増える外国人労働者、減る残業時間、4月制度改正で“騰がる株” <株探トップ特集>
「平成」最後の月となる今年4月は、同時に大きな制度改正も実施される。特に、 働き方改革と外国人人材の受け入れを拡大する「改正出入国管理法(入管法)」が及ぼす影響は大きく、株式市場でも関連株物色は「現実買い」へと動き始めそうだ。また、4月からは「デジタル教科書」の導入も始まる予定であり、教育と情報通信技術を融合させた電子教材関連銘柄も注目を集めることが予想される。
●働き方改革~人材サービス会社などに強い追い風
この4月からの制度改正での注目度が高いのは「働き方改革」だ。働き方改革関連法が4月から施行されることに伴うもので、長時間労働の是正により、1人当たりの労働時間を減らす方向にある。また、年次有給が10日以上付与される労働者に対して5日以上を取得させることが義務化される。この働き方改革は、企業の労働生産性向上を迫ることになるほか、企業は労働力を確保するための人材を外部に求めることにつながる。
このため、人材サービス会社などが改めて注目されることになりそうだ。求人広告や人材紹介、派遣サービスなどの総合的な人材関連事業を手掛けるリクルートホールディングス <6098> のほか、人材派遣大手のパーソルホールディングス <2181> 、求人情報サイト大手のエン・ジャパン <4849> やディップ <2379> など。それに、製造業への人材派遣でUTグループ <2146> [JQ]、テクノプロ・ホールディングス <6028> など。クラウドソーシング大手のクラウドワークス <3900> [東証M]や企業の組織や人事コンサルティング分野で高い実績を持つリンクアンドモチベーション <2170> などに関心が集まりそうだ。
●外国人労働者~介護や建設分野などの受け入れ支援が脚光
外国人労働者の拡大に向けた改正出入国管理法が4月1日から施行される。同改正法は、一定の能力が認められる外国人労働者に対し、新たな在留資格を付与することになり、事実上初めて単純労働分野にも門戸を開くことになる。介護や外食、建設などの14業種で初年度からの5年間累計で34万5150人の受け入れが想定されている。これに伴い、人材派遣などを中心に新たな需要が発生することが見込まれている。
ヒューマンホールディングス <2415> [JQ]は、日本語能力を備えた海外ITエンジニアを常用雇用し国内企業に派遣する「GIT(Global IT Talent)サービス」を展開。アウトソーシング <2427> では、製造業を中心とした外国人技能実習生の管理業務受託が好調だ。アルプス技研 <4641> は、農業支援外国人受け入れ事業で、国内発の特定機関として認定を受けている。アイ・ピー・エス <4390> [東証M]は、在日フィリピン人を中心に介護・医療施設などに対する人材紹介・派遣サービスを展開している。外国人労働者の増加に伴う社宅や寮へのニーズの高まりは、リログループ <8876> への追い風になる。
●デジタル教科書~エドテック関連銘柄が再浮上へ
紙の教科書の使用を義務付けてきた学校教育法などの改正により、「デジタル教科書」が4月から小中高校などで使用できるようになる。音声や動画といったコンテンツも使えることになり、文字の拡大や音声読み上げといった機能も加えられるため、学習障害や視聴覚障害がある子供も学びやすくなる。
これに伴い、教育とテクノロジーを融合させる「エドテック(EdTech)」関連銘柄が再び注目されそうだ。チエル <3933> [JQ]は、教育ICT事業を柱とし、デジタル教科書などデジタル対応教材を手掛けている。また、すららネット <3998> [東証M]はオンライン学習教材の制作を行っている。ネットワーク機器事業で教育関連の実績を持つアライドテレシスホールディングス <6835> [東証2]や教育向けインフラ整備の内田洋行 <8057> 、電子黒板のブイキューブ <3681> などに再評価余地が膨らんでいる。
●施行まであと1年、「受動喫煙防止関連」にも注目
更に、18年7月には受動喫煙対策を強化する「改正健康増進法」が成立した。一部既存の飲食店などには例外があるが、事務所や飲食店など多くの人が集まる施設は原則として屋内禁煙となり、違反者には罰則も適用される。20年4月には全面施行される。4月に入れば施行まで1年を切ることから、受動喫煙防止の動きは本格化しそうだ。喫煙用集塵・脱臭機「スモークダッシュ」を手掛ける三菱電機 <6503> やプラズマ脱臭技術を搭載した「プラズマダッシュ」の日鉄鉱業 <1515> 、共同開発した省電力喫煙ルーム「i-smoking(アイ・スモーキング)」を手掛ける高砂熱学工業 <1969> とオカムラ <7994> などもマークしたい。
株探ニュース