日経平均は反落、「メジャーSQ」や「幕間つなぎの物色」/ランチタイムコメント

市況
2020年12月10日 12時19分

日経平均は反落。88.97円安の26728.97円(出来高概算5億4000万株)で前場の取引を終えている。

9日の米株式市場でNYダウは反落し、105ドル安となった。良好な経済指標を好感して買いが先行したものの、追加経済対策を巡りトランプ政権が新たに提示した9160億ドル規模の妥協案を民主党が却下。これを共和党のマコネル上院院内総務が非難し、年内の合意成立への期待が後退した。英国で接種が開始された米ファイザーなどの新型コロナウイルスワクチンについて、2人に激しいアレルギー反応のような症状が出たと伝わったことも警戒されたようだ。ハイテク株比率の高いナスダック総合指数は1.9%安と5日ぶりに反落。本日の日経平均は米株安の流れを引き継いで129円安からスタートすると、朝方には一時26639.98円(177.96円安)まで下落。その後は軟調もみ合いが続いた。

個別では、エムスリー<2413>、東エレク<8035>、SUMCO<3436>、村田製<6981>が2%超の下落。米市場でフィラデルフィア半導体株指数(SOX)が3%近く下落したことを受けて半導体関連株の下げが目立ち、ルネサス<6723>は5%を超える下落となっている。その他ではソニー<6758>が軟調で、日本電産<6594>やリクルートHD<6098>は小安い。中小型株では決算が嫌気されたACCESS<4813>が急落し、アトラ<6029>などが東証1部下落率上位に顔を出している。一方、ソフトバンクG<9984>が6%を超える上昇となり、連日で年初来高値を更新。トヨタ自<7203>、ANA<9202>も堅調で、任天堂<7974>やソフトバンク<9434>は小高い。三井金<5706>は新電池への期待から急伸。また、名村造船<7014>などが東証1部上昇率上位に顔を出している。

セクターでは、精密機器、金属製品、サービス業などが下落率上位。半面、情報・通信業、空運業、石油・石炭製品などが上昇率上位だった。東証1部の値下がり銘柄は全体の54%、対して値上がり銘柄は40%となっている。

本日の東京市場では米国株の反落とともに売りが先行した。とはいえ、明日は先物・オプション12月物の特別清算指数算出(SQ)が控えており、下値を探る展開とはなっていない。日経平均の日足チャートを見ると、26600円台に位置する5日移動平均線が下値を支える格好となっているが、本日はややこう着感が強い印象で、ここまでの上下の値幅は105円ほど。ただ、東証1部売買代金は1兆1000億円あまりあり、現物株の売買はさほど落ち込んでいないようだ。

今週に入ってからの日経平均は、8日に26500円を割り込む場面こそあったものの、結局のところ高値圏でのもち合いが続いている。年末前の休暇ムードからか、日経平均先物のロールオーバー(期先物への乗り換え)は比較的早い段階から粛々と進んでいた印象で、波乱らしい波乱は起きていない。26750円近辺での順当なSQ通過が意識されているのかもしれない。

現物株市場を見ると、米ハイテク株安の流れを引き継いで東エレクなどの値がさグロース(成長)株が軟調で、日経平均の押し下げ役となっている。米国の主要ハイテク株は個人投資家からの人気が高く、現金給付などを含む経済対策への期待が後退すると、個人投資家の買いが途切れるとのイメージから売られやすいのだろう。IT化進展に伴う半導体需要の高まりも伝わっているものの、株式市場での需給悪化懸念の方が勝った格好だ。

一方、売買代金上位の動向やセクター騰落率などを見ると、値がさグロース株の調整とともに景気敏感株に循環的な買いが向かっているようだ。1銘柄で日経平均を約107円押し上げたソフトバンクG、それに日経平均構成銘柄で上昇率トップとなった三井金あたりの賑わいからは、短期の値幅取りを狙った材料株・テーマ株物色がまずまず活発であることも窺える。15日から「IPO(新規株式公開)ラッシュ」がスタートするのを前に、幕間つなぎ的な物色が中心となっているのだろう。

メジャーSQ前の需給状況に、値がさグロース株と景気敏感株の短期リバーサル、個人投資家の短期的な物色などが重なり、日経平均が高値もち合いをキープする展開は従来当欄で予想していたとおりと言える。一方、来週からは「IPOラッシュ」開始による新規上場銘柄の賑わいに期待したい。(小林大純)

《NH》

提供:フィスコ

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