米国株式市場見通し:悲惨な経済見通しで慎重な展開が継続

市況
2020年4月4日 15時29分

米国経済はすでにほぼ景気後退入りしていることは確実で、米国の経済活動停止によって、一部の雇用、経済指標は大恐慌時以上に悪化する可能性が警戒されている。一部のエコノミストは経済活動停止の長期化を予想し、当初のV字型回復からL字型回復で危機前の強い経済に戻るのは2021年末と悲惨な見通しへと変更している。全米で新型ウイルスの感染や死者が急増するなか、フロリダ州などが先週新たに外出自粛を発表しており、全米でこの動きが拡大、長期化する可能性が高く、当面は経済指標の悪化や企業収益の悪化に覚悟しなければならない。

市場は悪い指標を織り込みつつあることや政府や連邦準備制度理事会(FRB)による過去最大規模の支援策が開始され、投資家の恐怖心理を示すVIX(変動率)指数は少しづつ低下している。3月に見られたような金、米国債を含め全資産を現金化するようなパニック的な売りは一段落している。しかし、外出自粛が5月以降に長期化することも十分に想定され、主要企業も決算で業績見通しを示さない状況が続いており、不透明感は明確な売り材料となる。株価のレンジを狭めながらも反発局面では売りが予想され、安値を再び試す可能性は依然高く、予断を許さない状況だ。なお10日はグッドフライデーで株式市場は休場となる。

経済指標では、3月生産者物価指数(PPI)(9日)、週次新規失業保険申請件数(9日)、4月ミシガン大学消費者信頼感指数(9日)、3月消費者物価指数(CPI)(10日)が予定されている。8日には連邦準備制度理事会(FRB)が連邦公開市場委員会(FOMC)議事録を公表する。3月に実施した臨時会合で大規模緩和決定に至った背景を探りたい。外出自粛が本格化した時期が反映される4月のミシガン大学消費者信頼感指数にも注目が集まる。2016年10月来の低水準が予想されているが、更に下ぶれるリスクに注意したい。また、週次新規失業保険申請件数にも引き続き注目したい。今後数週間300万件から500万件の推移を続けるとすると、概ね2000万人が雇用を失うこととなり、4月の失業率は15%近くに上昇する見込みだ。2.2兆ドル規模の第3経済救済策で失業保険の支給額が引き上げられることも、申請増加に拍車をかける理由となっている。JPモルガンは4日までの申請件数が700万件に達すると見ている。6日に開催される石油輸出国機構(OPEC)プラス臨時会合で減産が決定されるならば、唯一の明るいニュースとなるだろう。

企業決算では、ジーンズメーカーのリーバイストラウス(7日)、食品会社のクラフトハインツ(9日)などが予定されている。特に、外出自粛がリーバイストラウスなどの小売りに大きな損害を与えた一方で、食品のクラフトハインツでは売り上げ増が期待される。

(Horiko Capital Management LLC)

《FA》

提供:フィスコ

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