大谷正之氏【要警戒? 続伸も上値重い日経平均そのココロは】(3) <相場観特集>
―対米通商摩擦への懸念と意識される国内経済の不透明感―
週明け20日の東京株式市場は日経平均株価が続伸した。しかし、上値の重さが意識され、朝方に2万1400円台に買われたものの、その後は戻り売りに伸び悩む展開を余儀なくされた。電機や機械、鉄鋼など景気敏感セクターが安く、個別ベースでも値下がり銘柄数は1200あまりに達するなど下値を探る動きが目立った。米中摩擦問題に対する不透明感が強いほか、近く日米間の貿易交渉も始まることで、警戒ムードは拭えない。株式市場全般の見通しや為替の動向について第一線で活躍する市場関係者3人に話を聞いた。
●「日経平均は2万500~2万2000円のレンジで推移」
大谷正之氏(証券ジャパン 調査情報部長)
今後1ヵ月程度先までの東京株式市場は、日経平均2万1000円台固めの推移と見込んでいる。6月下旬に大阪で開催される主要20ヵ国・地域(G20)サミットに向けて、米中貿易交渉の行方が株式相場を大きく左右することになる。したがって、G20までは総じて模様眺めの姿勢を継続せざるを得ず、上値を追う動きは想定し難い。G20に関連した協議で、何らかの方向性が見出せれば、新たな上昇局面となる可能性もある。
こうした、レンジ相場のなかでは、外需関連業種は見送られ、内需関連の好業績銘柄や、新興市場の成長株に物色の矛先が向かいそうだ。日経平均の想定レンジは、2万500~2万2000円とする。
個別では、20年3月期の業績見通しの好調な銘柄に注目している。例えば、セラミックコンデンサーで世界大手の太陽誘電 <6976> は、前期に続いて今期もコンデンサーの需要拡大が見込めることから、今期の連結営業利益を380億円(前期比7.8増)と増益を見込んでいる。また、20年3月期の連結営業利益を2400億円(前期比14.4%増)と2ケタ増益を予想する富士フイルムホールディングス <4901> にも注目したい。
更に、19年3月期の連結最終利益を従来予想の122億円から140億円(前の期比11.3%減)へ上方修正したうえに、今期の最終利益を195億円(前期比39.1%増)と見込んでいる森永乳業 <2264> も注目だ。同社はオペレーションコストや販売促進費、原料価格の上昇を見込むものの、単価差やプロダクトミックスの改善などで増益を目指す。
全国で地域に根ざした在宅ホスピスやホスピス住宅を運営する日本ホスピスホールディングス <7061> [東証M]にも注目したい。同社は3月28日に東証マザーズ市場に新規上場したばかりで、成長途上にある。このほかに、20年3月期も営業利益の過去最高更新を想定し、6年連続の増配を予定している三菱地所 <8802> 、働き方改革関連法案の施行などに伴い、HR(ヒューマンリソース)テクノロジー市場の拡大が続くと見込むカオナビ <4435> [東証M]は、20年3月期の売上高予想を前期比50.3%増の25億4000万円と発表している。
(聞き手・冨田康夫)
<プロフィール>(おおたに・まさゆき)
1960年生まれ。立正大学文学部卒、83年丸和証券入社、営業を経て96年から現職。日本テクニカルアナリスト協会 検定テクニカルアナリスト(CFTe)、AFP(日本FP協会認定)、(内閣府認証)NPO法人金融証券マーケットフォーラム理事。トレンドの芽をいち早くキャッチすべく、フィールド重視の調査を心がけている。
株探ニュース