変幻自在の2倍株ハンター、2カ月に1つのハイペースで獲得する技
目指せ億トレ、頑張り投資家さんの稼ぎ技 モンサンの場合-第1回
登場する銘柄
大井電気<6822>、ニューテック<6734>、サイボウズ<4776>、No.1<3562>、アプライド<3020>
10年前から草食のインデックス投資を開始し、3年前に肉食系!?の個別株投資にシフトしたばかりのサラリーマン投資家。米国公認会計士の資格を持ち、企業のIR部門での勤務経験もあり財務分析はお得意項目。3年前の本格投資開始時は、株主優待狙いで買ったペッパーフードサービス<3053>などで大当たりし、以降、本気になっての銘柄選びに目覚めていく。もともとはファンダメンタル重視だったが、1年前から投資仲間に影響を受け、テクニカル分析も取り入れた融合型を導入。これと並行して次々と2倍株をゲットし資産拡大に拍車がかかる。SNS(交流サイト)での情報発信も好評で、ツイッターのフォロワーも急上昇中だ。
投資家なら誰でも憧れる「10倍株(テンバガー)」。だが、投資で大儲けする方法は、何もテンバガーを掴むことだけに限らない。
株価が2倍になる銘柄を次々とゲットできれば、長期でテンバガーを手にするよりも効率よく資産を拡大できることになるからだ。
今年8月末からスタートした当コラム。2人目に紹介するモンサン(ハンドルネーム)は、そんな2倍株を次から次へと掘り当てる「2倍株ハンター」だ。
本格的に個別株投資を始めてわずか3年ほどの経歴でありながら、この1年のうちに2倍化した銘柄は5つを超える。ペースでいえば、2カ月に1度、有望株をゲットし続けたことになる。
モンサンとは、どんな投資家なのか。2倍株を探し当てる秘訣やメンタルのあり方とは。今後4回にわたる記事で、その詳細に迫っていく。
「2カ月に1つペース」で2倍株を獲得
モンサンへの取材前、編集部は「米国公認会計士の資格を持ち、事業会社でIR(投資家向け広報)担当の経験あり」という事前情報を得ていた。
「財務分析に強く、キレキレ感が前面に出た意識高い系さんかな」というイメージを抱いていたが、実際に話を聞いてみると、先入観の修正を迫られた。
話はイメージ通り理路整然としているが、話しぶりや全体が醸し出す雰囲気はゆったり、ほんわか感が漂う"ゆるキャラ"ぶりが垣間見られる。
そのゆるキャラ感は投資スタンスに表れていた。これから紹介していく投資姿勢では、自分の考えに固執することなく、他の人の投資手法やアイデアなど「これはいい」と思ったものを貪欲に取り入れていく柔軟性がキレキレなのだ。
本人も自ら認めるように、スタイルは変幻自在。この柔らかさが、本格的に個別株投資を開始してから3年ほどで成果を次々と上げてきた原動力となった。
ほったらかし投資から2017年に転向、19年末から成果続々
昼間は会社で働く兼業投資家のモンサンが、日本株の個別銘柄投資に本格的に乗り出したのは、3年前の2017年からになる。
それまでは市場平均に連動するインデックス投資を行っており、どちらかと言えば、証券口座に資金を機械的に投入するだけの「ほったらかし投資」を続けていたに過ぎなかった。
つまり個別株投資では本格デビューしたばかりの段階。そうした中で、2倍株ハンターの本領を発揮、2019年12月から以下のような2倍株をさらった。
三菱電機系の情報通信機器製造会社の大井電気<6822>、
ストレージ製造販売のニューテック<6734>、
ソフト開発を行うサイボウズ<4776>、
OA機器・情報セキュリティ関連機器の販売や保守を行うNo.1<3562>、
九州・西日本を中心にパソコン小売店を展開するアプライド<3020>
――などになる。実はこれら以外もあるのだが、事情により割愛している。
■大井電気<6822>の日足チャート(2019年8月末~20年4月末)
注:出来高・売買代金の棒グラフの色は当該株価が前期間の株価に比べプラスの時は「赤」、マイナスは「青」、同値は「グレー」。以下同
■モンサンがゲットした主な「2倍株」と投資期間
銘柄名 | メインビジネス | 購入時期 | 利確時期 |
---|---|---|---|
大井電気 <6822> | 情報通信機器製造、 電力・通信ネットワーク工事や保守も行う。 三菱電機系 | 2019年12月 | 2020年1月 |
ニューテック <6734> | ストレージ製造販売。 台湾プロミス・テクノロジーと協業。 付加価値品に強み | 2020年1月 | 2020年2月 |
サイボウズ <4776> | 企業の部門向けを中心に グループウエアのソフト開発。 クラウド、小規模に強み | 2020年3月 | 2020年6月 |
アプライド <3020> | 九州・西日本中心にパソコン 小売店展開、大学や官公庁に注力。 化粧品・雑貨店も運営 | 2020年5月 | 一部利確し、 現在保有中 |
No.1 <3562> | OA機器・情報セキュリティ関連機器の 販売や保守、中小企業向け定額サービス | 2020年6月 | 一部利確し、 現在保有中 |
15~20年単位の「グレートグロース」に着目
投資歴がそう長くないにも関わらず、こうした2倍株を次々と発掘できた秘訣はどこにあるのだろうか。
1つは、プロフィールで紹介したように会計の知識が豊富なことがある。仕事の関係から米国公認会計士の資格を取得しており、「小規模の会社であれば、有価証券報告書の作成もできます」(本人)と言う。
加えてIR部門に所属したことから、企業と投資家の双方の立場から、会社の価値を見つめる経験も積んでいる。
こうした知識と経験は大きな強みではあるが、それでリターンを積み重ねられるほど投資は単純ではない。では何が力になってきたのか?
モンサンには、特に意識して銘柄を選ぶポイントがある。このこだわりに、2倍株ハンターの真髄が表れている。
それは「グレートグロース」。企業のダイナミックな成長を狙うことを指し、15~20年というかなりの長い時間軸で成長が期待できる要素を持つ銘柄を選んでいく。
モンサンは、企業が利益成長していけば、自ずとそれに従って株価も上昇すると考える。
例えば4年連続で20%の利益成長を遂げた場合、4年後の利益は足元の2倍(1.2×1.2×1.2×1.2 ≒ 2.1)になる。この業績の伸びに連動して、株価も2倍になるという見立てだ。
だが、その成長が一過性なものとなってしまうと、株価2倍の実現は難しい。それゆえに、長期的な成長が見込めるグレートグロース銘柄がどうかにこだわって、銘柄選択していくことが大事だと考えているのだ。
ビッグチェンジの有無を見極め、卵の段階で拾う
選別のポイントで重要になるのは、息の長いトレンド、世の中全体を巻き込んでいくような大きなビッグチェンジ(大変革)をもたらす可能性があることだ。
その大きなうねりが変わらない限り、多くの人々に必要とされるサービスや製品を提供していく企業かどうかを見極める。
このように長期の成長を見据えているので、コロナ禍ではやされたマスク関連のような短命で終わるテーマ株は、初めから短期売買を狙う特殊な取引を除いて、原則対象外になる。
財務分析で細かい数字の変化をみることも重要だが、そこに意識が集中しすぎると社会や経済構造の動きを巨視的にとらえる取り組みが手薄になってしまう。
モンサンは細部のみならず、大きな潮流の変化を考えながら銘柄選びに向かう。この姿勢こそが投資の柱となる核の部分だ。
さらにモンサンは、こうした考えを土台としながら、そのグレートグロース銘柄を極力早い段階で拾うことにもこだわっている。
この考え方を「金の卵投資法」とネーミングし、将来のグレートグロース株、つまり「金」となるものを卵の状態から仕込んでいくよう取り組んでいくよう取り組んでいく。
金の卵を手にしたら、ヒヨコに孵った段階で売り抜ける。大人の鶏になるまであえて時間をかけないのが最大の特徴だ。
運用資産を効率的に増やすには、できるだけ資金を寝かさないよう回転させていく工夫も必要になる。そうした狙いもあり、時間をかけて株価が10倍化するのを待たない。
時間を味方につけるため卵からヒヨコになる段階の2倍化した段階で、さくさくと確実に利益を獲得していくのがモンサン流なのだ。
※当該情報は、一般情報の提供を目的としたものであり、有価証券その他の金融商品に関する助言または推奨を行うものではありません。