今週の【早わかり株式市況】3週続伸、週末に米金利上昇・円安でフシ目突破
■今週の相場ポイント
1.日経平均は3週連続で上昇、一進一退相場も水準は徐々に切り上がる
2.トランプ米大統領による対中関税延期表明で週初はリスクオンのスタート
3.パウエルFRB議長の議会証言はハト派的姿勢確認、マーケットに安心感
4.週末は強い地合いで心理的フシ目の2万1500円ラインを突破
5.好調な米経済指標が米長期金利上昇と円安に反映され、東京市場に追い風
■週間 市場概況
今週の東京株式市場は日経平均株価が前週末比177円高(0.83%高)の2万1602円と3週続伸した。3週間の上げ幅は1269円(6.24%)に達した。
今週は注目イベントの多い週で神経質な展開が予想されたが、フタを開けてみれば日経平均は日々高い日と安い日を繰り返し、指数同様に投資家のセンチメントも不安定に上下動を繰り返した週であったかもしれない。週を通じてテクニカル的に意識されたのは、日経平均の心理的なフシ目となっている2万1500円ラインを突破して、上に行けるのかどうかということ。このラインは上昇相場のひとつの鬼門でもあった。結局、2万1600円台で着地し、“ミッションクリア”となったが、一気に水準を切り上げるのではなく、先物を絡めてじりじりと上値を追う展開で、空売り筋にとっては見た目以上にダメージの大きな地合いであったといえそうだ。
週初の25日(月)はトランプ米大統領が対中関税引き上げの延期を表明したことが好感され、上海株市場の急騰に歩調を合わせて日経平均も上値を指向した。26日(火)は反落したものの27日(水)は再び上昇。パウエルFRB議長の議会証言でFRBの利上げ見送り観測がポジティブに作用した。28日(木)は買い手控えのなか弱含みで推移していたが、引けにかけて下げ幅を拡大。米朝首脳会談が非核化で合意に至らず交渉決裂の形となったことが伝わり、やや狼狽的な売りが出た。しかし、名実ともに月替わりとなった1日(金)はこの狼狽ムードを引きずらなかった。好調な米経済指標を受けて米長期金利が上昇、為替市場でドルが買われ、急速に円安が進んだことが東京市場にとって望外の慈雨となった。
■来週のポイント
来週は2万1500円のフシ目を突破しただけに、上値が重いながらも強含みの展開が期待される。ただ、今週に続き重要イベントが相次ぐうえ、8日にはメジャーSQを控えているだけに様子見ムードが強まる可能性もありそうだ。
重要イベントとしては、国内では7日発表の1月景気動向指数や8日朝に発表される1月国際収支が注目される。海外では6日発表の米国12月貿易収支や7日のECB政策金利発表とドラギECB総裁の記者会見のほか、8日に発表される米国2月雇用統計や中国2月貿易収支に注視が必要だろう。
■日々の動き(2月25日~3月1日)
【↑】 2月25日(月)―― 反発、米中摩擦緩和でリスク選好の買い優勢
日経平均 21528.23( +102.72) 売買高10億5731万株 売買代金 1兆9870億円
【↓】 2月26日(火)―― 反落、実質3月相場入りで利益確定売りに押される
日経平均 21449.39( -78.84) 売買高10億7847万株 売買代金 1兆8969億円
【↑】 2月27日(水)―― 反発、終始買い優勢で約2ヵ月半ぶりの高値
日経平均 21556.51( +107.12) 売買高12億3574万株 売買代金 2兆3924億円
【↓】 2月28日(木)―― 反落、円高・アジア株安を嫌気し利益確定売り優勢
日経平均 21385.16( -171.35) 売買高13億0122万株 売買代金 2兆4480億円
【↑】 3月 1日(金)―― 反発、円安を追い風に2ヵ月半ぶりの高値
日経平均 21602.69( +217.53) 売買高11億4848万株 売買代金 2兆0623億円
■セクター・トレンド
(1)17業種上昇・16業種下落と強弱均衡
(2)武田 <4502> など医薬品が業種別上昇率トップ
(3)大成建 <1801> など建設、JR西日本 <9021> など陸運株といった内需株が買われた
(4)輸出株はまちまち
オリンパス <7733> など精密機器は上昇も、日立 <6501> など電機、トヨタ <7203> など自動車はさえない
(5)三菱UFJ <8306> など銀行、東京海上 <8766> など保険など金融株は低調
(6)郵船 <9101> など海運、コマツ <6301> など機械といった景気敏感株が売られた
(7)国際石開帝石 <1605> など鉱業、出光興産 <5019> など石油、三菱マ <5711> など非鉄といった資源株は大幅反落
■【投資テーマ】週間ベスト5 (株探PC版におけるアクセス数上位5テーマ)
1(1) 5G
2(4) バイオテクノロジー ─── “アンジェス効果”で物色人気集中
3(2) 人工知能(AI)
4(5) キャッシュレス決済
5(3) iPS細胞
※カッコは前週の順位
株探ニュース