窪田朋一郎氏【米大統領選まで3週間、マーケットは上か下か】(1) <相場観特集>

特集
2020年10月12日 18時30分

―株式市場と為替市場のこれからを業界のプロはどうみる―

週明け12日の東京株式市場は薄商いのなか冴えを欠く展開となり、日経平均株価は続落した。ただ、下値では押し目買いが入り下げ幅は限定的なものにとどまった。米国大統領選を巡る思惑や、今月下旬から本格化する国内企業の決算発表を控え様子見ムードが漂うものの、米国株主導で強調地合いが続くとの見方も根強い。また、足もと外国為替市場ではドル安・円高の方向に振れている。このドル円相場の動きも含め、今後の相場展望を市場関係者はどう読んでいるのか。今回は、株式市場と為替の見通しそれぞれについて、業界第一線で活躍する2人に意見を聞いた。

●「米国株主導で強気優勢の地合いに」

窪田朋一郎氏(松井証券 シニアマーケットアナリスト)

日経平均株価は足もと軟調な値運びを強いられているが、結論から先に言えば目先の下値リスクは限定的であり、早晩米国株主導で上値余地の大きさが意識されやすい地合いであると判断している。

11月3日の大統領選はバイデン氏勝利の可能性が高まっているが、仮にトランプ氏が勝利してもマーケット全体に大きな影響は出ない。民主党が勝利した場合、追加経済対策の規模は共和党に比べて大きなものとなり、発動までにやや時間がかかったとしても、マーケットはポジティブに反応するだろう。一方、仮にトランプ政権が継続する場合は、経済対策の規模は現在の民主党案に届かないものの、中期的な増税懸念が払拭され、その点が評価されやすい。

今週は米国で重要経済指標の発表が相次ぐ。週末発表予定の9月の米小売売上高などに対する投資家の関心はそれなりに高いとはいえ、株式市場が重視するのは今後の経済に対する見方であり、その意味で追加経済対策がどういう形で着地点を迎えるのかがポイントとなる。また、バイデン氏が新大統領に選出されたとして、法人税の引き上げや富裕層に対する証券税制の強化を相場のネガティブ材料として警戒する向きもあるが、実施時期は最短でも2022年になることから、21年相場の少なくとも年前半は、株式市場にとって(追加経済対策などで)追い風局面が続くとの読みも働く。それが、バイデン氏勝利でも“株は買い”という現在の市場コンセンサスにつながっているものと思われる。

物色対象は、最近の米国株市場ではバイデン氏の政策スタンスを反映してクリーンエネルギー関連株に投資資金が流れ込んでいる。東京市場でもこれに追随して環境関連株の一角に物色の矛先が向かう可能性がありそうだ。日経平均は向こう1ヵ月でみて、上値はアベノミクス相場の高値である2万4300円どころを目指す展開を想定。下値は押しても2万3000円前後と浅くみている。ただし、大統領選の結果がすんなりと決まらず、法廷闘争などに持ち込まれた場合は波乱となるだろう。その場合は一時的に2万2000円近辺まで下押すようなケースも考えられる。

(聞き手・中村潤一)

<プロフィール>(くぼた・ともいちろう)

松井証券へ入社後、マーケティング部を経て現職。ネット証券草創期から株式を中心に相場をウォッチし続け、個人投資家の売買動向にも詳しい。

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