高成長&フレッシュ新興株、“大化け候補”8銘柄リストアップ <株探トップ特集>
―トップライン拡大が続くニューフェイス銘柄で成長期待の強い株を選出―
高成長が期待できる新興企業はどこか。企業の成長性を調べるうえで重要視される指標の一つにトップラインの成長が挙げられる。売上高は利益成長の源泉であり、増収効果が反映される形で利益も伸びるというのが理想の形だ。そこで今回は直近3年間の売上成長率に注目。上場間もないフレッシュな新興企業の中から、売上高の2ケタ成長が続く小型株を追った。
●「テンバガー」候補としても注目
東京市場では米中貿易摩擦をはじめとする海外情勢にマーケットが振り回される展開が続いている。また、為替の円高進行に対する警戒感も強く、輸出関連など主力大型株は積極的に手掛けにくい状況にある。こうしたなか、個人投資家の視線は内需関連が多くを占める中小型株に向かいつつある。ここは中長期的な視点も踏まえ、高成長が期待できる新興市場の有望株を選別しておきたいところだ。
新規公開から5年以内で時価総額が小さい高成長の新興株は、業績の伸びしろが大きく、収益拡大とともに株価10倍の「テンバガー」になる可能性も秘める。また、東証1部への上場基準の見直しが議論されるなか、時価総額の上昇が期待できる新興株は1部昇格の有力候補としても注目を集める。
以下では、マザーズとジャスダックの新興2市場に上場する企業を対象に、(1)上場5年以内(2019年のIPO企業は除く)、(2)時価総額300億円未満、(3)売上高が前期まで2期以上連続で2ケタ成長を達成し、今期も2ケタ増収を計画、(4)今期の営業利益が増益を見込む、といった条件を満たした8社を今期増収率の高い順に紹介していく。
●メドピアは医療ビッグデータで売上成長3期連続“40%超”へ
メドピア <6095> [東証M]は12万人の医師が登録する医師専用コミュニティサイト「MedPeer」を運営し、薬剤のクチコミや臨床相談データなどの医療ビッグデータを活用したビジネスを展開。製薬企業に提供するマーケティング支援料を主な収益源とする。19年9月期予想を含む3年間の売上成長率はいずれも40%を超す高成長企業だ。足もとでは医師会員の増加を背景に、薬剤評価掲示板を中心に広告収入などの拡大が続く。また、第2の柱として育成中の予防医療領域は今期に黒字化する見通しで来期以降の利益貢献が期待される。同社は21年9月期に時価総額500億円超と現在の2倍を目標とする中期成長戦略を掲げており、今後も目が離せない存在だ。
●マーケットEは好採算の新規ビジネスが好調
マーケットエンタープライズ <3135> [東証M]は中古品買取販売サイト「高く売れるドットコム」を中心に30カテゴリーの専門サイトを運営するネット特化型のリユース企業。前期から農機具の買取販売や中古スマートフォン・格安SIMの販売、メディア運営といった利益率の高い新規ビジネスが好調だ。19年6月期は2度にわたる上方修正を経て、売上高は前期比31.1%増の83億円、営業利益は同4倍の3億8500万円を見込む。スマホの普及を背景にリユースEC市場は拡大しており、良好な収益環境が続くほか、来期は9月のSIMロック解除義務化が追い風となる中古スマホ販売の動向も注目したいところだ。
●JMCはEV市場の拡大が追い風
JMC <5704> [東証M]は砂型鋳造による小ロット量産を得意とする主力の鋳造事業で電気自動車(EV)化をはじめとする付加価値の高い試作・開発案件の受注が拡大基調にある。中期経営計画で21年12月期に売上高52億円以上、営業利益7億8000万円以上といずれも前期比倍増の目標を掲げる。鋳造事業では新工場の建設などで急拡大が見込まれるEV市場の試作・開発ニーズを更に取り込むほか、3Dプリンター事業における心臓カテーテルシミュレーター「HEARTROID」の販売強化や産業用CTによる検査・測定サービスの市場開拓も収益拡大に貢献する見通しだ。
●アンビションはヴェリタス買収で収益急拡大
サブリースを展開するプロパティマネジメント事業を主力とするAMBITION <3300> [東証M]は、17年10月に不動産販売のヴェリタス・インベストメントを買収してから業績が飛躍的に拡大している。19年6月期は新築投資用デザイナーズマンションの販売が絶好調で、第3四半期時点の営業利益は18億800万円と通期計画(15億3600万円)を大幅に超過、業績上振れが濃厚だ。指標面では予想PER11倍と割安感が強く、水準訂正の余地が大きいとみられる。
●レアジョブは成長余地大きい法人向け市場に注力
オンライン英会話大手のレアジョブ <6096> [東証M]は20年3月期に売上高44億円(前期比20.9%増)と3期連続の2ケタ増収を目指す。足もとの業績は営業体制の強化が奏功し、法人・教育機関向けが拡大している。旺盛な企業の英語研修ニーズを背景に、今後も成長余地が大きい法人向けビジネスの深耕に傾注するほか、教育機関向けは英語教育改革が行われる来期以降の成長を見込む。また、資本業務提携先である三井物産 <8031> の海外ネットワークを活用して海外展開も進める構えだ。
●シルバライフは高齢化社会で大活躍
シルバーライフ <9262> [東証M]は高齢者向け配食サービスのフランチャイズチェーン(FC)を運営するほか、全国の老人ホームや障害者施設に食材パックを提供するビジネスを展開する。配食サービスの市場拡大を背景に、FC店や高齢者施設の契約数が伸びている。また、冷凍弁当のOEM(他社ブランドによる供給)販売も増勢にあるほか、4月から参入した冷凍弁当の直販ビジネスも好調な出足をみせる。高齢化社会が進むなか、商品開発・製造から配達までの一気通貫体制を武器に今後も持続的な成長が期待できそうだ。
●スタジオアタオは東証1部昇格も視野
スタジオアタオ <3550> [東証M]はオリジナルブランドの婦人用バッグや財布をインターネットと実店舗で販売している。20年2月期は店舗リニューアルやSNSを活用したマーケティングの強化を通じ、自社ブランド製品の販売を伸ばす計画で、売上高は前期比16.3%増の49億円、営業利益は同18%増の8億8000万円への拡大を目指す。今期は16年11月の上場以来初となる配当(5円)を実施するほか、株式分割や立会外分売を実施するなど、株主数を増やす施策を次々に打ち出しており、東証1部昇格への期待も膨らむ。
●ユーザーロカはビッグデータとAIで省力化ニーズ取り込む
ユーザーローカル <3984> [東証M]も今年に入ってから立会外分売や株式分割を実施しており、東証1部昇格候補としてマークしておきたい。同社はビッグデータの収集と解析のためのプラットフォームを提供する事業を展開。WebサイトやSNS上の口コミなどの分析を通じ、企業のマーケティング活動を支援する。19年6月期の売上高は前期比13.8%増の12億5100万円と7期連続で2ケタ増収を達成する見通しだ。足もとでは顧客対応業務を自動化するチャットボット製品を投入するなど成長投資にも余念がない。データと人工知能(AI)の活用で省力化ニーズを取り込み、更なる成長につなげる構えだ。
◆売上高の2ケタ成長が続く新興企業8社◆
時価 ┌─ 売上高 ─┐ ┌─ 営業利益 ─┐ 2ケタ増収
コード 銘柄名 総額 増収率 今期計画 増益率 今期計画 連続期数
<6095> メドピア 240 45.5 32.0 47.1 5.4 3
<3135> マーケットE 107 31.1 83.0 301 3.8 9
<5704> JMC 105 27.0 32.8 29.5 4.2 4
<3300> アンビション 93 25.7 292 34.6 15.3 10
<6096> レアジョブ 69 20.9 44.0 68.5 3.0 3
<9262> シルバライフ 270 17.9 77.1 45.2 8.7 7
<3550> ATAO 150 16.3 49.0 18.4 8.8 5
<3984> ユーザーロカ 241 13.8 12.5 6.0 4.9 7
※時価総額、売上高、営業利益の単位は億円。増収率、増益率は%。2ケタ増収連続期数は今期計画を含めた売上高2ケタ成長の連続期数。
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