桂畑誠治氏【薄商いでも日経平均は強調、日本株意外高の確度】(2) <相場観特集>

特集
2020年10月19日 19時45分

桂畑誠治氏【薄商いでも日経平均は強調、日本株意外高の確度】(2) <相場観特集>

―25日移動平均線を足場に再浮上、ここからの戦略は―

週明け19日の東京株式市場は主力株をはじめ広範囲にリスクを取る動きが優勢となり、日経平均株価は2万3000円台後半に歩を進めた。中国GDPは事前の市場コンセンサスを下回ったがこれを嫌気する売り圧力も顕在化せず、米株価指数先物を横目に強調展開を維持した。日経平均は25日移動平均線を下値支持ラインにもみ合いを続けていたが、空売り買い戻しをバネに目先上値追いへの期待感も漂う。ここから11月中旬に向け全体相場はどういうトレンドを形成するのか、経験の豊富なベテラン市場関係者2人に意見を聞いた。

●「世界的な財政出動期待が株高の原動力に」

桂畑誠治氏(第一生命経済研究所 主任エコノミスト)

前週末16日は、注目された9月の米小売売上高が堅調でこれが欧米株高につながったが、一方では新型コロナウイルスの感染者数が欧米中心に再び増勢にあり、経済規制の動きが出るなかで、景気実態への影響も懸念される局面にある。

ただ、米大統領選はバイデン候補が一段と優勢を拡大しているとの観測が強まっていることから、僅差の決着とはならないとの思惑が浮上している。これは法廷闘争に持ち込まれるという最悪のシナリオを排除すると同時に、マーケットが渇望する大規模な追加経済対策への期待感が高まり、足もとの株価上昇の原動力となっているという見方もある。この経済対策については、民主党のペロシ下院議長が「協議期限を20日に設定(日本時間の21日午前)した」と伝わったことで、可能性として米大統領選前の与野党合意もあり得るとの見方が広がり、全体相場にポジティブに作用したようだ。

国内では今月下旬から企業の決算発表が本格化することで、これを見極めたいとのニーズもある。しかし、コロナ禍での業績明暗については事前に株価への織り込みが進んでおり、決算発表期間中に全体相場が波乱に見舞われるというようなケースは想定しにくい。向こう1ヵ月の日経平均のレンジは2万3000~2万4500円での推移を想定している。

物色対象としては機械セクターや半導体周辺、自動車などに優位性がある。バイデン候補が大統領選に勝利すれば、米中対立の緩和が予想されるほか、世界的な財政出動を伴う景気刺激策への期待が株式市場にプラス材料となるからだ。19日に発表された7~9月の中国GDPが市場コンセンサスを下回ったが、これも中国政府の財政政策発動への思惑を促し、結果的に株式市場に追い風となる公算が小さくない。

(聞き手・中村潤一)

<プロフィール>(かつらはた・せいじ)

第一生命経済研究所 経済調査部・主任エコノミスト。担当は、米国経済・金融市場・海外経済総括。1992年、日本総合研究所入社。95年、日本経済研究センターに出向。99年、丸三証券入社。日本、米国、欧州、新興国の経済・金融市場などの分析を担当。2001年から現職。この間、欧州、新興国経済などの担当を兼務。

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