【杉村富生の短期相場観測】 ─ ポストコロナをにらんだ投資戦術が有効!
「ポストコロナをにらんだ投資戦術が有効!」
●マーケット(小物&材料株)を夏の嵐が襲う!
株式市場はにわかに荒れもよう(夏の嵐)の展開となっている。インデックス(日経平均、TOPIX)は意外に堅調だが、東証マザーズ、ジャスダックなど個人投資家が売買の主役となる新興市場の小物&材料株の一角は大きく売り込まれた。投げ売り商状(パニック)に近い。これはどうしたことか。何が起こったのだろうか。
前回に触れたように、全般相場は戻り一杯だろう。日経平均株価(6月8日に2万3178円の高値)、NYダウ(同様に6月8日に2万7572ドルの高値)ともに目先の高値を形成した可能性が濃厚だ。ナスダック指数は史上最高値だが…。したがって、7~8月相場は「高値保ち合い」となる。投資戦術は「個別銘柄での対応を」と。
しかし、アンジェス <4563> [東証M]を含め、小物がこんな暴落に見舞われると、さすがに投資意欲がなえてしまう。まあ、筆者にとっては想定内の出来事だが、高値を買いついた人(投資家)は大変だと思う。この人達の投げと投機筋のカラ売りが株価急落の主因である。東証マザーズ指数は現物と先物が逆ザヤとなっている。
ネクストーン <7094> [東証M]は5月21日に9830円の高値まで買われた。それが7月2日には5930円の安値をつけた。下落率は39.7%となる。3月30日上場のIPO(公開価格は1700円)銘柄だ。上げすぎの反動に加え、目先筋の投げもあろう。ただ、とりあえず、テクニカル的には下げ止まったようだが…。
もっとも、直近IPO銘柄は総崩れだ。追い証の発生もある。サイバーセキュリティクラウド <4493> [東証M]、フィーチャ <4052> [東証M]などもひどい。公募価格比8~10倍、PER400~500倍に買いあおったツケだろう。半面、コパ・コーポレーション <7689> [東証M]は戻りに転じている。
●やはり、引き続いて個別銘柄での対応を!
さて、この局面でのリスク要因は新型コロナウイルスの感染者数が再拡大の兆し(パンデミック第2波)、トランプ米大統領の再選戦略に赤信号(バイデン候補はマーケットに厳しい)、中国の香港封圧作戦などが考えられる。
アメリカの感染者数は1日5万人を突破、累計では300万人、死者は13万人に迫っている。異常事態である。
香港の「1国2制度」は完全に崩壊した。“経済”を人質に取られているだけに、先進国の多くが文句を言えないでいるが、内心では苦々しく思っていることだろう。中国はコロナショックによって、多くのものを失った。その最大の損失は「民主主義」(共産党独裁の現実)であろう。
いずれにせよ、ポストコロナの株式市場は産業構造、生活スタイル、国際情勢の変化に対応していかざるを得ない。社会を変革するのはDX(デジタルトランスフォーメーション→IoT、ビッグデータ、5G、AI、Web会議、オンラインセミナーなどのテクノロジーの活用によって社会を変える)だろう。
半導体の需要は急増する。社会資本としての5Gの重要性は一段と高まる。この分野ではNEC <6701> 、アンリツ <6754> 、ホロン <7748> [JQ]の活躍が期待できる。
このほか、デフレ(不況)下での生活防衛を支える神戸物産 <3038> 、ワークマン <7564> [JQ]、アウトドアブームの追い風を受けるスノーピーク <7816> 、臨床検査機器・システムを手掛け好業績のエイアンドティー <6722> [JQ]、逆行高のAbalance <3856> [東証2]などに注目している。
2020年7月2日 記
株探ニュース