大塚竜太氏【強弱感対立の日経平均、11月相場の風景は】(1) <相場観特集>

特集
2020年10月26日 18時30分

―新型コロナ、米大統領選、決算発表と不透明材料山積だが―

週明け26日の東京株式市場は日経平均が前週末終値近辺で方向感なくもみ合った。今週は28日が実質月内最終日にあたり、いよいよ11月相場に突入する。とはいえ米大統領選の投開票を11月3日に控えるほか、国内企業の決算発表も本格化し、この結果を見極めたいとの思惑が買いを手控えさせている状況だ。欧州などで新型コロナウイルス感染が再拡大傾向を強めており、実勢経済への影響も警戒される局面にある。一方、日米の追加経済対策などへの期待もあり、足もとのマーケットは強弱感が対立している。第一線で活躍する市場関係者2人に今後の相場見通しを聞いた。

●「目先模様眺めも上昇トレンド変化なし」

大塚竜太氏(東洋証券 ストラテジスト)

目先は模様眺めムードが強まり買いが手控えられているが、売る側も同様で下値リスクに対してそれほど警戒は必要ない。大統領選はバイデン候補優位との見方が固まっているようだ。仮にバイデン氏が勝利したとして株式市場のトレンドが変わるということはなく、基本的に追加経済対策を追い風に米国株は上昇トレンドが続き、東京市場もその恩恵を享受する形となるだろう。

問題はトランプ氏が食い下がって僅差の勝負となり、すんなり決着がつかず法廷闘争に持ち込まれた場合。このケースでは米追加経済対策の遅れを嫌気されて米国株が目先波乱含みとなることは回避しづらく、東京市場もそれに追随していったんは2万3000円台を割り込む状況となるだろう。ただし、経済対策が雲散霧消するということではない。遅かれ早かれ発動されることになるため、調整は短期的で押し目は買い向かうチャンスとみておきたい。

新型コロナウイルスについては欧州で感染が再拡大している状況で油断はできない。しかし、ウィズコロナ環境で経験値は以前よりも高まっており、重症患者が減っていることもあって、経済がフリーズするような過度な規制は見込みにくい。冬場は用心が必要だが、株式市場への影響は限定的なものにとどまるのではないか。

11月相場の日経平均のレンジは大統領選後の波乱シナリオも考慮したうえで下値は2万2500円。しかし、大統領選がすっきりと決まり、速やかに経済対策が発動される形となれば、米国株主導で日本株もリスクオンの流れがはっきりする。日経平均の上値は2万4500円近辺を目指す強調展開も十分に考えられる。企業の決算発表は期初見通しから上方修正が多くなっていることもポジティブ材料だ。そうしたなか、投資対象として注目されるのは自動車セクターだ。米中の自動車需要回復を背景にトヨタ自動車 <7203> などをはじめ、見直し機運が台頭する可能性があるとみている。

(聞き手・中村潤一)

<プロフィール>(おおつか・りゅうた)

1986年岡三証券に入社(株式部)。88~98年日本投信で株式ファンドマネージャーを務める。2000年から東洋証券に入社し現在に至る。

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