藤代宏一氏【2万2000円台の往来圏、梅雨空相場の行方は】 <相場観特集>

特集
2020年6月22日 18時30分

―商い低迷局面、方向感に欠ける展開はいつまで続くか―

22日の東京株式市場は、日経平均株価が前週末比41円安の2万2437円と反落した。様子見姿勢が強まるなか、売買代金も1兆6000億円台と低調だった。市場は方向性に欠ける展開となり、梅雨空のようなじとじとした地合いが続いている。この相場の背景には何があるのか、また転機となる要因とは何か――。第一生命経済研究所の藤代宏一主任エコノミストに聞いた。

●「米国の政策動向を見極める局面に」

藤代宏一氏(第一生命経済研究所 経済調査部 主任エコノミスト)

足もとの世界経済の流れは、4~5月に底を打って回復するというメインシナリオ通りの展開にある。この点を株価は反映していると思う。ただ、ここからは、経済が回復するのと同じペースで経済政策に対する期待は剥落していく局面に入っていくだろう。経済の改善具合いで政策は絞られていくと思う。

例えば、米国では7月末に失業保険の上乗せ給付の期限を迎えるが、週600ドルという現在の規模が続くことはないとみている。また、米連邦準備理事会(FRB)のバランスシートも、テクニカル面の要因は大きいが直近では縮小の動きが出ている。日本でも内閣府は6月の景気判断を上方修正している。こうしたなか、今後はより経済指標を注視する展開が予想される。特に、米国の雇用関係の指標は注目されるだろう。もう一度、状況が悪化すれば、追加の政策は意識されるだろうが、いまはそのような状況ではない。

新型コロナの感染拡大が発生し、株価が急落した後、これだけ早く値段を戻すことはほとんどの人が予想しなかったと思う。金融や財政政策を含めた政策が総動員され手が打たれた。過去の経済危機に比べ今回のコロナショックの特徴は、政策の存在感が極めて大きいことだろう。市場には、政策に対する期待や甘えがあると思う。

こうしたなか、今後7月下旬頃までを視野に入れた場合の日経平均は2万1000~2万3000円のレンジ相場が続くとみている。バリュー株とグロース株のどちらが優勢かという点では、高PER、高PBR銘柄が買われる状況は続くと予想されるだけに、グロース優位の状況を予想する。

(聞き手・岡里英幸)

<プロフィール>(ふじしろ・こういち)

第一生命経済研究所経済調査部・主任エコノミスト。担当は金融市場全般。2005年4月、第一生命保険入社。08年、みずほ証券出向。10年4月第一生命経済研究所出向、同年7月内閣府経済財政分析担当へ2年間出向。12年7月副主任エコノミストを経て、15年4月より現職。

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