって高い利益成長が維持されるとの見方に変更はない。19年3月期第3四半期(10-12月期)の営業利益は116億円(前年同期比17%増)の予想で、通期に関しては会社計画の営業利益425億円に対して435億円(前期比21%増)と超過達成を見込んでいる。
■大和ハウス <1925> 3,417円 (-81円、-2.3%)
大和ハウス工業 <1925> が反落。SMBC日興証券は7日、20年3月期からの新中期経営計画に期待できるとし、目標株価を4600円に据え置き、投資判断「1」を継続した。同社に対しては、短期的には株価を動かす材料は乏しいものの、商業施設と事業施設が牽引して安定した増益が続くなか、大和ハウスらしさのある海外事業の成長モデル構築に期待できるものとみている。なお、18年4月から10月までの累計受注高(単体)は前年同期比 8%増で、同社通期計画の4%増に対し堅調に推移している。
■積水ハウス <1928> 1,638円 (-36.5円、-2.2%)
積水ハウス <1928> が反落。7日の取引終了後に発表した第3四半期累計(2-10月)連結決算が、売上高1兆4881億1300万円(前年同期比0.4%減)、営業利益1140億3600万円(同10.2%減)、純利益829億2300万円(同3.4%減)と2ケタ営業減益となったことが嫌気された。マンション事業や都市再開発事業は好調だったものの、稼ぎ頭だった賃貸住宅事業は金融機関の融資厳格化もあり苦戦した。また、前期の受注減少の影響を受けて、戸建住宅事業も不調だった。なお、19年1月期通期業績予想は、売上高2兆1660億円(前期比0.3%増)、営業利益1850億円(同5.4%減)、純利益1270億円(同4.7%減)の従来見通しを据え置いている。
※10日の下落率が大きかった銘柄を株価変動要因となった材料とともに抜粋。
株探ニュース