S&P500 月例レポート ― 追加対策合意は遠のくも、続く回復への楽観 (4) ―

市況
2020年11月12日 10時01分

○10月のまとめ

⇒S&Pグローバル総合指数の時価総額は1兆3320億ドル減少しました(9月は8540億ドル減)。米国以外の市場の時価総額は5670億ドル減(800億ドル減)、米国市場は7650億ドル減少しました(同7740億ドル減)。

⇒新興国市場は10月に1.94%上昇し(9月は2.36%下落)、過去3ヵ月間では2.06%上昇、年初来では2.28%下落、過去1年間では4.23%の上昇となっています。

⇒先進国市場は10月に2.74%下落し(9月は3.34%下落)、米国を除くと3.64%の下落(同2.50%下落)となっています。過去3ヵ月間では0.01%上昇(同7.50%上昇)、米国を除くと1.10%下落(同5.62%上昇)、年初来では3.33%下落(同0.60%上昇)、米国を除くと10.70%下落(同7.32%下落)、過去1年間では2.17%の上昇(同7.74%上昇)、米国を除くと6.54%の下落(同0.28%の上昇)となりました。

○10月は11セクター中2セクターが上昇し、セクター間のばらつきは縮小しました(9月は11セクターが揃って下落し、8月は10セクターが上昇しました)。パフォーマンスが最高のセクター(コミュニケーション・サービス、1.52%上昇)と最低のセクター(エネルギー、5.55%下落)の騰落率の差は7.07%と(過去1年間の平均は10.54%)、9月の11.35%と8月の13.39%から縮小しました。

○新興国市場は10月に1.94%上昇しました。9月は2.36%の下落、8月は2.53%の上昇でした。過去3ヵ月間では2.06%上昇、年初来では2.28%の下落となりました。過去1年間では4.23%上昇、過去2年間では15.58%上昇、過去3年間では0.57%下落しています。

⇒10月は25市場のうち9月よりも多い9市場が上昇しました。9月の上昇は6市場で、8月は17市場が上昇しました。インドネシアのパフォーマンスが最も良好で、10月は8.98%上昇しました。ただし、年初来では26.99%下落、過去1年間では25.07%の下落にとどまっています。次いでパフォーマンスが良かったのはフィリピンで、10月に7.93%上昇しましたが、年初来では15.58%下落、過去1年間では17.46%の下落となっています。3番目にパフォーマンスが良かったのは中国で、10月は4.80%上昇し、年初来では20.08%上昇、過去1年間では31.63%の上昇となりました。パフォーマンスが最低だったのはポーランドで14.74%下落し、年初来では32.35%下落、過去1年間では32.63%の下落となりました。次いでパフォーマンスが振るわなかったのはギリシャで、10月に11.64%下落し、年初来では42.24%下落、過去1年間では39.79%の下落でした。3番目はトルコで、10月に10.61%の下落、年初来では32.78%の下落、過去1年間では25.89%の下落となりました。

○先進国市場は8月の6.38%上昇、9月の3.34%下落の後、10月は全体で2.74%下落しました。米国を除くと、3.64%の下落(9月は2.50%の下落、8月は5.28%の上昇)でした。先進国市場は過去3ヵ月間では0.01%の上昇(米国を除くと1.10%の下落)、年初来では3.33%の下落(同10.70%の下落)となりました。過去1年間では2.17%の上昇(同6.54%の下落)、過去2年間では12.07%の上昇(同0.42%の上昇)、過去3年間では10.20%の上昇(同9.34%の下落)でした。

⇒10月は、25市場のうち3市場が上昇し、9月の5市場、8月の25市場全てを下回りました。パフォーマンスが最高となったのはニュージーランドで2.65%上昇し、年初来では4.64%上昇、過去1年間では17.16%上昇しました。2番目はルクセンブルクで、1.16%上昇しましたが、年初来では17.34%の下落、過去1年間では14.90%の下落となっています。3番目はイスラエルで、0.94%上昇し、年初来では3.19%下落、過去1年間では0.73%上昇しています。パフォーマンスが最低だったのはドイツで、10月に10.19%下落し、年初来では11.74%の下落、過去1年間では7.89%の下落となりました。これに続いたのがノルウェーで、10月に7.10%下落し、年初来では22.72%下落、過去1年間では16.73%下落しました。3番目はベルギーで6.97%下落し、年初来では26.14%の下落、過去1年間では23.39%の下落となりました。

⇒注意すべき点として、日本は1.94%の下落(年初来では4.64%の下落、過去1年間では2.30%の下落)、カナダは3.18%の下落(同11.19%の下落、同6.54%の下落)、英国は4.53%の下落(同28.46%の下落、同23.35%の下落)でした。

インデックス・レビュー

●S&P 500指数

S&P 500指数は3269.96で月を終え、2.77%下落しました(配当込みのトータルリターンはマイナス2.66%)。9月は3363.00で月を終え、3.93%の下落でした(同マイナス3.80%)。過去3ヵ月間では0.04%下落(同プラス0.37%)、年初来では1.21%上昇(同プラス2.77%)、過去1年間では7.65%上昇(同プラス9.71%)となりました。

ダウ平均は9月末の2万7781.70ドルから4.61%下落して2万6501.60ドルで月を終えました(配当込みのトータルリターンはマイナス4.52%)。10月は2.28%の下落(同マイナス2.18%)でした。過去3ヵ月間では0.04%下落(同プラス0.80%)、年初来では7.14%下落(同マイナス5.38%)、過去1年間では2.01%下落(同プラス0.34%)となりました。

S&P 500指数の10月の日中ボラティリティ(日中の値幅を安値で除して算出)は9月の1.86%から1.41%に低下しました。年初来では1.87%(9月末時点は1.92%)、2019年は0.85%、2018年は1.21%、2017年は0.51%(1962年以来の最低)でした。出来高は前月比9%増加した9月から8%減少しましたが(営業日数調整後)、前年同月比では20%増加し、過去1年間でも前年比30%増加しました。

10月の前日比で1%以上変動した日数は22営業日中8日となり(上昇が4日、下落が4日。2%以上上昇した営業日が1日)、年初来では97日(54日が上昇、43日が下落)となりました。10月は22営業日中16日(9月は21営業日中17日)で日中の変動率が1%以上となり、3%以上変動した営業日はありませんでした(9月は2日)。年初来では140日(9月末時点は124日)で日中の変動率が1%以上、34日(同34日)で3%以上となっています。2019年はそれぞれ1%以上の変動が73日と3%以上の変動が1日、2018年はそれぞれ228日(253営業日中)と75日でした。

9月と同様、10月も上昇したセクターは11セクター中2セクターにとどまりました(8月は8セクター)。騰落率首位となったのは公益事業セクターで、10月に指数全体とは逆に4.99%上昇しましたが、年初来では3.48%下落と、騰落率はマイナスにとどまっています。コミュニケーション・サービスセクターも騰落率がプラスとなり、10月に0.54%上昇し、年初来で8.21%上昇しました。金融セクターも下落率を1.05%にとどめ、下落は大半のセクターよりも抑制されましたが、年初来では22.55%下落しています。

情報技術セクターが、利益確定の売り手が見られる一方、成長(と経済)をめぐる懸念を受けて買いが限られる中で5.15%下落(9月は5.42%下落)し、騰落率最下位となりました。同セクターは年初来では20.95%上昇、2016年11月の米大統領選以降では143.71%上昇しています。

エネルギーセクターは9月の14.64%下落に続き、10月も4.69%下落し、年初来で52.50%の下落となりました。ヘルスケアセクターは10月に3.79%下落し、年初来でも0.33%下落と、騰落率がマイナスに転じました。消費関連セクターも下落し、一般消費財セクターは2.95%の下落(年初来では18.83%の上昇)、生活必需品は2.99%の下落(同1.16%の下落)でした。

10月も値下がり銘柄数が値上がり銘柄数を上回りました。10月の値上がり銘柄数は212銘柄(平均上昇率は6.23%)と、9月の153銘柄(同3.98%。8月は365銘柄で同7.62%)から増加しました。10%以上上昇した銘柄数も46銘柄(同14.87%)と、9月の15銘柄(同12.57%。8月は94銘柄で同16.12%)を上回りました。2銘柄が25%以上上昇しました(9月はゼロ、8月は9銘柄)。

一方、値下がり銘柄数は292銘柄(平均下落率は5.83%)と9月の351銘柄(同5.62%。8月は139銘柄で同4.32%)から減少しました。10%以上下落した銘柄数も38銘柄(同13.27%)と9月の53銘柄(同14.56%。8月は14銘柄で同13.10%)から減少しました。25%以上下落した銘柄はありませんでした(9月は2銘柄、8月はゼロ)。

過去3ヵ月間では、256銘柄(平均上昇率は10.73%。9月末時点は356銘柄で同12.96%)が上昇した一方、246銘柄(平均下落率は9.35%。9月末時点は148銘柄で同9.44%)が下落しました。年初来では値下がり銘柄数と値上がり銘柄数の差が拡大し、値上がり銘柄数は196銘柄(平均上昇率は22.30%)と9月末時点の203銘柄(同22.66%)から減少し、10%以上上昇した銘柄数も129銘柄(同31.16%)と、9月末時点の138銘柄(同30.85%)から減少し、65銘柄(9月末時点は66銘柄)25%以上上昇しました。

一方、値下がり銘柄数は306銘柄(平均下落率は23.89%)と9月の300銘柄(同23.94%)から増加し、10%以上下落した銘柄数も223銘柄(同31.05%)と9月の218銘柄(同31.28%)から増加し、128銘柄(同41.96%。9月末時点は124銘柄で同41.96%)が25%以上下落しました。

[執筆者]

ハワード・シルバーブラット

S&P ダウ・ジョーンズ・インデックス

シニア・インデックス・アナリスト

※このレポートは、英文原本から参照用の目的でS&Pダウ・ジョーンズ・インデックス(SPDJI)が作成したものです。SPDJIは、翻訳が正確かつ完全であるよう努めましたが、その正確性ないし完全性につきこれを保証し表明するものではありません。英文原本についてはサイトをご参照ください。

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