米国株式市場見通し:第3四半期企業決算やアップルイベントに注目

市況
2020年10月10日 14時41分

12日はコロンブスデーで米国債券相場は休場。株式市場は通常通りの取引となる。銀行などを先駆けとして第3四半期の企業決算シーズンが始まる。経済活動の再開に伴う各社の好決算に期待したい。また追加経済対策の交渉の行方にも引き続き注目だ。

FRBは可能な限り最大の緩和策をすでに実施しており、景気や雇用の回復を一段と支援するためには財政出動が不可欠であると主張している。パンデミック下での金融支援には限界があり、金融刺激策は財政刺激策の代替にはならないからだ。与野党が包括的な追加策で何等かの合意に達すれば、一段の買い材料となるだろう。大統領選挙を3週間後に控えて選挙前の合意には懐疑的見方は根強いものの、少しでも協議が前進すれば選挙後の合意期待が下支えとなる。15日には大統領候補の第2回討論会が予定されていたが、バーチャルに切り替わったことを理由にトランプ大統領が参加を取り止める意向を示し、依然流動的だ。

下院議会が主要ハイテク企業に事業分割を提言したため、ハイテクの上昇が引き続き限定的となる可能性がある。携帯端末のアップルは製品発表イベントを13日に開催する予定で、5G対応の新型アイフォーン12が発表される模様だ。また、アップルはオーディオシステムのソノスやボーズの取り扱いを停止しており、自社製の周辺機器の発表にも期待が高まっている。一部のアナリストは新型アイフォーン販売がカタリストになると、強気の予想を示している。

経済指標では、9月消費者物価指数(CPI)(13日)、9月生産者物価指数(PPI)(14日)、新規失業保険申請件数、10月ニューヨーク連銀製造業景気指数、9月輸入物価指数、10月フィラデリフィア連銀景況(15日)、9月小売売上高速報、9月鉱工業生産・設備稼働率、8月企業在庫、10月ミシガン大消費者信頼感指数(16日)が予定されている。GDPの7割を占める個人消費の動向を見極める観点から、特に9月小売売上高速報に注目したい。8月から伸びの拡大が予想されている。ただ、政府の支援策が失効済みで労働市場の伸びが鈍化し、可処分所得も減少しているため、消費の伸びが鈍化した可能性も除外できない。ネガティブサプライズには警戒したい。一方、国際通貨基金(IMF)は13日に、最新の世界経済見通しを発表する。上方修正する公算で投資家心理の改善を後押しするだろう。

企業決算では大手金融のJPモルガン、シティ銀(13日)、バンク・オブ・アメリカ、ウェルズファーゴ、ゴールドマンサックス(14日)、モルガンスタンレー(15日)、バンク・オブ・ニューヨーク(16日)などが予定されている。そのほか、製薬会社のジョンソン・エンド・ジョンソン、航空会社のデルタ(13日)、保険のユナイテッドヘルス、航空のユナイテッド、金属製品メーカーのアルコア(14日)、ドラッグストアのウォールグリーン(15日)アパレルのVF(16日)などが予定されている。

航空会社はウイルスの収束が見られず、引き続き収益の低迷が警戒される。対称的に、ジョンソン・エンド・ジョンソンは新型コロナウイルス関連で売上増が期待される。銀行の決算発表が始まるが、FRBはすでに主要銀行に対して、自社株買いや配当を制限する措置を年末まで延長すると発表している。パンデミック下、金融機関の資本状況は2008年の金融危機時に比べればかなり強いが、それでもゴールドマンサックスやウェルズファーゴはすでに人員削減計画を発表している。

(Horiko Capital Management LLC)

《FA》

提供:フィスコ

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