田部井美彦氏【正念場の年末年始、新型コロナ加速で相場展望は】(1) <相場観特集>
―大詰めを迎えた2020年相場、強気の地合いは続くか―
2020年相場もいよいよ大詰めを迎えている。週明け21日の東京株式市場は朝方こそ高く始まったもののその後はすぐに値を消す展開となり、日経平均株価は続落となった。新型コロナウイルスに対応した大型の米追加経済対策については、約93兆円規模で与野党合意の段階にたどり着いたことはポジティブ材料といえるが、足もと加速する世界的な新型コロナ感染者数の拡大は株式市場にとっても警戒材料となる。ここからの投資作戦はどうあるべきか。個別銘柄にも詳しいマーケット関係者2人に、年明け以降も含めた相場展望と物色の方向性について意見を聞いた。
●「21年は前半にかけ堅調相場」「脱炭素関連など注目」
田部井美彦氏(内藤証券 投資調査部 リサーチ・ヘッド&チーフ・ストラテジスト)
東京株式市場は、当面堅調な相場が続くとみている。今後、1ヵ月程度の来年1月末までの日経平均株価のレンジは2万6000~2万7500円前後を見込んでいる。基調のトレンドは上向きだろう。
2021年の相場は、年前半は上昇した後、いったん下押すものの年末にかけ再び上昇する展開を予想する。20年の企業業績は良くないが、21年は大幅な増益が見込める。21年の前半は景況感が改善し、経済指標も良好だが、なかなか米国などの金利は引き上げにくい状況が予想される。足もとでは、大企業の景況感は悪くないが、中小企業の状況は厳しい。今後は失業率の改善も頭打ちになることも予想されるなか、当面の金利は据え置かれそうだ。このなか株価など資産価格は上昇する状況が見込まれる。
新型コロナの感染拡大は気になるところだが、都市封鎖などは多くの国がすでに経験している。まずは、来年1月の米国や日本企業の決算発表が注目点となり、今後は金利と新型コロナの感染状況などをにらみながらの展開が予想される。
当面は、「脱炭素」に絡んだ、環境・電気自動車(EV)・水素関連の銘柄などが注目されそうだ。米国でのバイデン新政権の誕生で関心を集めているが、オールドエコノミーに属する銘柄が多く、なお上値余地があると思う。EVには銅などの素材がガソリン車に比べ多く使われることから、住友金属鉱山 <5713> や三菱マテリアル <5711> 、それに東邦亜鉛 <5707> などの非鉄株には投資妙味がありそうだ。また、同じくEVにも絡み村田製作所 <6981> や日本電産 <6594> なども注目できる。
(聞き手・岡里英幸)
<プロフィール>(たべい・よしひこ)
内藤証券リサーチ・ヘッド&チーフ・ストラテジスト。株式市況全般、経済マクロの調査・分析だけでなく、自動車、商社、アミューズメント、機械などの業種を担当するリサーチアナリストとして活動。年間200社程度の企業への訪問、電話取材、事業説明会への参加などを通して「足で稼ぐ調査・情報の収集」に軸足を置いている。
株探ニュース