鈴木英之氏【薄商いでも日経平均は強調、日本株意外高の確度】(1) <相場観特集>

特集
2020年10月19日 18時30分

―25日移動平均線を足場に再浮上、ここからの戦略は―

週明け19日の東京株式市場は主力株をはじめ広範囲にリスクを取る動きが優勢となり、日経平均株価は2万3000円台後半に歩を進めた。中国GDPは事前の市場コンセンサスを下回ったがこれを嫌気する売り圧力も顕在化せず、米株価指数先物を横目に強調展開を維持した。日経平均は25日移動平均線を下値支持ラインにもみ合いを続けていたが、空売り買い戻しをバネに目先上値追いへの期待感も漂う。ここから11月中旬に向け全体相場はどういうトレンドを形成するのか、経験の豊富なベテラン市場関係者2人に意見を聞いた。

●「米大統領選の決着がスムーズにつくかが焦点」

鈴木英之氏(SBI証券 投資調査部長)

今回の11月3日の米大統領選挙は、過去の例とは異なり郵便投票が結果を左右しかねない。このため、大統領選が混戦となった場合は、すぐに結果は出ないかもしれない。郵便投票の結果、特に民主党のバイデン候補が勝利し、共和党のトランプ大統領が負けるようなことになったら、トランプ氏が訴訟を起こし選挙結果を巡るゴタゴタが長期化するようなシナリオも考えられる。このケースでは、日経平均株価が2000~3000円下落するようなことも起こり得るだろう。

逆に、両者のどちらが勝つにせよスムーズに結果が決まるようなら、市場は好感すると思う。この場合、日経平均株価は1000円程度上昇することも予想される。いずれにせよ、選挙結果を巡って変動率が大きいボラタイルな展開が予想されるだけに、選挙前は相場の様子見姿勢が続くだろう。欧州を中心とする新型コロナウイルスの感染拡大の状況や決算の内容などに左右される面も大きいが、米連邦準備制度理事会(FRB)は積極的な金融緩和を実施していることが相場を支えることになるだろう。

トランプ氏とバイデン氏のどちらが勝った方が、株価が上がりやすいかというと、短期的には法人税の増税を打ち出していない分、トランプ氏の方なのかもしれない。セクター別では、トランプ氏が勝利した場合、満遍なく相場は上昇しそうだ。バイデン氏が勝った場合は、環境関連銘柄や環太平洋経済連携協定(TPP)関連の銘柄などが見直されることも考えられるが、薬価の引き下げ圧力が高まり、薬品株は売られやすいかもしれない。

(聞き手・岡里英幸)

<プロフィール>(すずき・ひでゆき)

早稲田大学卒。リテール営業、調査部、株式部等を経て、SBI証券投資調査部長に。モーニングスター株式会社(投資調査部ゼネラル・マネジャー)へ転籍を経て2009年5月より現職。ラジオ日経、ストックボイス等で相場解説を行っている。

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