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伊藤智洋が読むマーケット・シナリオ【週間展望】 6月14日版

市況
2020年6月14日 8時00分

一定の流れができている場面での調整は先の展開を示すサインとなる

1. NYダウ、週明け後に上昇開始なければ2万2789ドルまで下げる公算

NYダウは6月11日に1861ドル安と急落しました。それまで上昇していた価格が大幅に下げると、その下げ幅の大きさに注目が集まりがちですが、もっと見ておくべきポイントがあります。

一定の流れができている途中で起きた反対方向の動きは、一定の流れがどこまで続くのかを示す目安になります。

NYダウは11日の下げによってはっきりとしたことがあります。それは、本年後半に価格が上昇して2月の高値2万9568ドルを大きく超える展開になる場合、8月に大きく下げないと推測できる状況になった、ということです。

5月31日の記事では、中国の株価が6~8月の期間で大きく下げる展開になることで、NYダウ、日経平均株価は8月頃に下げ幅の大きな動きが表れる可能性がある、と書きました。

強気の展開になる場合、本年の中国の株価が大きく下げる動きが表れず、NYダウは8月も下値堅く推移して、9月以降の上昇の準備期間になると考えられます。

図1は、ジグザグに上値、下値を切り上げる動きを経過した後の展開を示しています。ジグザグを経過した後は、上下どちらへ向かう場合でも極端になる傾向があります。

図の左側のように、強気の展開になる場合、上値、下値を切り上げる2つ、または3つの山谷を経過した後、上昇が勢いづきます。

このような上値、下値を切り上げるジグザグは、ボックス型中段保ち合いの変形として表れている可能性があります。ボックス型を形成する場面で、押し目買い意欲が強く、十分に価格が下げ切らない間に押し目をつけて、すぐに上昇を開始することで表れる形です。

上昇途中の中段保ち合いの変形のため、終点をつけるまでのジグザグの回数が2~3の山谷で終わり、上昇の流れに入った後は、値幅が大きく勢いの強い動きとなります。

一方で、図の右側のようにジグザグを経過した後、上げ幅を拡大できずに下げる場合、下げが上値の重さを明確にするため、下降を開始した後は、ジグザグの始点となる安値まで一気に下げることになります。

このような動きは、上値重い状況で、上げやすい時期に価格が上昇している場面で表れます。上げやすい時期を経過した後、下げやすい時期へ入る過程で、ジグザグに上げた分を一気に押し戻されます。

図1 ジグザグの先の動き

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図2は、NYダウの日足です。チャートには、本年後半へ向けて強気に推移する場合の展開を青色の線で示しています。

11日の下げは、ジグザグの3つ目の押し目をつける動きになるので、現時点での上値余地が十分にあるなら、次の上昇はこれまで以上に勢いが強く、上げ幅の大きな動きになると考えられます。

一方で、目先の価格が下げの流れを継続するか、価格が上昇しても、6月8日の高値2万7580ドル前後ですぐに上値を抑えられる動きになると、その下げは、5月14日の安値2万2789ドル、または4月2日の安値2万0735ドルを目指すと考えられます。

目先の下げが2万2789ドル前後で止まり、その後、8月まで下値堅く推移するなら、9月以降、再上昇を開始する可能性が出てきます。こちらの展開になる場合、6月の高値が2月の高値の前の壁として立ちはだかるので、年末へ向けた上げの流れができても、年初来高値となる2月の高値2万9568ドルを目指す程度になると推測できます。

図2 NYダウ日足(強気の展開)

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図3は、NYダウ日足と、本年後半へ向けて弱気に推移する場合の展開を示しています。目先の価格が下げて、7月、8月に値幅の伴った下げ場面が表れるなら、その下げは3月の安値1万8213ドルを目指す動きになる可能性が大きくなります。

上げ分のすべてを押し戻される動きになる場合、積極的な財政出動と金融緩和が株価を押し上げる材料にならないほど弱いと見ることができます。

その場合、本年のNYダウは、後半に向けて下値を掘り下げる動きになる可能性が出てきます。

図3 NYダウ日足(弱気の展開)

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