雨宮京子氏【様子見の東京市場、ここは買い場かそれとも…】(1) <相場観特集>

特集
2019年10月7日 18時30分

―米中協議を前に思惑錯綜、円高含みで上値重い日経平均―

週明け7日の東京株式市場は朝方高く始まったものの、その後は値を消す展開となった。2万1300円台では買い板も厚く下げ幅も限定的だったが、米中間の貿易協議を前に様子見ムードが漂っていることは否めない。ここは買い場とみるべきかどうか。買い場とみた場合、物色対象として有力視される銘柄は何か。また、足もと円高含みに推移する為替市場も気になるところ。株式市場と為替の動向について、それぞれ業界のスペシャリストに話を聞いた。

●「米中摩擦は要警戒も中期上値指向変わらず」

雨宮京子氏(SBI証券 投資情報部 シニア・マーケットアドバイザー)

東京株式市場は日経平均株価の上値が重い展開となっている。今週10~11日の米中貿易協議にマーケットの視線が集まっており、この結果によって全体相場のムードは大きく左右されるだけに、なかなか持ち高を一方向に傾けにくいという事情があるようだ。これは、きょうの東証1部の低調な売買代金が物語っている。

米中協議については予断を許さない。これまでの経緯を考えるとトランプ米大統領が求める幅広い通商合意に中国が満額回答するとは考えにくく、その点注意が必要だ。一方悲観するような局面でもなく、売り方の立場として空売りも仕掛けづらい。日経平均は米中摩擦問題を背景に目先的に波乱展開となる可能性はゼロではないが、年末に向け中期的には上値を指向するとみている。

今月下旬以降は漸次企業の決算発表を控えるが、株式市場は米中摩擦のネガティブな面について織り込みが進んでおり、総論として業績面のアプローチから大崩れすることはないと考えている。向こう1ヵ月程度の日経平均の予想レンジは、上値は今年4月の年初来高値水準である2万2300円前後、下値は2万500円近辺とみている。

物色対象はあくまで個別重視で、値動きの良いものに乗っていく地合いが続きそうだ。まず、アップルの新型iPhoneの好調が伝わるなか、関連株では“ど真ん中銘柄”の村田製作所 <6981> をマーク。また、中小型株ではアエリア <3758> [JQ]の押し目は買い場となっている公算が大きい。同社株はゲーム関連株の出遅れで内容も良く、有償ストックオプション発行で狼狽売りが出たものの、冷静にみればこれは買い材料だ。直近IPO銘柄のギフティ <4449> [東証M]も面白い。時代は商品券やモノから「eギフト」に変わりつつあり、同社はその先駆企業として評価されそうだ。ここのほか、介護・医療関連ではフレアス <7062> [東証M]の動きがよい。インサイドセールス需要を捉え成長トレンドに乗るブリッジインターナショナル <7039> [東証M]などにも注目している。

(聞き手・中村潤一)

<プロフィール>(あめみや・きょうこ)

SBI証券 投資情報部 シニア・マーケットアドバイザー。元カリスマ証券レディ。日興証券時代は全国トップの営業実績を持つ。ラジオ短波(現ラジオNIKKEI)、長野FM放送アナウンサー、『週刊エコノミスト』(毎日新聞社)記者、日経CNBCキャスター、テレビ東京マーケットレポーター、ストックボイスキャスターなどを経て現在に至る。

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