明日の株式相場戦略=投資資金に余裕を持たせチャンスを捉える

市況
2019年7月18日 17時47分

にわかに激流が押し寄せた形となった18日の東京株式市場。日経平均は一時470円あまり下落し、フシ目の2万1000円大台を割り込んだ。引け際にやや戻し大台ラインはキープしたものの、想定外の大崩れといってよい。参院選を目前にして「選挙前までは強調展開」という思惑をばっさりと斬り捨てるような下げ。相場は与党勝利を織り込んでいるとはいえ、国内経済が変調をきたすなか、今回の選挙が消費税引き上げを信認する形となることに相場が拒絶反応を示しているようにも見える。

きょうは前日(17日)の米株市場の下げを嫌気して日経平均の下値模索が続くことは想定されたが、下げ幅は限定的になるだろうとの見方が事前のコンセンサスだった。ところがそうはならず、久々に先物を絡めた海外ヘッジファンド筋によるアルゴリズム売買の餌食になった格好だ。市場関係者によると「日々の空売り比率が51.2%と最高を記録しており、かなり仕掛け的な要素が強かったのではないか」(国内証券マーケットアナリスト)とする声があった。

売買代金は12営業日ぶりに2兆円台を上回ったとはいえ、2兆1000億円と相変わらずの低調商いで、狼狽売りを誘ったような感触は全くない。いわば無人の高速エレベーターが急降下したような地合いで、市場参加者不足が幸いしている。国内ネット証券によれば、前日大引け時点の信用評価損率は▼10.724%にとどまっており、▼20%ラインが投げ売りの誘発ラインとすれば、まだその水準には相当な距離がある。ただしこれを裏返せば、アク抜け感が出ないという点で、セリングクライマックスを狙った売り仕掛けがまだ続く可能性も排除できない。

それでも、きょう前場の段階では光明も差し込んでいた。前日にオランダの半導体露光装置メーカー大手のASMLが好決算を発表、これが素直に好感されてアムステルダム市場で5%強の上昇をみせたことで、東京市場でも半導体製造装置関連株に買いを誘導した。きょうは東証1部の値下がり銘柄数が2000を上回り、約97%の銘柄が下落する文字通りの全面安商状であったが、そのなか東京エレクトロン<8035>やアドバンテスト<6857>などが異色の底堅さを発揮、SCREENホールディングス<7735>は終値もプラス圏で着地した。世界景気の減速懸念とは反対向きのベクトルであり、これが半導体関連に継続的な追い風を示唆するものなのかを注視したい。

とはいえ、今の東京市場は何と言っても7月下旬から本格化する4~6月期決算発表を恐れている。前日も触れたが、国内企業の20年3月期中間期の業績は2ケタ経常減益の可能性が高まっている。下方修正の流れをどの時点で株価が織り込むかは、少なくとも今回の決算発表が始まる前には皆目見当がつかない。相場の変化をプラスの方向で捉えるために、今はキャッシュポジションを高めるのが妥当だ。

もちろん100%資金を引き上げる必要性はない。通常よりは軽めに相場と戯れるくらいの資金投下を心掛けたい。物色対象は引き続きAIやIoT周辺で攻めるところ。きょうのタイミングではピンポイントで個別銘柄は挙げにくいが、切り口として念頭に置きたいのは人工知能(AI)全盛時代を前に、それを扱う人間側のレベルアップだ。先端IT人材をビジネスエリアとする銘柄群に商機が巡っている。全体の地合いを見ながら、実力が株価に反映されていない銘柄をじっくりと探していきたい。

日程面では、あすは6月の全国消費者物価指数。対外・対内証券売買契約。海外では7月の米消費者マインド指数(ミシガン大学調べ)が注目される。(中村潤一)

出所:みんなの株式(minkabu PRESS)

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