始まった“半導体”大相場、マッハ上昇トレンドに乗る「驚速7銘柄」 <株探トップ特集>
―メモリー市況の底入れ接近で株価も風雲急、“急騰前夜”の中小型株を逃すな!―
東京株式市場では今週17日に日経平均が年初来高値2万4066円に買われ、いよいよ昨年10月につけたバブル崩壊後の高値2万4270円奪回を視界に入れたと思われた。しかし一本調子にはいかず、その後は利益確定売り圧力が顕在化し地合いは軟化、週末20日もクリスマス休暇に伴い海外投資家の参戦が限られるなか、上値の重い展開を強いられ3日続落となった。ただし、値上がり銘柄数が値下がり銘柄数を大きく上回り、個別物色意欲は旺盛なことがうかがわれる。そのなか、とりわけ人気を博したのが半導体関連株で、中小型株を軸に個人投資家を中心とした投資マネーを幅広く誘導する格好となった。
●5Gと半導体の競演で高パフォーマンス株続出
2019年相場も残すところあとわずかとなったが、年内にひと回転を利かせ、同時に新年相場でもスタートダッシュが期待できる銘柄は「5G」と「半導体」、この2つをキーワードに輩出される可能性が高い。
米国ではNYダウやナスダック総合指数、S&P500指数など主要株指数だけでなく半導体銘柄で構成されるフィラデルフィア半導体株指数(SOX指数)も最高値圏にある。年初から直近までの上昇パフォーマンスも、S&P500指数が25%程度であるのに対し、SOX指数は57%前後と圧倒的な差がついている。米国主導で半導体関連が全体相場を牽引する構図が世界的にも鮮明となっている。
この背景にあるのは、米中摩擦の影響が一巡し半導体市況の底入れが近づいているとの観測が一つ。そしてもう一つは、次世代通信規格である5G関連投資の活発化が契機となりEUV(極端紫外線)露光技術に対応した新たな市場が立ち上がっていることだ。
●レーザーテク大相場の原点となったEUV技術
5Gでは4G時代よりもデータ処理の速度を速めることが必須で最先端のCPUが必要とされている。CPU性能向上のためロジック半導体は一段と回路線幅の微細化が進展する方向にあり、その際に極めて波長が短いEUVが次世代露光技術として脚光を浴びている。東京市場でこうした半導体業界の現状を如実に反映して株価の上昇トレンドを加速させているのがレーザーテック <6920> だ。まさに最高値街道をまっしぐらの状態で、20日には終値で630円高の1万830円に買われた。同社はマスクブランクス検査装置で世界シェアを独占するが、EUV技術に対応したマスクブランクス検査装置を供給できる体制を世界で唯一確立していることで、マーケットでは同社株“争奪戦”の様相を呈している。
ロジック半導体だけではなく、メモリー市況もここにきて在庫調整が進み回復の兆しを強めている。今後5G対応スマートフォンが普及すれば、当然ながらメモリー需要も喚起されることになる。米中協議の第1段階合意がなされ、今後も両国の貿易交渉が徐々に進展していく過程で、20年は中国でメモリー投資拡大の動きが強まるとの見方が強い。米中対立のなかも中国側が譲れない産業政策として「中国製造2025」があるが、その骨子の一つが半導体の自給率を25年に7割まで引き上げる(現状は15%程度)というものだ。これに伴うメモリー関連投資の案件が既に動き出しており、日本企業にとっても強力なフォローの風となることが期待されている。
●半導体の中小型株に急騰銘柄続出の兆し
直近の株式市場では、こうした事情を織り込みながら半導体関連セクターが底上げの動きを見せ始めた。東京エレクトロン <8035> やアドバンテスト <6857> 、あるいはルネサスエレクトロニクス <6723> や信越化学工業 <4063> 、SUMCO <3436> といった主力株だけでなく、出遅れていた中小型株に株価を急動意させる銘柄が増えている。中小型の半導体関連株は良くも悪くも業績変動率の高い銘柄が多く、しかも、実際の業績に対し株価は時間軸で大きく先行する。収益回復を株価が読み込む段階に入った際には、一様にスケールの大きい上昇相場を演じるケースが多い。今回は、半導体市況と収益の相関関係が強い銘柄のなかから、足の速さが魅力で上値余地も大きいと思われる7銘柄を厳選した。
【エノモトは割安顕著、株高修正の本番近づく】
エノモト <6928> は今月12日に1247円の高値をつけた後小休止していたが、ここ再び急動意モードとなってきた。割安感が際立ち、株高への修正はここからが本番となろう。リードフレームなど半導体用デバイスを手掛けるが、35年間のノウハウに裏打ちされた技術力に定評があり、精密プレス金型などでも多方面で実績を重ねている。リードフレームは車載向けが堅調。コネクター用部品は車載向けのほか、ウェアラブル端末向けで新たな需要を獲得していることに注目。株価指標面でPER9倍台、PBR0.6倍は同社の潜在的成長力を考慮すると大幅な水準訂正が濃厚。年35円配を実施するなど株主還元姿勢も評価できる。17年10月に分割後修正値で2161円の高値に買われており、時価は依然としてその6割程度の水準にとどまる。
【竹田印は半導体マスクで思惑、4ケタ大台指向】
竹田印刷 <7875> [東証2]は大出直り相場の初動、薄商いだが上値余地は大きい。中部を地盤に商業印刷を手掛けるが、ポイントとなるのは同社が半導体関連マスク事業を手掛けていることだ。CAD設計からマスク製造まで一気通貫で手掛ける生産体制を構築し、工程ごとの品質管理徹底と万全の検査・機密保持管理を整えていることで、顧客の信頼を勝ち得ている。世界景気減速への懸念が後退する一方、米中摩擦の緩和からスマートフォン市場向けで回復が見込まれ、営業利益は20年3月期に続き21年3月期も2ケタの成長が有力視される。1株純資産は前期実績で1850円弱あり、現在の株価はあまりに評価不足。信用買い残は枯れ切った状態で、4ケタ台復活を当面の目標に中勢は昨年3月につけた高値1200円どころを目指す展開か。
【冨士ダイスは半導体金型の来期回復を先取り】
冨士ダイス <6167> は着実に水準を切り上げてきているものの、ここ2年間の長期波動でみれば底値ボックス圏から脱却する直前の段階にあり、強気対処で報われそうだ。超硬耐摩耗工具・ 金型の大手で、業績は半導体市況の動向と連動しやすい。今20年3月期営業利益は会社側計画の12億3000万円に未達の可能性があるが、株価は既に織り込みが進んでいる。自動車部品生産用金型が好調を維持しているほか、光学素子成形用金型も収益に貢献、来期には半導体用金型などの回復も本格化してくることで、2ケタ増益路線への復帰が有力視される。20年3月期年間配当25円で高配当利回りも魅力。株式需給面では信用買い残も軽く、早晩2月20日の年初来高値743円を通過点に戻り足を本格化させる公算大。
【テセックは車載パワー半導体に新境地、大相場も】
テセック <6337> [JQ]が底値離脱から強力な上昇トレンド転換に動き出した。ここは追撃買いで妙味十分といえる。同社は半導体分類装置(ハンドラ)と検査装置(テスター)を主力展開する。20年3月期は米中摩擦の影響による出荷減少の波に抗えず、営業利益段階で前期比77%減の2億8000万円と大きく落ち込む見通しながら、株価は既にその最悪局面を織り込み、21年3月期のV字回復を先取りする動きに変わっている。中国や台湾などアジア向け顧客ニーズの回復が、同社の収益を押し上げることになる。車載用パワー半導体向けを戦略的に開拓、高い技術力を武器に次世代商品開発で新境地を開く構えだ。小型で足が速く、16年の年央から18年2月にかけ株価を5倍近くに大化けさせた実績は注目される。
【タキロンCIはチップ製造で必須の高機能材提供】
タキロンシーアイ <4215> が直近、新値圏に浮上し一段の上値を目指す動き。樹脂加工の大手でIT向け樹脂板ではトップシェアを誇る。高機能材部門で半導体工業用プレートなどを展開、半導体チップや製造に必須となる素材を提供しており、今後5GやIoT分野の投資拡大を背景とした半導体市況の改善が同社にとっても強力なフォローの風となる。弱電向け樹脂成型品を手掛ける天昇電気工業 <6776> [東証2]とは資本・業務提携関係にあり、天昇電株式を第三者割当の形で獲得し、5%超の大株主となっていることも思惑材料。PER5倍は土地売却に伴う特別利益の計上によるが、実質的にも10倍前後に過ぎない。3.7%前後の高配当利回りも魅力。中期的には17年11月の高値852円を視界に入れる展開に。
【栄電子は抜群の流動性、もみ合い煮詰まり快足発揮】
栄電子 <7567> [JQ]は600円台前半でのもみ合いが続いており、半導体関連の小型株が相次いで人気化する状況下、上放れの機が熟してきた。半導体製造装置用スイッチング電源やコネクターなどで実績を有する電子部品商社で、ひとたび動意づくと快足を発揮する。足もとの業績は低迷しているが、今20年3月期が業績の大底となり21年3月期は営業2ケタ増益に切り返す可能性が高い。10月下旬に400円台前半から瞬間風速で4ケタ大台まで駆け上がる大相場を演じたが、物色人気佳境の局面では1日で600万株を超える大商いをこなしている。信用買い残は直近データで64万株程度あるが、半導体周辺株に資金が集まる今の地合いでは、抜群の出来高流動性の高さを背景にそれほど気にならなくなっている。
【芝浦メカは踊り場形成、天井高く買いのチャンス】
芝浦メカトロニクス <6590> は10月中旬を境に上げ足を加速、時価3800円近辺は中長期戻り相場の踊り場で買いのチャンス。半導体や液晶などのデバイス製造装置を展開。半導体装置では前工程でエッチング装置、後工程ではチップボンダーで高い商品競争力を誇る。20年3月期は減益見通しながら、合理化努力が寄与して営業利益は従来予想の33億円から36億円(前期比10%減)予想に増額している。21年3月期は増収効果と相まって2ケタ成長に切り返す可能性大。11月初旬に4195円の年初来高値を形成したが、まだ戻り途上だ。17年11月には5280円(併合後修正値)の高値を形成、リーマン・ショック前の06年1月には1万7590円をつけた実績があり、天井の高さは魅力となる。
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