【杉村富生の短期相場観測】 ─ イノベーションが日本、マーケットを救う!
「イノベーションが日本、マーケットを救う!」
●産業構造の変化を見逃すな!
今号(前号では「NYダウは3万ドルを目指す」と指摘)のテーマは波乱相場に打ち勝つ投資戦術である。筆者はイノベーション(技術革新)が日本、およびマーケット(株式市場)を救う、と一貫して主張している。有望株を発掘するポイントはここにあろう。
すなわち、産業構造の変化を見逃すな、ということ。平成の30年、インターネット、 スマホ、EC(電子商取引)の出現によって社会は激変した。名門百貨店が次々に消え、書店の閉店が相次いでいる。
自動車業界はEV(電気自動車)、HVにシフト、自動運転時代が訪れようとしている。将来的には新車販売の利益をMaaS(モビリティ・アズ・ア・サービス)の利益が上回る、という。
AI(人工知能)の普及、5G(次世代通信網)、IoTの導入がその動きを加速する。NY市場ではテスラの時価総額(14兆円)がフォード、GMの時価総額の合計額を上回った。まさに、産業構造の変化を象徴する出来事である。
昨年来、筆者はホロン <7748> [JQ]、インスペック <6656> [東証2]などを強力に取り上げてきた。ホロンは半導体の微細化の進展を受け、電子ビーム測定装置「ZX(ジーテン)」の需要が激増、インスペックはプリント配線基板の検査装置(従来は人の目による目視が主流)に着目したのだ。そう、イノベーションは事業環境を激変させる。
●センサーで飛躍を図るソニー!
なお、ホロンの筆頭株主は計測機器のエー・アンド・デイ <7745> だ。発行株式数の51%を保有(170万株)している。取得価格は総額15億円(2018年の追加取得の時は1株920円)と、会社側が語っている。含み益は大きく膨らんでいる。A&Dの株価は1000円絡み。PERは12倍前後と出遅れている。
自動運転では大量の センサーを使う。車載センサーはカメラ(画像)、レーダー(距離)、それを補うLiDARに大別できる。現状は単一センサーでは不可能だ。これを統合する技術「センサーフュージョン」(SF半導体)が必要になる。
この分野ではアメリカのオン・セミコンダクターが世界シェア6割を有する。ソニー <6758> はスマホ向けSF半導体では世界シェア5割を誇っているが、車載用は1割のシェアにとどまっている。今後は受光領域とデータ処理領域を積層させる独自技術を武器に、オン・セミコンダクターを追うことになろう。
日邦産業 <9913> [JQ]は独立系の電子部品商社だ。自社製品比率の高いモビリティ分野が伸び、メディカル事業が収益に寄与している。20年3月期の経常利益は88%増の8億5000万円を見込み、1株利益は約48円(19年3月期は最終損失)と予想しているが、これはないだろう。すでに、第3四半期(4-12月)までに経常利益は8億6700万円を確保している。最終的に1株利益は70円前後となろう。会社側は「10円復配」を公表している。株価的にはPER10倍前後、PBR0.6倍絡みと、著しい出遅れ感がある。
このほか、AI inside <4488> [東証M]の「DX Suite」、チェンジ <3962> のパブリテック事業、レーザーテック <6920> の半導体マスク欠陥検査装置などに注目できる。
2020年2月14日 記
株探ニュース