為替週間見通し:ドルは伸び悩みか、日米金融政策や米中貿易協議の行方を注視へ

通貨
2019年6月15日 14時47分

【先週の概況】

■ドルはやや強含み、一部経済指標改善でリスク回避の円買い縮小

先週のドル・円はやや強含み。5月小売売上高など一部の米経済指標が改善したことから、リスク回避の円買いは縮小した。米国による対メキシコ関税上乗せが見送りとなったことが好感され、ドル買い・円売りが先行した。

その後、トランプ米大統領が「政策金利は高すぎる」と米連邦準備制度理事会(FRB)の金融政策を批判したほか、米国の5月消費者物価指数が市場予想を下回ったことから、早期利下げ観測が一段と広がり、ドルの上値は重くなった。トランプ大統領が「米中首脳会談が実現しなければ関税第4弾を直ちに実施」と述べたことや、原油輸送の要衝であるホルムズ海峡に近いオマーン沖で13日、石油タンカー2隻が攻撃を受け、中東地域における地政学的リスクが高まったこともドル売りを促した。

しかしながら、14日のニューヨーク外為市場では、5月の米小売売上高や鉱工業生産の改善を受けて、4-6月期国内総生産(GDP)への悲観的見方は後退し、リスク選好的なドル買いが観測された。ドル・円は、108円18銭から108円59銭まで反発し、108円55銭でこの週の取引を終えた。ドル・円の取引レンジ:108円16銭-108円80銭。

【今週の見通し】

■ドルは伸び悩みか、日米金融政策や米中貿易協議の行方を注視へ

今週のドル・円は伸び悩みか。連邦準備制度理事会(FRB)は18-19日開催の連邦公開市場委員会(FOMC)で政策金利の据え置きが決定される見込みだが、声明で7月利下げを示唆するとみられ、ドル売りに振れやすい展開となりそうだ。また、米中貿易摩擦の行方が注視されており、リスク回避の円買いがただちに縮小する可能性は低いとみられる。

先週(6月12日)発表された米消費者物価指数(CPI)は、前年比でコア指数も含め市場予想を下回り、インフレ鈍化を印象づけた。市場では、7月30-31日のFOMCでの利下げに向け今回のFOMC会合ではその手がかりが示されるとの見方が広がっている。そのため、ドルに対して下落圧力がやや強まる見通し。

ただ、ユーロに関して欧州中央銀行(ECB)当局者から一段の緩和政策に関する発言が聞かれている。域内経済の弱さを示す指標が増えた場合、ユーロ買い・米ドル売りは縮小するとみられる。6月21日に発表される6月のマークイットユーロ圏製造業PMIなどの主要経済指標が市場予想を下回った場合、ユーロ圏の金利先高観は一段と後退し、ユーロ売り・米ドル買いが優勢となりそうだ。この動きがドル・円の取引に影響を及ぼすかどうか慎重に見極める必要がある。

一方、米中貿易協議の行方も引き続き注目されよう。トランプ米大統領は中国に対し追加制裁をちらつかせる半面、最終的には合意を目指すなどと揺さぶりをかけている。今月28-29日開催の20カ国・地域(G20)サミットで米中首脳会談が開かれる可能性があるため、米中対立に対する過度な懸念は後退しつつある。それでも、首脳会談が行われても最終的な決着までは到達できないとの思惑は消えていないことから、リスク回避的な円買いが再び広がる可能性は残されている。

【米連邦公開市場委員会(FOMC)】(18-19日開催予定)

6月19日に連邦公開市場委員会(FOMC)後の声明が発表され、その後パウエル連邦準備制度理事会(FRB)議長が記者会見する。今回は政策金利据え置きの公算だが、7月利下げ観測が広がればドル売り再開も。

【米・6月フィラデルフィア連銀製造業景気指数】(20日発表予定)

6月20日発表の米6月フィラデルフィア連銀製造業景気指数は10.5と、5月実績の16.6を下回る見通し。製造業関連の指標悪化は利下げ観測を後押しすることから、ドル売り材料になりそうだ。

予想レンジ:107円00銭-110円00銭

《FA》

提供:フィスコ

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