明日の株式相場に向けて=ドローン関連に資金流入
きょう(23日)の東京株式市場は久々にリスク選好の流れとなり、日経平均株価が88円高の2万6524円と4日ぶりに反発した。前場取引時間中に米株価指数先物を横目に値を消す場面もあったが、後場に入って持ち直した。
個別でみると、きょうは半導体関連の主力どころが強かったが、中小型材料株は引き続き上がれば売りを浴びやすい地合いで、今のところサンタクロースラリーの趣きはない。日経平均は前日までの3営業日で370円程度水準を切り下げており、きょうの上昇は自律反発の域を出ていない。しかし、前日に要警戒としたマザーズ市場が踏ん張った。米国でナスダック総合指数が過去最高値をつけ、小型株指数のラッセル2000も終値で最高値を更新している状況で、その余熱がこちらにも回ってきた。マザーズ指数の上げ幅は前日の下げの半分程度にとどまりまだ楽観はできないが、直近IPO銘柄の一群が強い動きをみせ始めたのは光明といえる。
投資テーマ的にはドローン関連 が動兆しきりだ。国内では「スマート保安」の政策に乗る形でドローンの活躍余地が広がっているが、もう一つキナ臭い切り口だが防衛関連の側面もある。トランプ米大統領は来年1月20日から発足するバイデン新政権のことはお構いなしで中国に対する強硬姿勢を継続、ドローン世界最大手DJIを輸出禁止措置の対象に加えるなど意気軒高だ。思惑として日本のドローン関連に目が向きやすくなっている。
きょうは産業用ドローン専業の自律制御システム研究所<6232>が値を飛ばし、3000円台を回復してきた。また、株高材料は異なるが12月10日以降、強力な上昇トレンドを構築しているドーン<2303>もドローン関連の一角に位置している銘柄だ。
この流れで、中期スタンスで注目してみたいのはアジア航測<9233>。21年3月期業績は前期の反動を見込み会社側は保守的な減益見通しを出しているが、豊富な受注残は注目され、ドローンの進化に不可欠な人工知能(AI)分野への注力も早晩日の目を見そうだ。株価も800円台前半で底値固めが利いている。このほか、短期的には瞬発力に富むイメージ ワン<2667>の押し目も魅力的に映る。低位株では200円絡みの理経<8226>などもドローン関連の穴株として目を配っておきたい。
また電気自動車(EV)のテーマでは、米アップルが2024年に自社開発電池を搭載したEV生産を目指していると報じられたことは、結構なインパクトがある。テスラにとってはマイナス材料かもしれないが、総論的には世界的なEVシフト加速を予感させる報道で、関連株に新たな息吹を与えることになりそうだ。きょうは、信用規制の解除日と合致したモリテック スチール<5986>が急動意をみせたが、リチウムイオン電池の充放電の性能試験を手掛けるIMV<7760>なども切り返すなら25日移動平均線との上方カイ離が解消されたこのタイミングか。
これ以外では、秋口から動意モードで値動きは荒いが、株価にまだ値ごろ感がある巣ごもり関連のストリーム<3071>。また、オンライン教育のテーマに乗るクシム<2345>は中期視野で底値買い好機とみられる。半導体関連の好業績株では三井ハイテック<6966>、野村マイクロ・サイエンス<6254>などをマークしておきたい。
あすのスケジュールでは、11月の企業向けサービス価格指数が朝方取引開始前に発表される。また、IPOが2件あり、グローバルインフォメーション<4171>がジャスダック市場に、東京通信<7359>がマザーズ市場に新規上場する。海外では11月の米耐久財受注額、トルコの金融政策決定会合など。(銀)