雨宮京子氏【乱調相場続く、新型肺炎の悪影響どこまで】(2) <相場観特集>

特集
2020年2月17日 19時45分

―企業業績低調で先行き不透明、ここは買い場か売り場か―

週明け17日の東京株式市場は引き続き新型肺炎に対する警戒感から買い手控えムードが強く、日経平均株価は一時350円あまり下落する売り圧力の強い地合いを余儀なくされた。企業の19年4-12月期決算発表はほぼ通過したが、総括して厳しい内容であったと言わざるを得ない状況で、1~3月期の逆風を考えると業績回復への期待感も足もと後退している。株式市場はここから本格的に調整局面を迎えるのか、それともここは絶好の買い場となるのか。第一線で活躍する市場関係者に今後の相場展望や物色対象について意見を求めた。

●「2万3000円割れ見込むもそこは買い場に」

雨宮京子氏(SBI証券 投資情報部 シニア・マーケットアドバイザー)

東京株式市場は再びリスクオフの流れに晒されている。新型コロナウイルスによる肺炎の感染拡大が続き、日本でも感染者数の拡大が続いていることから、景気全般や企業業績への影響も懸念せざるを得ない状況にあることは確かだ。きょうは、朝方に発表された19年10-12月期のGDPが事前予測を下回ったことで、全体相場の下げに拍車をかけた。

しかし、モノは考えようであり、景気の回復が後ずれすることにより、相場の息が長くなったという見方もできるのではないか。新型肺炎は思った以上に厄介で今は大騒ぎしているが、夏場に向けて終息することはほぼ間違いなく、景気への影響は一過性であるということを念頭に置いておくべきだ。また、これまで東京五輪・パラリンピック後の国内景気の失速を警戒する声もあったが、前倒しで需要が抑えられることで、五輪後に株式市場が怯えるリスクは逆に低減している。

3月決算企業の4-12月期業績は想定の範囲とはいえ低調だった。また、ここから決算期末に向け機関投資家の保有株のロスカットや利益確定の売り圧力が徐々に膨らんでくることを考えると、短期的にみれば深押しも考えられ、日経平均は2万3000円台を割り込む場面もありそうだ。しかし、全体の上昇トレンドが壊れることはなく、夏場に向けリバウンドに向かうだろう。つまり、いったん下に振らされた後、2万4000円台へのチャレンジを再度目指す方向になると考えている。

個別では中小型株優位と思われるが、そのなかで注目したいのは、まず院内感染システムなどの医療ICT分野に展開するキーウェアソリューションズ <3799> [東証2]。また、人工透析用留置針で国内トップのメディキット <7749> [JQ]にも注目。更に独立系ネット接続大手の朝日ネット <3834> は、足もとの業績好調で高値から半値押し水準の時価近辺は狙い場と思う。

このほか、日米豪がレアアース生産で協力する方向にあるなか、貴金属回収で実力の高いアサカ理研 <5724> [JQ]なども面白い。

最後に大型株では日本電産 <6594> に注目している。値がさ株で個人は買いにくい銘柄だが、3月末の株主を対象に1株を2株にする株式分割を発表している。この分割権利取りの動きが予想され、目先押し目買い対象として目を配っておきたい。

(聞き手・中村潤一)

<プロフィール>(あめみや・きょうこ)

SBI証券 投資情報部 シニア・マーケットアドバイザー。元カリスマ証券レディ。日興証券時代は全国トップの営業実績を持つ。ラジオ短波(現ラジオNIKKEI)、長野FM放送アナウンサー、『週刊エコノミスト』(毎日新聞社)記者、日経CNBCキャスター、テレビ東京マーケットレポーター、ストックボイスキャスターなどを経て現在に至る。

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