【植木靖男の相場展望】 ─ 日経平均株価は高値を抜ける!?
「日経平均株価は高値を抜ける!?」
●トランプかバイデンか? 株式市場の行方は?
東京市場は、米国大統領選を間近に控え、投資家心理が見送り姿勢に傾いていることで軟調な展開となっている。実際、ここへきて東証一部の1日の売買高は10億株を下回り、売買代金も2兆円を割り込む日が目立つ。
さて、目下の世界の株価の立ち位置をみてみたい。値動きだけをみると、いま最も底堅いのは実にわが国の 日経平均株価である。米国株が大きく下げても、前場こそ大きく売られても、後場は戻りに入るといった姿は投資家にとって頼もしい限りである。
一方、NYダウ平均、ナスダック総合指数、TOPIX、DAX指数などはギリギリの水準にあり、これ以上下げると回復にはかなりの時間がかかるとみられる。
では、このことを踏まえて、今後の見通しはどうか。
いくつかのシナリオがあるが、まず既に株価は高値をつけてしまっているという見方だ。18年10月に高値をつけたときは、同年3月を安値に上昇、高値まで131日を要した。通常の上昇期間をやや上回るものであった。今回、仮に10月19日の2万3671円(終値ベース)をもって戻り高値をつけたとすれば、本年3月安値から141日だ。18年よりさらに10日ほど延びたが、それほどの違いはない。
18年のときは、その後3ヵ月ほどの調整を要した。今回も同じとすると、来年1月頃に調整を終了することになる。
一方、米国大統領選を踏まえてベストシナリオを考えると、バイデン氏が勝ち、上下両院とも民主党が制するなら、民主党の理想通りの政策が遂行でき、株価はとりあえずは上昇に転じる。
最悪のシナリオはバイデン氏が勝ったとしても、上院を引き続き共和党が占めれば、バイデン氏の政策遂行はかなり困難になる。また、トランプ氏が敗北を認めないケースでは、政治の混乱を嫌気して株安となる、といったシナリオもある。
筆者は、いまとまったく同じ現状維持となる可能性をみている。再選されれば、トランプ氏は株高誘導の必要性が薄らぐことで株式市場に対してやや消極的にならないかを懸念する。
仮にベストシナリオとなれば、まずは日経平均が2万4000円に向けて上昇する期待が持てそうだ。
●反発入りなら半導体関連が主役か
このようにみると、すでに高値をつけている可能性が50%以上あるとみている。
ただし、18年のときもそうだが、日経平均をはじめNYダウ、ナスダックなどはそろそろ反発する段階に入るとみている。であれば、日経平均、ナスダックは高値更新の可能性もあり得るのではないか。いずれにしても、繰り返すが、いまギリギリの水準にあることについて異論はないのではないか。
ところで、高値更新があってもなくても、ここから反発するとすれば、 半導体関連が主役であることはもちろんである。戦後に投資家にとってバイブルとされた木佐森吉太郎氏の著書「新株式実戦論」を参考にすれば、日経平均が二番天井を目指すとき、最も元気のよいのは出遅れ株だ。今回に当てはめればバリュー株ということになる。よって、当面はやはりハイテク株に絞るのが賢明といえそうだ。
さて、注目株だが、やはり予想外の好決算をみせたソニー <6758> を外すわけにはいかない。本業でなく脇役が活躍した決算だが人気度は抜群だ。
家電量販店大手のヤマダホールディングス <9831> も妙味がありそうだ。調整も十分すぎるほどだ。じっくり投資したい。
村田製作所 <6981> は米中関係悪化の狭間で、かえって他社の追随を許さないシェアトップ製品の強みが出そうだ。
2020年10月29日 記
株探ニュース