利益成長“青天井”銘柄リスト【総集編】第1弾 30社選出 <成長株特集>
本特集では、4月下旬から5月中旬までの決算集中期間に随時配信した「利益成長“青天井"銘柄リスト」を、“全期間”を対象に再構成した総集編をお届けします。今回は総集編 第1弾として、時価総額800億円以上の銘柄を対象に、19年1-3月期に四半期ベースの過去最高益を更新し、かつ通期計画も最高益を見込む、いわゆる利益が“青天井”状況になっている銘柄をリストアップした。
下表では、本決算月にかかわらず、直近3ヵ月実績の1-3月期に経常利益が全四半期ベースで過去最高益を5%超上回って更新した銘柄をピックアップ。さらに、会社側が今期(通期計画)も過去最高益見通しを示している30社を選び出し、1-3月期経常利益の過去最高益に対する上振れ率が大きい順に記した。
上振れ率トップとなったのは、樹脂添加剤などの化学品と業務用食物油を2本柱とするADEKA <4401> 。1-3月期(第4四半期)は昨年9月に連結子会社化した日本農薬 <4997> の業績が加わり、経常利益は過去最高を43.3%も上回る101億円に膨らんだ。2位は希少疾病分野を中心に独自の細胞治療や再生医療技術を活用したバイオ医薬品の開発を手掛けるJCRファーマ <4552> が入った。1-3月期(第4四半期)は主力の成長ホルモン製剤や腎性貧血治療薬、再生医療等製品の販売が伸びたことに加え、マイルストーンなどの契約金収入が大幅に増加したことも収益を押し上げた。
3位のデジタルアーツ <2326> は官公庁向けに標的型攻撃に対応したWebとメールのセキュリティ対策ソフトの販売が急増したほか、若年層向けのスマートフォン用フィルタリングソフトの導入が進んだ。続く4位のアマノ <6436> は働き方改革の進展を追い風に、就業管理ソフトとターミナルの販売が好調だったうえ、国内や韓国で駐車場の運営受託が伸びた。決算とあわせて、株主還元方針に「総還元性向55%以上」の目標を導入すると発表したことも好感され、発表翌日の株価は急騰し、その後も相場の地合いが悪いなか頑強な動きを続けている。
6位の大陽日酸 <4091> は昨年12月に米プラクスエアから買収した欧州ガス事業の業績上積みで、1-3月期(第4四半期)は5四半期ぶりに経常最高益を更新した。選出リストでは、大陽日酸を筆頭に好決算を受けて上場来高値を更新した銘柄が目立つ。8位のエスエムエス <2175> は人手不足が深刻な介護職向け人材紹介が大きく伸び、11四半期ぶりに最高益を塗り替えた。株価は上場来高値圏でもみ合いが続いていたが、ここにきて上放れの動きをみせている。
12位にリストアップされたのは日本最大級の法律相談サイトを運営する弁護士ドットコム <6027> [東証M]。足もとでは第2の柱として育成中のクラウド型電子契約サービス「クラウドサイン」の高成長が続いている。1-3月期(第4四半期)は利益の源泉であるメディア部門が伸長したうえ、クラウドサイン導入企業数の増加ペースが加速し、売上高、経常利益ともに過去最高を更新した。2023年に市場規模が5500億円に拡大すると想定される電子契約市場で圧倒的ナンバーワンとなるため、今後もクラウドサインへの積極投資を継続する構えだ。
15位のジェイエイシーリクルートメント <2124> は前期第4四半期に成約した案件などが寄与し、主力の国内人材紹介事業の収益が大きく伸びた。1-3月期(第1四半期)経常利益の上期計画に対する進捗率は77.6%と高水準で、業績上振れが濃厚とみられる。好決算を受けて株価は上場来高値を一気に上抜いたが、その後は調整が続き、決算発表前の水準に逆戻りしている。ただ、配当利回り3%超と株主還元の切り口からは割安感も出てきており、ここから反転上昇が期待される。
17位のバリューコマース <2491> はYahoo!ショッピング出店者向け顧客管理ツール「ストアーズ・アールエイト」の好調が続いたうえ、成果報酬型広告やクリック課金型広告も伸び、1-3月期(第1四半期)は実に7四半期連続となる最高益更新を果たした。第1四半期業績の好調に伴い、早くも通期業績予想の上方修正に踏み切っている。
27位のビジョン <9416> は主力のグローバルWiFi事業で法人を中心とした安定したリピート利用を下支えに、卒業旅行など個人旅行者の獲得も奏功し、レンタル件数が増えた。また、WebマーケティングやOA機器の販売などを手掛ける情報通信サービス事業の収益が拡大したことも大幅増益につながった。
┌─ 四半期 経常利益 ─┐ ┌── 通期 経常利益 ──┐ 予想
コード 銘柄名 上振れ率 1-3月期 過去最高 上振れ率 今期予想 過去最高 PER
<4401> ADEKA 43.3 10141 7078 1.1 26900 26602 9.1
<4552> JCRファ 33.2 2452 1841 1.6 5150 5068 51.3
<2326> デジアーツ 28.2 956 746 25.5 3300 2630 54.3
<6436> アマノ 27.9 6867 5369 5.0 16900 16090 19.2
<1959> 九電工 24.9 20642 16522 1.9 40700 39924 8.1
<4091> 大陽日酸 24.5 19883 15972 39.3 86500 62083 15.5
<1417> ミライトHD 22.5 11142 9093 4.6 23000 21992 11.5
<2175> エスエムエス 20.8 2616 2165 14.6 6854 5979 45.1
<6501> 日立 16.2 209741 180462 15.9 740000 638646 8.2
<8424> 芙蓉リース 16.1 11506 9912 7.2 42000 39166 6.1
<3865> 北越コーポ 15.8 6865 5928 19.8 18000 15026 8.8
<6027> 弁護士COM 14.3 160 140 1.8 520 511 349
<3993> パークシャ 13.8 222 195 51.4 890 588 263
<3769> GMO-PG 13.8 2200 1934 21.0 8108 6700 106
<2124> ジェイエイシ 10.9 2110 1903 14.5 6373 5568 22.6
<1721> コムシスHD 10.8 15635 14107 6.7 38500 36071 13.2
<2491> Vコマース 10.6 1242 1123 14.2 4330 3793 28.3
<2412> ベネ・ワン 10.6 2270 2053 17.4 9050 7707 54.8
<7575> 日本ライフL 10.5 3165 2863 3.3 11167 10808 18.0
<3626> TIS 10.5 13087 11840 4.9 40500 38603 16.8
<4021> 日産化 10.5 13707 12401 2.8 40200 39098 22.6
<6287> サトーHD 9.6 2514 2293 9.0 8300 7618 18.2
<7164> 全国保証 9.6 16227 14804 2.6 36100 35169 11.5
<3360> シップHD 9.1 7541 6912 1.9 19300 18935 18.6
<2331> ALSOK 8.8 11033 10140 7.7 36500 33881 23.1
<4307> 野村総研 8.8 20229 18592 6.3 77000 72409 22.5
<9416> ビジョン 8.8 980 901 20.6 3013 2499 45.6
<4088> エアウォータ 8.5 14419 13284 0.0 47000 46977 10.6
<4212> 積水樹 5.5 3994 3784 0.1 10800 10786 12.7
<1944> きんでん 5.3 20275 19263 1.2 43000 42491 11.9
※ 2018年4月以降に上場した企業と今期見通しを開示していない企業は除いた。四半期の過去最高益は原則、四半期決算の開示が本格化した03年4-6月期以降の業績に基づいたものです。
株探ニュース