明日の株式相場戦略=「半導体・DX・5G」と「消費の勝ち組」

市況
2020年7月7日 17時35分

きょう(7日)の東京株式市場は日経平均株価が4日ぶりに反落。しかし、下げ幅は99円安にとどまった。今週は8日と10日に主要なETFの決算が集中しており、分配金支払いに充てる現金捻出のため先物及び現物株に7000億円程度の売り圧力が発生するという指摘があるほか、今週末にはオプションSQの算出も控えている。売り方にすれば仕掛けの好機にも映るが、相場というのは天邪鬼(あまのじゃく)で月曜日から日経平均は真逆のリスクオンモードに傾いた。きょうは、アジア株も冴えないなかで、利食い急ぎの動きが出ても不思議はなかったが踏みとどまった。良くも悪くもあすの動きは一つのポイントとなる。

個別では、前日に続き半導体関連株 が買われているが、結構上ヒゲも目立つ展開となっている。これは今の相場の特徴であり半導体関連株に限ったことではないのだが、噴き値は基本的に見送るスタンスが望ましい。例えば勢いのある銘柄については、追撃したい誘惑に駆られるが無理をせず、取引時間中でも緩んだところを拾うスタンスで臨む。買えないで上に行ってしまった場合には他の銘柄を探せばよいだけの話である。機会損失を恐れる必要はなく、回避すべきは実損、高値に飛びついて引かされるという現実である。もちろん目先の買い値にこだわらず、銘柄に惚れ込むことも投資家の感性を磨くうえで大切なことだが、その場合は数年タームのタイムカプセル投資で資金を寝かせるくらいの気構えが必要だ。

6月中旬、16日以降の東京エレクトロン<8035>の上昇相場はかなり鮮烈だった。既に時価総額は4兆7000億円、これだけの大型株が驚くほど軽いフットワークをみせるのは半導体関連セクター全体が潮の流れに乗っていることを意味する。株式市場ではマスクブランクス検査装置で大化けしたレーザーテック<6920>の次を探す動きも活発化しそうだ。化合物半導体に強くプラズマCVD装置やドライエッチング装置で高い商品競争力を持つサムコ<6387>は、2001年5月につけた上場来高値(分割修正後株価で2666円)にほぼ肩を並べる水準まで浮上してきたが、このまま青空圏突入となるかが注目される。

半導体関連の一角で感光材料を手掛けるダイトーケミックス<4366>が動兆しきりだが、中期的にも25日移動平均線を支持ラインとする綺麗な上昇トレンド形成途上でマークしたい。医薬中間体分野の展開も厚く、アビガンの中間体を供給していることも見逃せない。

また、デジタルトランスフォーメーション(DX)関連では目先上昇一服となっているテクノスジャパン<3666>やフライトホールディングス<3753>などに目がとまる。テクノスJは独SAP製を中心にERPソフトの導入支援ビジネスを展開するが、ITコンサル会社としてAIビッグデータの活用支援に本格的に乗り出しており、株価の見直しが急だ。また、フライトはモバイル決済で実績が高く、政府が推進するキャッシュレス社会に向けて活躍余地が大きく、ウィズコロナ環境下での成長シナリオが描きやすい。

DXや半導体市場の拡大とも密接に絡むのが次世代高速通信規格の5Gだ。同関連では5G基地局向けで旺盛な需要が発現している電子デバイスのメッキ加工を手掛ける山王<3441>の株価が良いポジションにある。1000円トビ台は値幅効果の出しやすい水準といえ、信用買い残など株式需給面でも重さは感じられない。

個人消費に絡む企業も勝ち組とそうでない銘柄との境界線が徐々に鮮明化しつつある。巣ごもり消費に絡むeコマース関連の優位性は、「コロナ以前」から「アマゾンエフェクト」で嫌というほど見せつけられてきたが、すべてをオンライン通販で完結するわけにはいかないのが実社会であり、しっかりと店舗展開する企業も消費者にとっては必要だ。そのなかニトリホールディングス<9843>の業績と株価推移は大きなヒントとなる。もちろんテレワーク導入加速の恩恵だけではなく、消費マインドのデフレ化に抗して収益を伸ばす小売企業の典型としてマーケットの視線は熱い。直近では首都圏で複合小売店を展開するスーパーバリュー<3094>が好決算を背景に急速人気化したが、この流れで中国地方を中心にホームセンターを展開するジュンテンドー<9835>あたりに注目してみたい。

日程面では、あすは5月の国際収支が朝方取引開始前に財務省から開示されるほか、後場取引時間中に6月の景気ウォッチャー調査が内閣府から発表される。海外では5月の米消費者信用残高のほか、米10年債の入札が予定される。

(中村潤一)

出所:MINKABU PRESS

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