明日の株式相場戦略=テーマ株の上昇加速ポイントを見極める

市況
2020年6月2日 17時45分

過剰流動性を背景とした鮮烈な戻り相場は日本だけではなく米国も同様の環境に置かれている。というより、コロナショック後の世界株高の中軸はやはり米国だ。そうしたなか、新型コロナウイルスの感染拡大が深刻な米国と比べて日本は結果的に封じ込めに成功している形であり、株式市場でもその点は海外投資家の評価ポイントとなる。

とはいえ東証1部の騰落レシオが150%をも超えた現状は、やはり冷静な目で見ておく必要がある。きょう(2日)の東京市場でもリスクオンの風は吹き続け日経平均は続伸、一時2万2400円台に乗せるなど一段の高みに舞い上がった。今週は米国で注目度の高い経済指標発表が相次ぐが、その手始めが、前日発表された5月のISM製造業景況感指数だった。結果として同指数は前月比で4か月ぶりに上昇、大手メディアはこれが経済底入れ期待につながり市場心理を強気に傾けたという解釈を示したが、上昇については事前に織り込まれていたことで、更に43.1という水準は分水嶺の50を下回っただけでなく事前の市場コンセンサスにも届かなかった。もし、米国株が下落して、きょうの日経平均も反落していたら、「過度な経済回復への期待が後退した」という文言に変わっていたはずだ。

今週は5月の米雇用統計もあるが、これから先に出てくる数々の米経済指標がどの程度、全体相場にインパクトを与えるのかを見極めたい。一方、欧州では4日にECB理事会があり、こちらも合わせて注目となる。今回の会合で債券のパンデミック緊急購入プログラムの増額により緩和姿勢を前面に押し出せば、不景気の株高をイメージさせる舞台としては十分な役割を担うが、果たしてどうなるか。

個別ではシステム開発やITソリューション周辺の銘柄群に引き続き物色の矛先が向かっている。全体相場とは別次元の視点となるが、個別の上げ潮に乗る銘柄には共通項があり、出遅れ修正の動きに乗ってもみ合いを上放れると、そこから買いに厚みが増して一気に上げ足が加速する。その上昇シナリオに乗るのは、“コロナ後”のデジタルトランスフォーメーション(DX)本格化をにらんだシステム系の銘柄が圧倒的に多い。

前日にも触れたスーパーシティ構想のコンセプトは、いわゆるデジタル技術やAI技術をベースとした合理化であり、簡単に言えば今回の現金10万円給付の件でも浮き彫りとなった、政策が実際に稼働するまでのタイムラグの解消が底流テーマとしてある。しばらくはこの流れに乗る銘柄が輝きを放つことになり、投資マネーの目にもとまりやすい。

時価総額の割に流動性が高い銘柄としてアクモス<6888>が挙げられるが、動くときは音や煙を立てながら前に突き進むような全員参加型の材料株的イメージがある。AI・IoT分野を深耕するネオス<3627>も100億円未満の時価総額ながら売り板の厚い株で似たイメージを受ける。同社株もここ次第高の様相を呈しており5月26日の戻り高値更新で着目しておくタイミング。ワンストップで対応可能なIoTソリューションの提供を開始するなど、アフターコロナを商機と捉える経営姿勢は評価されそうだ。また、テレワーク環境ではセキュリティー面の充実も重要なポイントを占める。サイバーセキュリティー関連にも再びマーケットの視線が向いており、ここ軒並み動意含みだ。そのなか上げ足に弾みがついてきたのがセキュアヴェイル<3042>で4ケタ大台を視界に入れる可能性もある。

NCS&A<9709>はNEC系のシステム開発会社だが、中段で出遅れ感が強い。ITソリューションを活用した「可視化」をビジネスの骨子とし、全国自治体向けに国税連携システムを展開するなどの実績も評価、スーパーシティ構想のコンセプトにも乗る銘柄だ。また、株価300円未満の低位株で上値指向が強いのがFIG<4392>だ。同社はモバイルクリエイトと石井工作研究所の共同持ち株会社で、モバイルシステムの開発・販売やアプリケーションサービスなどを展開している。スーパーシティ構想でもカギを握るドローン分野で技術を先駆させており、新型コロナ感染症の軽症者対応の宿泊施設向け無人配送ロボットなどその技術力を多方面に生かしている。

日程面では、あすは6月の日銀当座預金増減要因見込みなど。海外では5月のADP全米雇用レポート、5月の米ISM非製造業景況感指数が焦点となる。このほか、1~3月期の豪GDP、5月の財新中国非製造業PMI、5月の独失業率、4月のユーロ圏失業率などが発表される。なお、タイは休場となる。(中村潤一)

出所:MINKABU PRESS

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