Jストリーム Research Memo(2):基盤は「J-Stream Equipmedia」と自社構築のCDN

特集
2020年6月3日 15時02分

■事業内容

1. 会社概要

Jストリーム<4308>は広く企業向けに、インターネット動画配信用の各種ソフトウェア及びライブストリーミングなどの動画を流すためのプラットフォームを提供している。その基盤となっているのが、動画配信に必要なあらゆる機能を装備するソフトウェア「J-Stream Equipmedia」と、自社で構築した大量のアクセスにも対応可能なCDNである。こうしたシステムを導入すれば、企業は自ら制作した動画を、どのようなデバイスにもどのような環境下でも高速かつ安定して配信することができる。一方、同社は動画など配信するコンテンツの制作も行っており、コンテンツを配信するためのWebサイト、配信のためのシステムの制作・開発・運用も行っている。ちなみにCDNとは、動画などのコンテンツをインターネット経由で効率よく配信するために最適化された分散型ネットワークのことで、サーバーを分散することで大量のアクセスに耐えることができる。

ISDN(Integrated Services Digital Network:統合デジタル通信網)がまだ先進的とされていた1997年、世界で初めてインターネットを利用したストリーミングによる動画や音楽の配信を行うことを目的に、トランス・コスモス<9715>、国際電信電話(株)(現KDDI<9433>)、(株)NTTPCコミュニケーションズ、米プログレッシブネットワークス・インク(現リアルネットワークス・インク<RNWK>)の出資により、リアル・ストリーム株式会社という社名で同社は設立された。その後、Webや動画の制作、システム開発などの新たなサービスを追加して利便性を高めるとともに、動画配信のパイオニアとして、常に最新の技術に対応し最先端のソリューションを提供できる体制を整備してきた。現在、インターネットを通じてあらゆるデバイスが高速でつながるようになり、社会全体に構造的変化を巻き起こしている。クラウド、IoT、5G、AIなどインターネットをめぐる技術は、現在も将来も、加速度的に進化していくと見られている。そのような環境のなか、同社は「顧客の成果」に最大限コミットできるよう、最先端の動画ソリューションを提供し続けていく考えである。

「専門性」「信頼性」「利便性」で顧客に信任を得る

2. グループ企業と市場環境

同社の主力商品・サービスは「J-Stream Equipmedia」やCDNだが、このほかに、コンテンツの企画制作やコンテンツを視聴するためのWebサイトの構築・運用、スマートフォンを利用した高品質動画の制作や安定した配信など、顧客の業種やニーズにカスタマイズした商材、サービス、ソリューションを開発し、トータルで提供している。こうした事業を支えるのが、同社を中心としたグループ企業各社である。

オンキヨー<6628>との合弁で設立された(株)CO3は、課金や会員認証などの機能も含めたコンテンツ配信プラットフォームの提供を行っている。後述するが、フジ・メディア・ホールディングス<4676>が同社との連携強化を目的にオンキヨー<6628>の保有全株式を譲り受けた。クロスコ(株)は映像制作やプランニング、マーケティングプロモーション事業を行うほか、グループのサービスをインターネット外へつなぐ役割も持つ。(株)Jクリエイティブ ワークスは主にWebサイトの制作や運用支援、各種データベースとの連携プログラムやアプリケーションの開発を行っている。(株)イノコスは多チャンネル事業者やCATV事業者にエンコード設備を輸入・販売、エンコードシステムのインテグレーション業務も行っている。2019年8月に完全子会社化したビッグエムズワイは医療系に強く、Webやデジタルコンテンツの制作で高い評価があるほか、医療業界におけるマーケティングソリューションに適応したサービスを提供している。

動画配信市場は成長期にあると考えられ、このため同社に類似する企業が少なくない。動画配信プラットフォームでは米Brightcove(ブライトコーブ<BCOV>)やNTTスマートコネクト(株)、CDN事業者としては米Akamai(アカマイ・テクノロジーズ<AKAM>)やアマゾン・ドット・コム<AMZN>などの巨大企業である。そのほか、自社会員へのサービスとして配信を行っている大手ISP(Internet Service Provider:有料でインターネットへの接続サービスを提供する事業者)や、大手コンテンツホルダーと提携して副次的に配信サービスを提供するポータルサイト事業者なども一部同社と事業が被る。

このような市場において同社は、グループを挙げて動画配信システムに特化するとともに、パイオニアとして長年ノウハウを蓄積してきた。こうしたノウハウが、歴史と経験に裏打ちされた「専門性」、堅牢で最新のシステムに基づく「信頼性」、動画の企画から制作、配信、分析までをトータルでサポートする「利便性」??といった強みとなり、大量で高速かつ安定した配信や高度なセキュリティなどの高機能性という特徴も形成してきたのである。このため、国内のオンライン動画配信システム市場においてシェアNo.1(2015年1月(株)デジタルインファクト調査)という地位を誇り、顧客であるコンテンツプロバイダーや一般企業からの評価は高い。同社の事業は、動画配信のプラットフォームを提供する配信事業、コンテンツ制作やシステム開発を行う制作・システム開発事業、その他の事業の3つに分けられるが、以下で事業の内容を詳述する。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)

《EY》

提供:フィスコ

人気ニュースアクセスランキング 直近8時間

特集記事

株探からのお知らせ

過去のお知らせを見る
米国株へ
株探プレミアムとは
PC版を表示
【当サイトで提供する情報について】
当サイト「株探(かぶたん)」で提供する情報は投資勧誘または投資に関する助言をすることを目的としておりません。
投資の決定は、ご自身の判断でなされますようお願いいたします。
当サイトにおけるデータは、東京証券取引所、大阪取引所、名古屋証券取引所、JPX総研、ジャパンネクスト証券、China Investment Information Services、CME Group Inc. 等からの情報の提供を受けております。
日経平均株価の著作権は日本経済新聞社に帰属します。
株探に掲載される株価チャートは、その銘柄の過去の株価推移を確認する用途で掲載しているものであり、その銘柄の将来の価値の動向を示唆あるいは保証するものではなく、また、売買を推奨するものではありません。
決算を扱う記事における「サプライズ決算」とは、決算情報として注目に値するかという観点から、発表された決算のサプライズ度(当該会社の本決算か各四半期であるか、業績予想の修正か配当予想の修正であるか、及びそこで発表された決算結果ならびに当該会社が過去に公表した業績予想・配当予想との比較及び過去の決算との比較を数値化し判定)が高い銘柄であり、また「サプライズ順」はサプライズ度に基づいた順番で決算情報を掲載しているものであり、記事に掲載されている各銘柄の将来の価値の動向を示唆あるいは保証するものではなく、また、売買を推奨するものではありません。
(C) MINKABU THE INFONOID, Inc.